はなみずき司法書士事務所
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11月 12 2010

三審制で三連勝しました。

今日の記事はなかなかややこしい話しとなっており,しかも用語の説明をあまりしていないので,読んでもさっぱり意味がわからないかもしれません・・・。

 

さて,フロックス(旧クレディア)と長きに渡る裁判が終わり,無事三連勝となりました。とはいっても,私は弁護士ではないので,1審(瀬戸簡裁)は代理人として関与していますが,2審(名古屋地裁)と3審(名古屋高裁)は書類作成者として関与しています。

 

1審判決(PDF)
2審判決(PDF)
3審判決(PDF)

 

ただ,せっかく勝ち取った判決なんですが,実はあまり今後に活かすことはできない判決です・・・。

ざっくり説明すると,クレディアが民事再生をしたことによって,民事再生の開始決定日以前の債権については,再生計画案によると原則40%まで減額されてしまいます(ただし,30万円以下は全額返還されます)。
また,再生計画案の中に,潜在的過払債権者(民事再生手続の最中には過払い請求していない債権者)は,判決などで再生債権額が確定した日から3ヶ月後に支払うとされています。
したがって,判決が確定してから3ヶ月間はクレディア側としては支払いが猶予されることなります。

 

そこで,今回の判決ですが,私は提訴する際に,3ヶ月間猶予されているというのはクレディア側の抗弁であるため,私は猶予期間を無視して即時全額支払いで提訴したところ,クレディア側からそれに対する反論が無かったため第1審では全面的に認める判決がなされ,2審も1審の判決を追認しました。
すると,3審にあたってクレディア側は,「判決などで再生債権額が確定」とする際の「判決」について,民事再生手続においては個別執行が禁止されているんだから,給付判決ではなく確認判決をすべきだ,さらに,再生債権については3ヶ月の猶予があるのだから仮執行宣言を付すのもおかしい,と主張してきました。

 

それに対する3審(上告審)の判決は次の通りです。

民事再生法上,再生債権額の確定方法として給付判決が許されないと解すべき理由はない
ってか,原告が給付判決を求めているのに,確認判決をする事の方が違法でしょ。
民事再生法上,仮執行宣言を付すことは違法ではない
3ヶ月間の猶予があると言ってるけど,クレディア側は2審でそんなことは言ってないんだから,仮執行宣言を付しても不当ではない

ということです。
まず,①,②については当然なので特にコメントはありません。フロックスを相手にした全国の裁判所のほぼ100%の判決が給付判決だと思います。
問題は③,④です。上記の判決は,再生債権について仮執行宣言を付しても違法ではないとしています。しかし,これはあくまでクレディア側が3ヶ月の期限の猶予を主張しなかったからであって,3ヶ月の猶予の主張をした場合は仮執行宣言は認められないと思います。上記判決も「上告人(クレディア側)は原審において上記期限の猶予を主張していないから」としていることからも明かだと思います。
そして,現在クレディア側は必ず3ヶ月の猶予の主張をしてきます。それどころか,即時支払いの訴状を出すと,裁判所の方から訂正してほしいとの連絡があるくらいです。
したがって,上記判決の依頼者にとってはもちろん有利な判決ですが,今後の依頼者にも活用できるかというと,残念ながらあまり使えない判決ということになります。

 

う~ん,やっぱり今日の記事は小難しくてつまらんなぁ・・・。

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