はなみずき司法書士事務所
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7月 12 2009

「悪意」の推定に関する最高裁判決

日曜日に仕事をしているので,ゆっくり↓の記事の続きを書こうと思っていましたが,過払い金に関する最高裁判決が出たので,今日はこちらの判例について記載します。

「悪意」についての最高裁判決が出ました。
最高裁サイト
判決全文(PDF)

端的に説明することが難しいので,順をおって説明してきます。

<過払金が発生する理由>

まず,過払い金が出る理屈というのは,本来取ってはいけない利率の利息を消費者金融等の業者が取得していたため,その適法な利率との差額分は払い過ぎているとして,その差額の返還を求めることにあります。
ただし,以前「みなし弁済」という規定があり,業者は一定の条件を満たせば,「本来取ってはいけない利率」での利息の取得がOKになりました。

このみなし弁済の要件はいくつかありますが,よく争点になっていたのが
①17条書面の交付
②18条書面の交付
③債務者が任意に支払ったこと(任意性)
の3点であり,一つでも要件を満たさないと,みなし弁済は認められません。そして,平成18年に③の任意性については,「期限の利益の喪失特約」が入っていた場合は認めないという最高裁判決が出ました。また,通常,業者の契約書にこの特約が入っていないことは,まずありえないため,裁判をすれば,みなし弁済で負けることはなくなりました。

よって,みなし弁済が認められない以上,本来取ってはいけない利率の利息は,過払い金となり,返還請求できることとなります。

<利息が付く理由>

次に,過払い金には利息がつくことがあります。これは,民法704条に規定されており,超過利息分だということを知って債務者からお金を受領していたのであれば(悪意),過払い金の元金だけじゃなく,それに対する利息(5%)をつけて返しなさい,となっております。逆に言うと,超過利息だということを知らなかったら(みなし弁済が成立すると認識していたら)元金だけの返還でいいよ,ということになります。
ですので,この悪意の部分というのは,非常に重要な点になりますが,悪意というのは,知っていたか,知らなかったのか,という心の中の問題なので,簡単に証明することができません。

そこで,最高裁はどのような解決を図ったのかというと,平成19年に「みなし弁済が成立しないのであれば,原則として悪意と推定します」との判決を出しました。
したがって,基本的には業者側が悪意じゃない(みなし弁済が成立すると認識していた)ことを立証しなければ,原則として利息は付くということになります。


ところが!
これに一部制限を入れたのが,今回の判決です。

この判決は,
「少なくとも平成18年判決が出るまでは,業者も任意性があると思っていた(みなし弁済が成立すると認識していた)のはやむを得ないから,この任意性の要件が欠けただけで,悪意と推定することはできない」としています。

つまり,これまでは,

みなし弁済が認められない=悪意と推定

でしたが,

任意性が認められないからみなし弁済が認められない=悪意とは推定できない

ということになりました。

わかりにくいですね。

つまり,みなし弁済の要件うち③が欠けているだけの場合,みなし弁済は認められないから,過払い金は返還しなければならないけど,利息は付けなくてもいいよ,ということです。

ただし,

みなし弁済の要件は,③だけではなく,①と②もあります。したがって,①と②の要件を満たしており悪意じゃなかった,ということは,やっぱり業者は立証しなければなりません

以上から,業者側は,利息の支払いを防ぐために,①と②の主張立証をしてくると思われますので,訴訟の長期化,交渉による解決の困難さが,より深まるのではないかと思います。また,今回の判決を都合よく解釈して,「平成18年判決以前は,常に悪意が推定されない」と意味不明な主張をしてくるかもしれません・・・。

ますます,過払い金の返還請求は困難になってきていますねぇ・・・。


なお,この判例に関する説明はあくまで,私が個人的に考えたことですので,誤りがある可能性があります。この情報を利用される場合は,皆さん個人の責任において,ご利用ください。

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