はなみずき司法書士事務所
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10月 19 2012

偏頗弁済に関する最高裁判決

自己破産手続を進める際,よく問題になるのが「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。
「偏頗」とは偏っているという意味であり,偏頗弁済は偏った弁済,つまりとある人には返済し,とある人には返済しないで破産で借金を免除してもらう,という不公平な返済を意味します。

自己破産は,原則としてすべての債権者に対する債務を免除してもらうためにとる手続であるため,債権者への対応は平等でなければなりません
例外は非免責債権や別除権者等

 

もし,偏頗弁済となってしまうと,当該弁済が取り消されたりしていろんな方に迷惑をかけることになってしまいますし,自己破産をしても免責が受けられないなどのデメリットもあります

 

では,いつの時点の弁済から偏頗弁済になるのでしょうか。
少なくとも自己破産の申し立てをした後に特定の債権者に弁済する行為は誰が見てもダメだということはわかると思います。
しかし,ちょっと延滞するような状況であれば特に破産など考えていないと思いますので,このような状況で特定の債権者だけ弁済しても偏頗弁済にはならないと思います。

この点,破産法にちゃんと規定があり,「支払の停止」があった以降に弁済したものは偏頗弁済になると考えられています。この「支払の停止」とは難しくいうと,「債務者が,支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないと考えて,その旨を明示的又は黙示的に外部に表示する行為」です。
簡単に言うと,もう返済できません!とバンザイしたような状況です。

では,債務整理を弁護士や司法書士に依頼し,弁護士等が債権者に受任通知を送った場合はどうでしょうか。
というのは,「債務整理」=「自己破産」ではなく,債権者と話し合いをして分割弁済で合意し自己破産をせずに返済していくことだってあります。いわゆる任意整理ですね。
したがって,「受任通知を送付する」=「もう返済できません!とバンザイした」という状況には無いように思えます。

 

 

この「受任通知の送付」が「支払の停止」に当たるかについて最高裁判決が出ました。

最高裁サイト
判決全文(PDF)

 

この判決によると,「本件通知には,Aが自己破産を予定している旨が明示されていなくても,Aが支払能力を欠くために一般的かつ継続的に債務の支払をすることができないことが,少なくとも黙示的に外部に表示されているとみるのが相当である」として,「受任通知の送付」が「支払の停止」に当たるとしています。
ただし,その前提として,「Aが単なる給与所得者であり広く事業を営む者ではないという本件の事情を考慮すると」していますので,事業を営む自営業者の方や法人についてはそうならないケースもあろうかと思います。

 

なお,当事務所においては,上記判決が出る前から当然のこととして,自己破産に限らずご依頼を受けた以降は借入はもちろんのこと返済についても一切しないようにお願いしております。というのは,受任通知を送るってことは,少なくとも現時点ではどうがんばっても支払えないから債務整理しているのであり,さらに当初は任意整理としてお受けしていたとしても,その後に職を失ってしまい自己破産に移行する可能性もあるわけですから,受任通知送付後の返済は危険極まりないと考えているからです。

 

特に,最近は大手の業者も任意整理の交渉に応じないところも出てきていますので,このあたりは十分気をつけなければなりませんね。

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