はなみずき司法書士事務所
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11月 22 2011

自己破産・個人再生における自動車の取扱い

※今回の内容はあくまで名古屋地裁の取扱いです。他の裁判所では取扱いが異なる可能性が多分にありますのでご注意ください。

 

珍しく自己破産や個人再生に関する話です。
自己破産等において,自動車を残せるか否かというかなり大きな問題なんですが,ちょいとややこしい話ですので,言葉の説明等も踏まえながら記載していきます。

さて,自己破産を行う場合,不動産や自動車のような高額な財産がある場合は原則として換価(現金化)した上で債権者に分配することとなります。また,個人再生においては財産を換価する必要はありませんが,その財産に相当する額を債権者に支払わなければなりません。

しかし,高額か否かに関係なく,ローンで購入したもの所有権留保が付いたものについては,自己破産においても個人再生においてもローン会社に引き揚げられることになります。

 

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<所有権留保とは>

所有権留保で一番出てくるのは自動車なので,自動車を前提に説明します。

自動車(普通車)を現金で購入した場合,車検証の「所有者」欄及び「使用者」欄のどちらについても購入された方のお名前が入っていると思います。ところが,信販会社でローンを組んで購入された場合は「所有者」欄には当該信販会社(オリコやアプラス,トヨタファイナンス等)やディーラー等(ネッツトヨタ,ホンダカーズ等)の販売会社の名前が入っており,「使用者」欄には購入された方の名前が入っていることが多いと思います。
これが所有権留保というもので,簡単に言えば,自動車はローンを払い終わるまでは信販会社等の所有物であって,購入者は単に使わせてもらっているに過ぎないということになります。

したがって,のちにローンの支払いが滞った場合には,所有者である信販会社から自動車を返せと言われることになります。

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この所有権留保についてですが,上記の通り「所有者」欄には信販会社の名前が入っていることもあれば販売会社の名前が入っていることがあります。ただ,いずれにしても購入者の名前は入っておりませんので,自己破産や個人再生の申立てを行う場合は,信販会社等に引き揚げられることとなります。

 

ところが,この点について昨年最高裁が(ざっくり言うと)「信販会社の名義の場合は引き揚げても良いが,販売会社の場合は引き揚げてはならない」という判決を出しました。
判決要旨
判決全文(PDF)

 

これが本当に大問題なんです。だって,名義がどちらになるかによって,自動車が残せるか取られるか決まるわけですからね。しかも,ディーラーに勤めている知人の何人かに聞いてみたんですが,「所有者」欄が信販会社になるか販売会社になるかは,特段決まりが無いとのことでしたので,たまたま名義が信販会社であれば取られてしまうし,たまたま販売会社になっていれば残せることになり,本当に偶然の産物によって結論が分かれることとなります。

 

なお,「自動車が取られない」ということはメリットばかりではなく,時としてデメリットになることもあります。
例えば,高額の自動車をローンで購入し,その後に自己破産等の申立てを行う場合,これまでであれば,自動車は引き揚げられているため,簡単な手続である「同時廃止」という比較的簡易な破産手続で進めることができました。しかし,自動車が引き揚げられない場合,一番最初に書いたとおり,自動車を換価しなければなりませんので,その換価の為に「管財事件」という重い破産手続になることが考えられます。もし,管財事件になれば費用は40万円以上余分にかかりますし,時間も年単位でかかってしまいますので,結果としては自動車を残せてしまうことで逆に損をすることになります。

ということで,普通自動車の場合は車検証の所有者欄が誰かによって自動車が残せるか取られるか結論が分かれることとなります。

 

一方,軽自動車の場合は普通自動車とは結論が異なります。
軽自動車も所有権留保はあるんですが,車検証の名義では判断しないこととなっております(道路運送車両法4条及び5条)。
では,何で判断するのかというと,名古屋地裁では「契約書の記載で判断してください」とのことです。つまり,車検証の所有者欄が誰になっているのかはまったく関係なく,ローンの契約書に「1回でも支払いが遅れた場合には,自動車を信販会社に引き渡します」というような文言が入っていれば,引き渡さなければならないということになります。そして,ほとんどの場合,そのような文言が契約書の中に入っていると思いますので,ローンが残っている軽自動車については,まず間違いなく取られるということになります。

 

ちなみに,このような取扱いになったのは,ここ最近の話です。
自動車を取られるのか残せるのかというのは申立をする方にとっては重要な事柄なんですが,アナウンスもなく取扱いを変えられると本当に困ります。ということで,私が代わりにアナウンスしてみました。
ただし,最初に記載したとおり,これはあくまで名古屋地裁の話であり,また名古屋地裁の取扱いも完全に固まっている訳ではないとのことでしたので,今後も取扱いが変わる可能性があります。したがって,自己破産等をご検討されている場合は,この点については再度ご依頼される弁護士,司法書士にご確認いただければと思います。

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