はなみずき司法書士事務所
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1月 22 2009

消滅時効についての最高裁判決

本日,消滅時効の起算点についての最高裁判決が出ました。
記事

昨年から業者側がかなりの主張をしていた論点であり,「取引の分断(充当方法)」,「消滅時効の起算点」の2つのホットな争点のうちの1つでした。このうち,「取引の分断(充当方法)」については,昨年の1月に最高裁判決が出ており,どちらかと言えば消費者にとって不利な判決でした。

それに対し,今回の最高裁判決は消費者側にとって非常に有利な判決となっており,今後優位に交渉が進められることが期待できます。

なお,まだ判決全文を見ていないので詳細はわかりませんが,内容としては次のとおりだと思われます。


前回のブログ記事として記載のとおり,グレーゾーン金利での借入れであり,すでに完済をしているか,一般的に7年以上取引を継続していれば,それ以降の返済については過払いとなり,その分については返還してもらうことができます(これを「過払金返還請求」といいます)。しかし,民法166条及び167条において,権利を行使することができるときから10年間請求しなければ消滅してしまうよ,ということが規定されておりますので,10年間請求しないと返還してもらえないことになります。
では,この「権利を行使することができるとき」,別の言い方だと「10年の起算点(スタートする日)」はいつになると思われますか?

ここで,大きな争いがあったのですが,消費者側と業者側で次の2説が争われていました。

①取引終了時説
これは,民法166条に規定されている「権利を行使することができる」という状況は,「取引が終了したとき」である。だって,取引の途中で過払金が発生していることなんか普通は知らないじゃん?だから,現実的に過払金を請求できるのは取引が終了したときが時効の起算点である,という説です。消費者側はこちらを主張します。だって,時効になってしまうと消えてしまうわけですから,時効の起算点は遅いほうがいいですよね。


②個別進行説(随時進行説)
これは,過払金が発生すれば,法的には請求できるわけだから,過払金が発生したその都度,時効は進行するという説です。この説の場合,返済をする毎に時効が進行していくため,過払金を請求した日から10年以上前の分は全部時効で消えてしまいます。

これだけ書いてもわかりにくいので,具体例で説明します。
例えば,利息制限法の正しい利息で計算した場合,平成10年9月30日の段階で40,000円の借金が残っているとします。

平成10年10月1日 10,000円返済  残債務30,000円
平成10年11月1日 10,000円返済  残債務20,000円
平成10年12月1日 30,000円返済  残債務-10,000円
平成11年1月1日  20,000円返済  残債務-30,000円
平成11年2月1日  30,000円返済  残債務-60,000円
平成11年3月1日  30,000円返済  残債務-90,000円(取引終了)

という取引があったとします(残債務に利息がついていないのがおかしいですが,それは無視してください)。

ここで,本日(平成21年1月22日)90,000円の過払金の全部を請求するとします。ここで①の説をとった場合,消滅時効の起算日は平成11年3月1日となりますので,平成21年3月1日24時まではまるっと90,000円の請求ができます。しかし,②の説をとった場合,過払金が発生する都度,消滅時効は進行していきますので,平成10年12月1日に発生した10,000円の過払金は,平成20年12月1日24時をもって消滅します。同様に,平成11年1月1日に返済した20,000円の過払金も平成21年1月1日24時に消滅しているので,本日請求するとしたら,平成11年2月1日及び3月1日に返済した合計60,000円の過払い金しか請求できないことになります。

この例だとあまり大きな金額にはなりませんが,昭和から取引をされているような方だと,利息も含めると数百万円単位で変わってきます

よって,この判決のもつ意義はかなり大きいと思われますし,業者にとっては大打撃の判決だと思います。
ちなみに,この消滅時効の争点については,裁判官の間でも結論が分かれており,名古屋地裁においては五分五分くらい,名古屋高裁では4分の3で勝訴判決が取れたそうですが,福岡,岐阜の裁判所では全敗だという話しを聞いていましたので本当によかったです。

ここ何回かの最高裁判決はどちらかと言えば業者寄りの判決が多かったため,ちょっと安心致しました。


1/23追記

最高裁に判決がアップされました。
最高裁サイト
判決全文(PDF)

なお,判決を読むと「継続的な金銭消費貸借取引」,「過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むもの」となっているので,証書貸付のような,再度の貸付が想定されていない取引による過払金については適用がないような気がしますが,一般的な消費者金融及び信販会社との取引は「継続的な金銭消費貸借取引」ですので,大きな問題は無いと思います。 R>

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