はなみずき司法書士事務所
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5月 26 2011

「強制執行」悲喜こもごも

大手業者を除き,多くの中小の業者及び某グループは判決を取っても無視して支払いをしてこないことが多くなってきています。

特に,某グループに関しては,自社及びグループ会社のホームページに「○○弁護士はこんなひどいことしたんで懲戒請求しました」みたいなことが書いてあったりしますが,こんなこと書いておきながら,このグループは裁判所の判決を平気で無視していますので,私からすれば「お前が言うな」という感じです。

 

さて,業者が裁判所の判決を無視する場合,次の手段としては強制執行によって強制的に回収することとなります。
一口に「強制執行」といっても大きく分けて3つあり,①不動産執行,②動産執行,③債権執行となります。以下,簡単に記載します。 

 

不動産執行
これは,文字通り不動産を差押え,それを裁判所の競売手続によって売却してもらい,その代金から回収するという方法です。
しかし,不動産執行は,最初に裁判所に納める予納金だけで数十万円かかり,時間も年単位でかかります。とすると,例えば20万円の過払金のために,60万円も自腹を切るのはおかしな話しですし,そんなに時間もかけられませんので,不動産執行は現実的ではありません。 

 

動産執行
これは,上記不動産執行の不動産以外のものを強制的に売却して回収するものです。例えば,パソコンやテレビなどを売却して回収します。とある業者だとATMの中にある現金を差し押さえて回収することもあります。
ただ,パソコン等を売却しても大したお金にはなりませんので,ATMの中の現金を押さえる以外にはこちらもあまり現実的ではありません。 

 

債権執行
これは,目に見えない債権というものを差押え,その差し押さえた債権の債務者(第三債務者)から回収する方法です。
例えば,債務者がサラリーマンの場合,毎月決まったお金を勤務先から給与として支払いを受けていると思います。この債務者からすれば,勤務先に対して給与債権を持っており,勤務先は債務者に対して給与を支払う債務を負っているということになります。そこで,債務者が判決に従わない場合は,給与債権を差し押さえて,勤務先から直接回収しようというわけです。
他にも,預金者は金融機関に対して預けたお金を返してもらえるという預金債権を持っています。これを差し押さえることで金融機関から直接支払ってもらうことができます。
そして,債権執行で良く行うのが,この預金に対する債権執行ということになります。というのは,債権執行の費用は1~2万円程度とあまり費用がかからず,また第三債務者である金融機関はちゃんと手続を踏んでいればすぐに支払ってくれるからです。 

 

ただし,債権執行も難しい問題があります。それは,債務者の口座がどこにあるのか調べなければならない,そもそも口座に十分なお金が入っていないかもしれない,③他の債権者と競合するかもしれない,という点です。 

 

①については,口座番号まではわからなくても良いものの,「○○銀行○○支店」までは特定しなければなりませんので,ある程度口座を聞き出すなりして調べる必要があります。
②については,これが最重要事項であり,いくら金融機関を調べて差し押さえても,口座にお金が入っていなければ差押えは空振りに終わってしまいます。
③については,ある意味②と同じなのですが,口座にお金が入っていたとしても,別の人も同じ口座を同じタイミングで押さえていることもありますので,その場合は,口座に入っているお金を債権額に応じて分けることになってしまいます。
例えば,100万円分の差押えをして,実際に口座には150万円が入っていたとしても,別の人も同じように差押えをし,別の人の債権額が400万円だった場合には,案分比例で30万円しか回収することができません。 

 

なので,口座の差押えをするときは,どの口座を差し押さえれば良いのか,いつ申立をすれば良いのか,が勝負になってきます。
つまり,大口の取引をしていそうな口座を差し押さえようと思っても,大口の取引をしているのであればおそらく別の債権者もその口座の存在を知っていると思われますので,差押えが競合する可能性が高くなります。逆に,調査の結果誰も知らなさそうな口座を見つけたとしても,競合の可能性は低いでしょうが,そもそもその口座の中にお金が入っていない可能性が高くなります。さらに,大口の口座を押さえるとしても,月初は取引がまったくないけど,月末いつも大きなお金が入っているというような場合には,当然ながら月末に押さえた方が良いといったように,差押えのタイミングの問題もあります。 

 

ただ,これは事前にはまったくわからないので,結局のところ実際に差し押さえてみなければまったくわかりません。ある意味ギャンブルのようなものです。ということで,強制執行をしたときは,結果が送られてくるまでドキドキし,その結果に一喜一憂するわけです。
ちなみに,直近に差し押さえたものは,3つの口座を差し押さえ,1つは競合してしまいましたが,2つは満額回収できましたので,全体としては9割近く回収できましたので,良い結果だったと思います(ちなみに,この案件は一審判決に対して控訴されましたが,仮執行宣言が付いていたので判決後即差押えの申立てをしました)。
この「仮執行宣言」や「強制執行停止申立」等についても記載したいのですが,文字数の制限がありましたので,また次回記載したいと思います。

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