はなみずき司法書士事務所
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9月 08 2015

大槌町及び南三陸町に行ってまいりました。

※今日の記事は,業務とはまったく関係ありません。予めご了承をお願いいたします<(_ _)>

 

 

昨日は臨時のお休みをいただき,9月6日と7日に東北地方の三陸海岸の自治体に復興支援のお手伝いのために行って参りました。

 

先の記事にも書いておりますが,国や自治体,また私が所属する司法書士会等の公的なところの主催ではなく,知り合いの社長さんが個人でこれまでにも何度か東北各地で炊き出しを行っているもので,第1回開催時は現参議院議員のアントニオ猪木さん,今回はラッツ&スターのクワマンこと桑野信義さんも参加されていたようです

今回の炊き出しは,クラウドファインディングのマクアケを利用し,皆さんからの資金援助はあったもののそれでも数百万円単位で持ち出しているそうで,少しでも助けになればと思い足手まといにならないようお手伝いに行ってまいりました。

 

 

岩手県大槌町


社長さんたちは,8/25に名古屋から東北へ向けて出発し,福島県の南相馬市から炊き出しをスタートされていましたが,私が参加させていただいたのは9/6の岩手県大槌町からでした。

大槌町と言えば,町長さんを始め,課長職以上の方が全員津波で犠牲になってしまい,町として機能不全になってしまったこと及び津波が引いた後のビルの上に船が止まっているという映像が衝撃的でした。

 

【地震】民宿の上の観光船解体へ 岩手・大槌町(Youtube)

 

今回,私が参加させていただいたのは,大槌町内各地に設けられた仮設住宅団地のうち「小鎚第8仮設団地」というところでした。

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↑ 小鎚第8仮設団地

 

 

当日の炊き出しの様子はこちら

こちらの自治会長さんにお話を伺ったところ,このような仮設住宅の団地が全部で48か所あり,少しずつ入居されている方は減ってきているものの,それでも当面の目標であった震災から5年で全員が仮設住宅から卒業するというのは極めて難しい状況にあるそうです。  この「5年」というのは,阪神大震災における仮設住宅を最後に退去された方が5年だったこと及び各自治体が5年を一応の区切りとの方針を定めたことによります。

 

すでに,震災から4年半,恐らく入居が遅い方でも丸4年はお住まいになっていると思いますが,移り住もうにも移る場所がないため現状を打開するのはかなり難しいようです。

 

その他,伺ってみて初めて知ったことをいくつか記載いたします。

 

(1)このような炊き出しについては,否定的な自治体(役所)も多い。

無料で支援してもらうことに慣れてしまう住民の方も多くなってしまい今後の生活の自立に支障が出るから,とのことでした。ただ,中には無料はダメだけど100円など少額でも良いので料金をもらってもらえれば大丈夫という自治体もあるそうです。

 

(2)実は,震災の直前である3/3に大槌町では大規模な避難訓練をしていた。

2011年に限らず,毎年3/3に避難訓練をしているそうです。というのは,昭和8年3月3日に起きた昭和三陸大地震でもこちらの地方には大津波が来ており,それを忘れないようにということで毎年3/3に避難訓練をしているようです。 この時のことを自治会長さんに伺うと,訓練をしたのは土や瓦礫に埋まってしまった人たちを助けるためスコップなどを使って助け出す訓練だったそうで,「逃げる」というのは無かったようです。
 
この地方には,昔から地震が来たら「とにかく逃げろ。そして何があっても戻るな。」という言い伝えがあるようで,自治会長さんも着の身着のまま高台にある幼稚園に逃げて難を逃れたそうです。自治会長さん曰く,スコップで掘り出せるような訓練なんてある意味パフォーマンスであり,純粋に「ただただ髙いところへ逃げる」ということをもっと強く言っておくべきだったと後悔されていました。

この教訓は,近い将来必ず起こると言われている東南海大地震に備えて,静岡県,愛知県,三重県など太平洋沿岸部にお住まいの方は心に刻んでおくべき言葉だと思います。

 

(3)1~2メートル底上げして,そこにまた建物などを立てる予定。

現在,国や県が主導して,もとの町に盛り土をして底上げし,そこに再び家を建てる計画があるそうです。もちろん,盛り土以外にも堤防を高くするなどの対処もするそうですが,堤防を高くすることによって,逆に津波が来ていることに気付きにくくなると懸念されていました。何より,1~2メートルだけ底上げしてどうにかなるとも思えず,地元住民の多くの方が家を建てるにしても高台が良いと思われているそうですが,国や県が主導しているのでなかなか話が進まないというようなことを仰っていました。
 
 
 

メディアで得る情報より多くの,かつ,深いお話が聞け,やはり現地に行ってみなければ何もわからないものだと再認識しました。

その後,旧大槌町役場や線路が流されてしまい今は使われていない駅,その線路沿いに建っていた昭和8年の地震の際の碑などを見学し,宮城県へ向かいました。

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↑ 旧大槌町役場庁舎。短針が無いので時間はわかりませんが,津波が到達したとされる(15時)20分で長針は止まっています。

