12月 24 2015
債務整理後の住宅ローンの申し込み
正直なところ,結論としては「よくわからない」なのですが,よくご質問いただくことであり,先日もご質問いただいたためまとめてみたいと思います。
いわゆるブラックについて
過払い請求を除き,債務整理を行ってしまうといわゆるブラックになってしまいます。
「ブラックになる」というのは,信用情報機関が扱っている信用情報に事故情報が載ってしまうことを指し,融資等の申し込みをした場合には,申し込みを受けた金融機関等は信用情報を見て融資するかどうかを判断します。その際に,事故情報が載っていた場合は,まず間違いなくその理由だけで融資の審査は通りません。
【信用情報機関】
信用情報機関は大きく分けて3つあり,銀行系,信販会社系,消費者金融系になりますが,完全に分けられているわけではなく,重複して情報が掲載されていることもあります。
銀行系→全国銀行個人信用情報センター
信販系→CIC
消費者金融系→JICC
【事故情報】
長期(3か月)の延滞,任意整理や自己破産等の債務整理,保証人等が返済した際の代位弁済などが情報として登録され,5年程度経過すると抹消されます。
住宅ローンの審査
住宅ローンに限らず,融資等の申し込みを受けた金融機関は融資の可否についての審査を行います。
審査項目は各金融機関によって異なりますが,通常は,申込者の情報(年齢,年収,勤務先,勤続期間,家族構成等)はもちろんのこと,申込者の信用情報,ローンの金額,購入される物件の価格や立地,頭金の有無などを総合的に考慮して融資をするか否かの判断を行います。
この点,確実に言えることは,過去に債務整理をした方は債務整理をしてからあまり時間が経っていないとブラックのままですので,収入等の他の状況に関係なく審査は通りません。さらに,ブラックになっていないことは大前提として,それ以外の状況によってはブラックになっていなくても審査が通らないということは当然あり得る話です。
ただ,一般的に金融機関の担当者の方はなぜ審査に落ちたのかを教えてくれませんので,ブラックだったのであれば理由は簡単ですが,それ以外だと実際のところ何が問題だったのかはわからないことの方が多いものの,金融機関の担当者が教えてくれない限り審査に落ちた理由を知るすべはありません・・・。
金融機関ごとの差
審査する金融機関はそれぞれの審査基準がありますので,とある金融機関では審査が通らなくても,別の金融機関では審査が通るということは普通にあります。そのことを指して,「審査が甘い」とか「審査が厳しい」という表現がありますが,私が司法書士という関係上,住宅ローンに接する機会が多いため審査の差を肌で感じる部分はあります。
例えば,名古屋に唯一あった都銀さんの流れを組む某銀行さんは,「なぜこの収入でこの金額のローンが通ったのだろう・・・」と思うようなケースをたまに見かけます。また,もう7~8年くらい前の話になりますが,当事務所で債務整理をされ,最終的には返還された過払金で他社の残債務を完済された方が,債務整理の2~3年後にこの銀行さんで住宅ローンが通りました。債務整理をして2~3年では事故情報は消えないのに,なぜ組めたのか今でもよくわかりません。なお,この方以外の方は債務整理後5年以内に住宅ローンの審査が通ったという話は聞いたことがありませんので,たまたま情報を見落としたのでしょうか?
また,岐阜県にあるちびっ子がダンスをしているCMなどで有名な地方銀行さんは,他の金融機関は通ったのにここだけ通らなかったというお話をよく聞きますので,かなり厳しいと予想されます。ただ,この地方銀行さんが特別金利が低いという訳でもなく,この金融機関にこだわる理由はあまり無いように思います。
他にも,岐阜県東部に本店のある信金さんは,比較的審査が緩めの独立系の保証会社を使っているので,「ここがダメなら他もダメだ!」という感じで最終手段として審査を申し込む方が多いようです(保証料等の諸経費がちょっと高いみたいです。)。
最後に
ということで,ブラックになっていなくても審査が通らないことは当然ありますし,各金融機関によって審査基準も違いますので,ブラックになっていないのに審査が通らないという方は,むちゃくちゃな申込み(例えば,年収300万円で1億円の融資を申し込む等)でない限り,一度の審査不許可にめげずに別の金融機関にチャレンジされることをお勧めします。
もっとも,「審査の申し込みをした」ということそれ自体も信用情報に残りますので,審査申し込みの乱発するのは避けた方が良いと思います。
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