はなみずき司法書士事務所
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7月 24 2014

【判例紹介】証書貸付(元利金均等払)における遅延損害金問題

本日,過払金(というか,遅延損害金)に関する最高裁判決が出されましたのでご紹介いたします。 

※一部説明不足な点がありましたので,修正しました。 

 
 

事案をざっくり書くと以下のような感じです。 

不動産担保の証書貸付で400万円を借り入れ,利息年19.48%,毎月68800円の元利均等払で返済することとなった。

とある時に返済が遅れたが,それまでの利息制限法を超過していた分を積算すると,遅れた時点で返済すべき金額はすでに支払っているので返済に遅れたことにはならないのではないか。
 
 

というものです。これだけだと全然わかりませんね。
 

もうちょっと具体的に記載いたします。

まず,元利均等払いについて説明いたします。ただ,正直なところこの判例において元利均等払ということそれ自体はあまり関係ないと思います。 
 

元利均等払」というのは,文字通り,元金と利息の合計が毎月同じ(均等)になるという返済方式で,住宅ローンではこちらを選択されている人が多いのではないかと思います。上記の例で言うと,返済額68800円の内訳としては,最初の月は約64000円が利息で残りの約5000円が元金に充当されます。以降,返済すれば元金が減っていきますので68800円の内訳としては,元金が多くなる反面,利息が少なくなっていきます。
元利均等払だと,毎月の支払額が一定であるため返済計画が立てやすいですよね。だからこそ,住宅ローンで選択される方が多いんだと思います。ただ,最初の方はほとんど利息の支払いに充てられてしまうため,なかなか借金が減っていかないというデメリットもあります。
 

似たような言葉に「元金均等払」というのもあります。これは毎月返済する元金部分は常に同じ(均等)であり,それにプラスして利息を支払うという返済方式です。例えば,上記の事例で毎月返済する元金を4万円とした場合,ちょうど100回で完済となりますが,初回の返済額は4万円+約64000円ですので104000円となり,以降元金が減った分だんだんと利息が少なくなりますので毎月の返済額は必ず少なくなっていき,最終回は4万3000円ほどの返済となります。
元金均等払だと,毎月一定額の元金が減っていきますので借金は同じペースで減っていきますが,最初の方は利息が大きいので返済が大変です。今は収入が多いけど,将来少なくなる見込みがあるというような場合はこちらの方が良いかもしれませんね。
 
 

話を戻し,上記の判例の事案ではどうなっているかというと,元利均等払で返済をしていたが,利息制限法超過利率での計算であるため,毎月返済するたびに超過利息分について余分に返済していたこととなります。
 

例えば,平成26年7月の時点で返済を怠ったとします。本来であれば,この時点で期限の利益を喪失し,以降は利息(15%)ではなく利率の高い遅延損害金(21.9%)で計算されることになりますので,借主としては不利になります。ところが,借主は過去に利息制限法を超過する分について余分に支払っていますので,確かに平成26年7月に返済は怠っていますが,過去に余分に支払っているわけですから返済を怠ったどころか,むしろ先払いしていると考えることもできます。実際に,原審の仙台高裁はそのように判断しており,遅延損害金利率で計算しなくても良いとしていました。
 

この考え方について不服があるとして,CFJ合同会社が上告したのが本事件です。
 
 

では,最高裁はどう判断したのでしょうか。
 

最高裁サイト

判決全文(PDF)
 
 

この点,最高裁は,「借主から約定分割返済額を超過する額の支払がされたときには,当該超過額を将来発生する債務に充当する旨の当事者間の合意があるなど特段の事情のない限り,当該超過額は,その支払時点での残債務に充当され,将来発生する債務に充当されることはない」と判断しました。
 

つまり,確かに利息制限法超過分について貸金業者は受け取っているが,その返済金はその時点で存在する元金に充当されるのであって,将来遅れた時のための分に充当されるわけではない,としています。ただし,例外として,「利息制限法超過部分については将来発生する分に充当しようね」という合意があれば良いとしていますが,そんな合意がされていることなどあり得ませんので,現実的には充当は不可能ではないかと思います。
 

正直な感想としては,私は最高裁判決やCFJの主張の方が納得できます。
 

事例は異なりますが,住宅ローンで繰り上げ返済という制度がありますよね。これって,将来返済に遅れた時のために支払っているわけでは無くて,繰り上げ返済をした時点での元金に充当されますよね。そして,例えば10か月分繰り上げ返済をしたからといって,10か月支払わなくても良いわけではありません。もし,10か月も遅れたら競売になってます・・・。
 

繰り返しとなりますが,もちろん,利息制限法超過分を違法に取られていたのであって,住宅ローンの繰り上げ返済のように自ら望んで支払ったものではありませんので,単純に比較するのはおかしいのかもしれません。ですが,余分に支払っている分は元金に充当されるという考え方は遥か昔から取られていた考えであり,実際に過払いの計算をするときも超過支払い分は当然に元金に充当しています。やはり,将来の支払い義務を免除する様な考え方はちょっと無理なように思えてなりません。
 

これにより,遅延損害金に関する争点については借主側からすれば一歩後退することとなりますが,他にも「期限の利益の再度付与」や「信義則違反」などがありますので,悲観する様な判決では無いと思います。

※7/29にも同種の判決が出ています。
最高裁サイト
判決全文(PDF)

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