1月 20 2014
徹底抗戦
あえて業者の名前は書きません(仮に「A社」とします)が,法的にはまったく勝ち目がない過払い訴訟について,最近行われているA社の対抗手法(?)を時系列に沿ってとり挙げてみます。
なお,以前新聞記事にもなりましたが,A社から5回以上そのような打診を受けたことがありますので,なりふり構わぬ姿勢にはある意味感心します。あ,新聞記者の取材に協力していくくらいですので,もちろん協定なんてものは結んでいませんよ。
①移送申立て
当事務所にご依頼いただく方のほぼすべての方が東海三県にお住まいの方ですので,相手の業者の本店がどこにあろうが,その方がお住まいの地域を管轄する裁判所に提訴します(民事訴訟法5条1号)。
これに対し,A社は東海三県には無いため,自社の本店所在地を管轄する裁判所で裁判を進めるよう申立てをしてきます。これが移送の申立てというもので,当初私が提訴した裁判所の裁判官が「当事者の衡平を考慮すると,この裁判所よりも別の裁判所でやった方がいいな」というように判断した場合には裁判が移送されることになります。
もっとも,契約した支店はこちらにあることが多く,また,契約者もこちらにいらっしゃいますので,仮に尋問等があったとしてもこちらの裁判所でやった方が良いので,あえてA社の本店所在地の裁判所でやる必要性はありません。さらに,当事者の経済力から考えても,一消費者がわざわざA社の本店まで出向くことと,大企業であり名古屋市内にあるA社の支店の従業員が東海三県の裁判所に出廷するのでは全然違います。
したがって,このような理由による移送が認められることはまず無いと思いますし,実際に当事務所でも移送が認められたことは一度もありません。
ただ,A社の作戦は移送そのものではなく,時間稼ぎです。移送するか否かが確定するためには,不服申し立て期間も含め,最低でも2週間はかかります。とすると,本来の裁判期日の数日前に移送の申立てを行うことで裁判期日を延期せざるを得なくなり,その分の時間稼ぎができます。
A社としては,資金繰りの関係上,少しでも先に延ばしたいので移送が認められなくてもメリットがあるのだと思います。
②調停の申立て

発生している過払い金についての話し合いがしたいという理由で債務弁済調停の申立てをしてくることがあります。
もっとも,こちらとしてはすでに提訴しており,話し合いをするのであればその訴訟の場で話し合えば良いと考えているため調停に応じることは無いのですが,それでもやってきます。この趣旨は,自宅への通知という嫌がらせです。本来,弁護士や司法書士が代理人となっている場合,業者からの書類や裁判所からの書類は直接代理人宛に送られてきます。しかし,調停に関しては,未だ代理人とはなっていないため,弁護士や司法書士が代理人になっていても裁判所から直接ご自宅宛に送られてしまいます。とすると,同居のご家族に知られてしまう可能性がありますので,依頼者ご本人が戸惑うことになります。
ただ,私の経験上,ご自宅に調停の書類がご自宅に送られてきて,怒ったり嫌な気分になったりする方は多数いらっしゃいますが,それを機に和解しようとお考えになる方は一人もいらっしゃいません。正直なところ,A社の作戦は逆効果のような気がします。
③控訴
基本的に訴訟で負けることは無いため勝訴するんですが,これに対して控訴をしてくることがあります。というか,ほぼ間違いなくしてきます。
この場合,当然その分解決までの時間が長引くことになりますので,時間稼ぎのための一つの手段です。もちろん,控訴審で逆転する可能性が無いわけではありませんが,どう考えても逆転することは無いだろうという事案についても控訴してきますので,時間稼ぎが主な理由だと思います。
また,当事務所のように司法書士が代理人となっている場合,控訴審の代理ができないため依頼者の方に裁判所に来ていただく必要があります。ただ,控訴審の1回目の期日は出頭する必要がなく,かつ,多くのケースで控訴審は1回目で終了するため,依頼者の方に裁判所に来ていただくことはほとんど無いと思います。実際に,控訴審で出頭をお願いしたケースは控訴された件数の5%にも満たない件数です。
④執拗な和解の電話
あまり効果はない作戦だと思っておりますが,訴訟中に凄い勢いで和解の打診があります。全然話にならない金額しか提示してこないので当然断るのですが,それでも何度も何度も電話をしてきます。最近は,全額の返還以外では和解する気は無いと断言しているにも関わらず,A社としては和解したいが全額の返還は無理なので減額した金額での和解案の提示をしろとまで言ってきました。こちらは全額では無理だと言っているのに,なぜ減額した和解案を出さなければならないのか理解に苦しみますが,何度もこのような電話をしてくることでこちらが根負けするのを狙っているのでしょう。
なお,当然ですが,和解案の提示はしていません。
⑤普通為替での返還
最終的に返還される場合,一般的な業者は銀行振り込みで返還してきますが,A社は普通為替を直接依頼者のご自宅宛に送付してくることがあります。
普通為替とは,小切手のようなもので,郵便局に普通為替をお持ちいただくことで現金化できます。
これも,上記②調停と同じで,A社の名前でご自宅に送られてくるため,最後の嫌がらせです。
ただ,すでにお金を返還するところまできているので,A社にとっては何のメリットもありません。したがって,最近では普通為替での返還は少なくなったと思います。
以上については,対応するのは大変ですが,いずれも違法ではありませんので,すべて対応せざるを得ません。もう,ここまでくると我慢比べです。今日も負けないように反論の書類を作成します!
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