11月 07 2014
最近の各社の返還事情について
過払金の返還について,日々流動的であり,以前は通用したことが今はまったく通用しないということが多々あります。また,相手業者の経済的事情などにより返還が困難になることもあります。
ということで,何度か各社の返還事情を書いておりますが,最近の大手業者について簡単に記載したいと思います。
なお,大前提として,当事務所では依頼者の意向がすべてであり,当事務所の意向というものは存在しませんので,当事務所から訴訟を行うこと,逆に和解することを積極的にお勧めすることはありません。あくまで情報提供を行うだけですので,訴訟を行って判決を取れば全額回収できるという場合でも,ある程度減額する代わりに早期の返還をご希望されるということであればそのような和解を致しますし,回収できない可能性が高くても訴訟を進めてほしいということであれば訴訟を行います。したがって,依頼者の意向によっては下記のとおりにならないケースもあります。
アコム株式会社
正直なところ,以前とあまり変わっていないと思います。
訴訟前の任意の交渉では,元金の7割,8割程度であり,取引の内容によっては元金のほぼ満額を提示されることもあります。
ただし,利息については任意の交渉段階では難しいため,訴訟を行う必要があります。
また,訴訟になった場合も,大きな争点(分断等)があれば別ですが,そうでなければ利息を含めたほぼ満額で和解できるケースが多いです。
返還期日については,判決が出れば早期に返還されますが,和解の場合は和解した日の3か月後の月末になります。例えば,仮に本日和解したとすれば来年2月末になります。
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(プロミス)
以前は,訴訟前の任意の交渉では,「5割を半年後に返還する」というような和解する気がさっぱり無いと思われるような提案しかされなかったため,ほぼ全件訴訟になっていましたが,現在はもう少しまともになっており,大体アコムと同じような感じです。
また,訴訟になった場合も概ねアコム同様です。
以前は,少額の過払い(数万円程度)についても訴訟をしなければならないような状況でしたが,今は少額の過払いの場合は,訴訟費用を考慮して,訴訟前に和解するケースも多いです。
新生フィナンシャル株式会社(レイク)
恐らく大手消費者金融業者の中で一番良い対応をしてくれます。任意の和解の提示額も,最初から元金の9割,10割と割合が高く,返還期日も場合によっては翌月に返還されたりと対応がすこぶる早いです。
レイクの特徴としては,争点があるケースでは早期の段階で弁護士さんを選任してくることでしょうか。ただ,弁護士さんを選任してもらった方が話し合いがスムーズに進むことも多いため,決して良くないことではありません。ただ,争ってくる部分についてはまったく折れてもらえませんので,先日解決したもので尋問まで行い,1審だけで1年以上かかったというケースもあります(1審で全面勝訴し,判決から数日後には全額返還されました。また,後日訴訟費用も返還されました。)。
アイフル株式会社
何度も当ブログに登場しておりますが,以前とまったく状況は変わっておりません。直近の決算はあまり良くないようですが,長期的には業績が良くなり株価は上がってますし,CMもバンバン流してるんですけど,何年も前からADRを根拠に大幅に減額した和解案しか提示されません。
取引の内容によっても違いますが,どれだけ高くても7割程度,場合によっては3割程度という提案もありますので,なかなか和解に至るケースはありません。当事務所の記録を確認すると,ここ数年で訴訟前に和解したケースは片手で収まる件数しかないと思いますし,訴訟後に和解したケースも多分1,2件だと思います。それくらい和解ができません。
ということで,よくある流れとしては,
訴訟提起→移送で時間稼ぎ→(場合によってはアイフルからの調停申立て)→2回程度の口頭弁論期日→判決→アイフル控訴→控訴審の口頭弁論期日(通常は1回のみ)→(その間に依頼者への度重なる和解の電話)→判決→返還
となり,どれだけ早くても6~7か月はかかりますし,1年程度かかることも結構あります。
ただ,あくまで現状としては,判決が確定すれば訴訟費用も含めて全額返還されており,強制執行までは至っておりませんので,ギルドやプライメックスキャピタル,アペンタクルなどと比べるとまだまだ回収できる状況にはあると思います。
ちなみに,訴訟になると「善意の取得者」(民法703条)であることを前提にすでに過払金は法人税として納税してるから現存利益が無い(減っている)という主張を毎回してくるのですが,未だかつてこの主張が認められたという話を聞いたことがありません。それでも,毎回主張してきているということは,実はどこかで認められた実績があるのでしょうか・・・。
CFJ合同会社(アイク,ディック,ユニマット等)
実は,ちょっと前まではうちの事務所ではあまり多くなかったのですが,ここ最近立て続けにCFJのご依頼が続いております。
訴訟前の任意の交渉だと5~7割程度の返還を打診されますが,それ以上の金額となると訴訟をするしかありません。
このCFJは訴訟になると(弁護士や司法書士的に)かなり大変です。CFJは,先日も最高裁で勝訴しているように,他社と比べるとかなり「真剣に」というと語弊がありますが,いわゆるテンプレ的な書面ではなく,個々の顧客ごとにしっかりと準備書面を作ってきますのでこちらも他社以上に気を遣って書面を作成する必要があります。さらに,証拠も膨大な量を送りつけられるので,訴訟記録がパンパンになり裁判所に持っていくのが大変です・・・。
これはCFJの支配人から直接聞いた情報なのですが,準備書面のいくつかは経営陣が直々に作っているケースもあるそうです。経営陣が自ら書類作成に関与するくらいですから,従業員の人たちも手を抜いた書類なんて作れませんもんね。
