12月 03 2019
オリンポス債権回収からの支払督促
オリンポス債権回収株式会社という会社から支払督促を起こされた旨の通知が届くことがあります。
「債権回収」という名前から分かるとおり,オリンポスと取引があったのではなく,他の会社と取引をしていたときに生じた債権が,他社からオリンポスに債権譲渡したり,または他社から回収の委託を受けてオリンポスが支払督促を申し立ててきます。
債権譲渡前もしくは委託している業者は,「ラックスキャピタル」,「OCC」など,ほとんど聞いたことない会社であり,大元の債権者はアプラスなどの信販会社やアイクなどの消費者金融であることが多いと思います。
さて,あくまで私の経験上ですが,支払督促が届いた時点ではほとんどの場合ですでに時効が完成しております。
支払督促に対して督促異議を出すと通常の訴訟に移行しますので,そこで消滅時効の主張をすれば勝訴できることが多いと思います。逆に言えば,オリンポスとしては通常の訴訟に移行すると敗訴する可能性が高いということになります。
したがいまして,督促異議を出すとその旨の連絡が裁判所からオリンポスに行き,その後オリンポスからなぜ督促異議を出したのかの問い合わせが入ります。その際に「消滅時効なので」と回答すると,そこでオリンポスは支払督促を取り下げてきますので通常訴訟に移行することなく支払督促は終了します。ただし,取り下げただけだと従前の状態から何も変わらないということになりますので,別途「債務不存在確認書」を交付してもらったり,「和解書」の取り交わしなどを行うべきです。
なお,オリンポス自らが進んで時効であることは絶対に言わないので,必ずご自身から時効である旨は伝えてください。
では,自ら「時効」である旨を告げなかった場合はどうなるのでしょうか。理屈の上では,通常訴訟に移行して争うことになるわけですが,オリンポスは時効であることは当然認識していますし,弁護士や司法書士が代理人に就いた以上は,代理人から時効である旨の主張をされることは当然分かっているはずですので,督促異議の時点でこちらから時効である旨を告げなくても取り下げてくるように思います。
ということで,あえてこちらからは何も言わないということを試してみたのですが,その結果は通常訴訟に移行してしまいました…。
ただ,答弁書で時効を援用するとオリンポスはやっぱり取り下げてきます。もちろん,取り下げに同意せずに判決をもらっても良いと思いますが,そうすると依頼者の方に無駄な費用がかかってしまいますので,取り下げに同意して終了となりました。
以上の次第で,どうしても判決が欲しいということであれば,督促異議を出し,オリンポスからの連絡も回答しなければ結果として判決になると思いますが,手続上面倒だと思いますので,督促異議を出したうえで,オリンポスからの連絡を待てば良いかと思います。
いずれにしても重要なのは支払督促に対しては督促異議を出すということですので,これだけはお忘れのないようお願いいたします。
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