4月 22 2010
利息制限法の利率の適法方法(最高裁判決)
利息制限法の上限利率の適用について最高裁判決が出ました。
→要旨
→判決全文(PDF)
これまでそのとおりに計算をしていたので,何を今さら感があり,むしろ,福岡高裁がそのような判決を出していたことに驚きました。
以下,具体的な例を上げて説明しますが,前提情報として利息制限法では次のような上限利率になってることをまずご確認ください(「上限」なので,それ以下であれば何%でもOKです)。
10万円未満(1桁万円)→20%
10万円以上~100万未満(2桁万円)→18%
100万円以上(3桁万円以上)→15%
では,具体例です。
当初限度額50万円で消費者金融と契約をしたとします。ただ,あくまで当初の限度額は50万円というだけであって,50万円借りる必要は無いので,まずは2万円を借りました。その後借入を継続し10万円になったとします。
この場合,2万円を借りた段階では10万円未満なので,例え限度額が50万円だったとしても20%が適用されます。今回の最高裁判決でも「限度額」が基準ではないことが明言されています。
そして,10万円になって以降は,18%で計算されます。
その後,限度額を100万円まで増額したとします。ただ,上記の通り,限度額がベースになるわけではないので,利率は18%のままです。そして,借入を継続し100万円になりました。この場合,当然18%から15%に変更されます。
問題はその後です。100万円になってから10万円+利息分を返済し,元金が90万円になったとします。
この場合に,いったん100万円になったのだから,その後に100万円を下回っても15%で計算するのか,それとも90万円になった以上,18%で計算するのか,この点が争点になっていました。
ちなみに,全国の弁護士,司法書士は当たり前のものとして,90万円になったとしても,15%で計算をしていますし,巷に溢れている計算書ソフトもそのような仕様になっていると思います。何より,これまで最高裁が判示した判決は,何の断りもなくすべてそのように計算されてきていました。
そして,今回の最高裁判決は,90万円になっても15%のまま計算すると判示しています。
したがって,今回の最高裁判決は,
①利息制限法の利息の適用利率の元本は「限度額」ではなく実際に借りている金額である。
②いったん,10万円以上に,あるいは,100万円以上になって利率が下がった場合,それ以降元本が減っても適用利率は変わらない。
ということになります。
なお,裁判官のところに,藤田裁判官のお名前がありましたが,確かこないだ定年退官されたよう気がするんですが・・・。