また,他社にはない特徴として,普通は任意の交渉段階と比べて訴訟になった段階での和解提示額が上がるんですが,CFJは訴訟になると和解の提示額が下がります。訴訟の終盤になると,訴訟中に突然過払金の一部を返還してきたりします。あと,訴訟には従業員ではなく支配人が出てくることが多いと思います。
大きな争点があると控訴されますが,そうでなければ判決後に返還されます。
ただし,これはあくまでも現状の話ですのでアコムやプロミスなどの大手とは異なり,かなり流動的な要素を含んでいます。
以下,最近の情報として,依頼者にお伝えしている情報を記載いたします。
(1)貸付停止から丸6年
平成20年11月をもってCFJは全店舗を閉鎖し,顧客への新規貸し付けをインターネットに限定していましたが,それも4年程前に終了し,現在は新規貸し付けを完全に停止しています。無担保貸付の場合,4年から6年もあれば通常は完済しています。とすると,CFJに残っている貸金債権は,不良債権化したような現実的な回収が困難な債権もしくは数百万円以上の不動産担保ローンくらいだと思われますが,不動産担保ローンも大部分は完済されていると思いますので,現時点でCFJに残っている債権の大部分は不良債権だと推測されます。とすると,CFJにあまり資産は残されていないと思われますし,会社をこのまま残しておくメリットはだんだん無くなってきていると思います。
(2)シティバンクの日本撤退報道
CFJはアメリカのシティグループに入っていますが,シティバンクが日本における個人向け金融業務から撤退すると発表しました。とすると,個人向け金融業者であるCFJの売却の可能性も十分あり,過去の事例からして他社に売却された消費者金融の過払金返還が良くなったケースなど一度もありませんので,悪い情報となります。
過去にもCFJの売却が報道されましたが,その時には売却は失敗に終わっていますし,そもそもCFJ自体の売却報道があったわけではありません。ただ,シティバンクの個人部門が売られるのに個人向け消費者金融業者であるCFJがそのままグループにとどまり続けるという可能性は高くないと思いますので,注意しておいた方が良いかと思います。
(3)貸金請求訴訟の増加
過去に倒産したSFコーポレーション(旧・三和ファイナンス)やクロースシード(旧・ネオラインキャピタル)など,過払金の回収についてあまり印象の良くない業者は,貸金についてはガンガン訴訟をして回収していました。最近,CFJも貸金請求訴訟を大量に進め始めたそうです。直接的に貸金請求訴訟の増加が悪いということはありませんが,過去の他社の状況と併せて考慮すれば,悪い情報に他ならないと思います。
これらの状況を踏まえると,事業再生ADRで返還が困難だと言っているアイフルより,CFJの方が危険ではないかと思っています。
上記のとおり,大きな争点がある場合は,判決を取っても控訴どころか上告までしてきますので,解決までかなりの時間を要します。とすると,場合によっては和解をしたうえで早期に返還してもらうという選択肢も十分検討に値するものではないかと思います。
UFJカード,セディナ等の信販会社
印象としては,アコムとレイクの間くらいという感じです。
訴訟前の交渉で,いきなり9割とか満額といった提示はなかなかありませんが,訴訟を行えばかなりすんなり返還される印象です。また,訴訟になればかなり高い確率で弁護士さんが選任されますが,これもまた特に問題ではありません。
それよりも,信販会社は取引履歴の開示の方が問題で,取引履歴の請求をして実際に開示されるまでに3か月かかるなんていうのもザラです。なので,請求をし始めてからは解決までは結構早いんですが,請求するまでにかなり時間がかかるので,なんだかんだで半年近くはかかります。
ちなみに,あまり返還とは関係ありませんが,オリコは平成19年4月以降は利息制限法所定利率内に引き下げたから,それ以降の借入金は過払金に充当されないという珍しい主張をしてきます。これもまた,アイフルの上記主張同様,認められたという話は聞いたことがないんですが,これもどこかで認められた実績があるのでしょうか・・・。
ギルド,アペンタクル,プライメックスキャピタル(キャスコ)等
キャスコは違いますが,いわゆる旧ネオラインキャピタル系です。そのかつての本体だったネオラインは破産してしまいましたが,関連会社は今も残っています。
これらの会社は訴訟前だと高くても1割から2割程度,場合によっては0というケースもありますので,一部の事務所ではご依頼をお受けすることを拒否したり,1~2割での和解を条件に受任するという事務所もあるようです。それくらい,現実的な回収が困難な業者です。
当事務所については,上記のとおり,あくまで依頼者の意向がすべてなので,全額回収を目指すということであればそれに向けて手続を進めてまいりますし,早期に和解したいということであれば和解します。
ただ,あくまで「現状は」という言葉が付きますが,当事務所においては,1割や2割というような低い割合ではなく,元金の満額に近い回収をしている実績があります(利息まではなかなか回収できません・・・)。先日もわざわざ他県から新幹線に乗って名古屋まで来られ,ご依頼をお受けしましたので,何とか回収できるよう頑張っているところです。
もっとも,ネオラインが破産してしまったように,これらの業者についてもいつまで回収できるかまったくわかりません。もし,破産となってしまった場合にはそれまでにかかった費用も無駄になってしまいますので,手続を進められるのであれば早めの方が良いかと思います。
※これらの業者については,通常の過払い請求とは異なる手続となりますので,別途費用がかかることがあります。
以上,最近の各社の返還事情についてでした。
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