はなみずき司法書士事務所
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11月 30 2011

長年放置しているといろいろ消えちゃいます

ちょうど10年前に完済した分の過払い請求のご依頼をお受けしたため,今日は時効について書いてみたいと思います。 

 

借金や過払金については,ある程度時間が経つと時効によって権利が消滅してしまいます。
借金については支払わなければならなかった日から5年間支払わないと時効により借金は消えてしまい(商法522条),逆に過払金については10年間請求しないと消えてしまいます(民法167条)。

借金を支払わなくなって6年程度経っているので時効を主張するために調査をしてみると,実は過払いになっており,過払いの時効は成立していないため,逆に返ってきたりなんてこともあります。

 

なぜ時効という制度があるかというと,長年放置していたわけですから,「権利の上に眠るものは保護しない」という考えなどによるものです。

 

 

この時効にはいくつか注意点があります。

 

(1)時効は中断することがあります

 
5年や10年経つ前に「時効中断事由」が発生すると,そこで期間の計算がストップし,中断事由がなくなってから再度スタートします。
時効中断事由でよく出てくるのが,「請求」と「債務承認」です。

①請求
端的に言えば,訴えてしまうということです。一度訴えてしまえば,裁判をやっている最中に時効の期間が経過したとしても時効は完成しません。
なお,単に口頭で「返して」と言ったり,書面で請求することもできますが,これは時効中断事由としての「請求」ではなく,「催告」(民法153条)になります。
この「催告」をしておくと,その後6か月以内に「請求」をすれば催告のときに時効が中断したことになります。
したがって,上記のとおり,10年ギリギリでお受けした本日のご依頼については,とりあえず催告をしており,準備ができ次第訴訟を提起することになります。

②債務承認
これは,債務者が負債があることを自ら認めることです。この債務承認については請求のように「訴訟をしなければならない」というような決まりはありませんので,口頭で認めても良いですし,書面で認めても構いません。ただし,のちにトラブルになることを防ぐために,専門家が介入している場合は,債務承認に関する書類(例えば,債務承認弁済契約書)を作成し,印鑑をもらっておくと思います。

 

(2)時効は援用しなければなりません。

 

5年や10年経過しても,時効の援用をしなければ時効の効力は発生しません。この「援用」というのは,「時効なんで借金の返済はしませんよ」ということを相手に伝えることです。
ですので,5年や10年経っていたとしても,「借りたもんはちゃんと返します!」という方については,返済してもらっても構わないということになります。
ここで重要なのは,5年や10年経過後に援用せずに債務承認をしてしまった場合には,やっぱり「援用します」といって消滅時効を主張することができなくなってしまいます(時効利益の放棄)。

これを利用して業者がカマをかけてきたりします。
例えば,すでに5年経過している場合は,時効の援用さえすれば返済する必要はありません。そこで,業者の方としては,「全額とは言わないから,1000円だけでも払ってもらえませんか?」というような話を持ちかけてきます。ここで1000円くらいならいいか,ということで払ってしまうと,借金の存在を認めて1000円を払ったということになり,その後に時効を援用することができなくなってしまう可能性があります。

たかが1000円払ってしまったことによって何十万円,何百万円という返済をしなければならなくなってしまいます。

 

(3)ちゃんと時効期間を経過していないと逆に多大な損害金を支払う可能性があります。

 

消滅時効の期間が経過して援用すれば借金は無くなります。しかし,4年と11ヶ月で時効の援用をしても当然借金は消えません。むしろ,4年11ヶ月は支払っていない訳ですから,ものすごい金額の遅延損害金が付いており,遅延損害金だけで元金の2倍以上になっていることもあります
相手が忘れていたのに,間違えて時効援用通知を送ってしまったことによって,逆に「寝た子を起こす」ことにもなりかねません。
したがって,安易に時効の援用はせずに,専門家としっかり相談のうえ進められた方が良いと思います。

 

なお,今回は書きませんでしたが,時効には消滅時効の他に取得時効というものもあります。これは,他人の物を勝手に使っていたら,自分の物になってしまうというもので,逆から見れば,自分の物がいつの間にか他人の物になってしまうという恐ろしい制度です。消滅時効,取得時効のいずれにしても時効が成立(完成)するまでには相当長い期間の経過が必要となりますので,「権利の上に眠る者」にならないようご注意ください。
ちなみに,弁護士や司法書士の報酬については2年で時効になってしまいます。私も「権利の上に眠る者」にならないよう,過去の帳簿を広げてみましょうかね(笑)

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