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↑ 途中の線路が流されてしまい今はもう使われていない吉里吉里駅

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↑ 線路が流されてしまった橋(吉里吉里駅の隣の波板海岸駅から撮影)

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↑ 昭和8年の地震の際の碑

 

 

 

陸前高田~気仙沼


翌日の炊き出し会場である,宮城県南三陸町に向かう道中,陸前高田市及び気仙沼市を訪ねました。

陸前高田市と言えば,大津波が来る中唯一倒壊せずに耐えた「奇跡の一本松」が有名になりました。

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↑ 奇跡の一本松を気仙川対岸から撮影

これだけ聞くと良い話なのですが,地元の方からお話を伺うと,津波が来た時に津波で押し流された大量の松によって家族の命や自宅が失われたために一本松を見て思い出してしまうという方も多くいらっしゃるようで,保存することについての賛否が分かれているようです。なお,多額の費用をかけて一本松を保存する理由の一つとして一本松を見に来る観光客を誘致するため,というのがあったようですが,日曜日にもかかわらず私が訪ねた際にはあまり観光客はいなかったように思います。

 

また,その一本松の近くにあるガソリンスタンドの看板にこのような記載がありました。

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「津波推移15.1M」

5階建てのビルと同じ高さです。想像しただけでも体が震えます。

 

また,気仙沼市では復興屋台村に行きました。芸能人がたくさん来られているようでたくさんの写真とサイン色紙がありましたが,今は寂れているように感じました。実際に,日曜日であったにもかかわらずお客さんがまったくおらず,お店も半分以上が閉まっていました・・・。

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南三陸町


南三陸町では,「志津川中学校グラウンド仮設住宅」に伺いました。文字通り中学校のグラウンドの一部に作られた仮設住宅団地です。

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↑ 学校の校舎側からグラウンドを撮影

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↑ 仮設住宅から学校の校舎を撮影

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↑ 集会所内にある全国各地からの手紙

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↑ この写真は高台に建っている中学校から海側を撮影したものですが,津波はこの高さの半分くらいまで来たそうです。

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↑ 少し角度は違いますが,震災前の写真です。

 

この日は月曜日だったため,お越しになった方は年配の方と就学前のお子さんたちでしたが,皆さん美味しく召し上がられており,中には何杯もおかわり&持ち帰りまでされる方が続出で大盛況でした。

当日の炊き出しの様子はこちら
 

また,お子さんの年齢を聞くと4歳。震災が起こったのは4年前。つまり,生まれた時からの記憶がずっと仮設住宅ということになるんですが,そのようなことを感じさせない元気いっぱいな笑顔に一緒に暮らしている年配の方も救われているようです。

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↑ こちらは「みっちゃん」というとっても可愛い女の子なんですが,誕生日を尋ねても「個人情報だから教えなーい」と言われてしまったので,個人情報が漏れないよう「いないいないばぁ」の「いないいない」のところを激写した写真を載せておきます(笑)

 

その後,最後まで避難を呼びかけ,庁舎に残っていた職員30名のうち20名が亡くなった防災庁舎を訪ねました。

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手を合わせ,線香をあげさせていただきました。

 

 

帰りに寄ったお土産屋の店員さんが仰っていましたが,たくさん観光客の人が来てくれるけど,人によっては「もう大分復興したね」という方もいれば,「まだまだこれからだね」という方もいるようで,訪れる方によって復興への印象の度合いが違うそうです。ただ,正直なところ,現在の南三陸町を見て「大分復興したね」と思う方は100人中5人もいないと思います。

 

ちなみに,炊き出しに使うキャベツが少し足りなかったので,近くのお店に買いに行ったのですが,近くにはそもそもお店自体がなく,最終的にキャベツに辿り着いたのは探し出してから45分,走行距離にして15キロ,4件目のお店でした。名古屋市内にいれば,キャベツを買いたいと思ったら車で5分圏内のどこかのお店で買えると思います。そのような当たり前に思っていることができない状況なわけですから,到底復興したとは言えないでしょう。

 

すでに震災から4年以上が経ち,3/11のような区切りの日は別として,それ以外はほとんど報道されなくなってしまいました。しかし,現地を訪ねると,依然復興までの道は長いことを感じさせます。

 

今回は,たまたま知り合いの社長さんが企画された炊き出しに私は乗っけてもらっただけに過ぎませんが,今後も震災を忘れることの無いよう,また,震災を教訓として生きていけるよう今後も東北地方を訪ねたいと思います。

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9月 04 2015

復興支援のため臨時休業のお知らせ

9/5から9/7まで,いつもお世話になっている「博多もつ鍋屋」さんが主催している東北の復興支援事業(炊き出しボランティア)に参加させていただくため,この期間については電話及び来所によりご相談等をお受けすることができません。ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございません。 
 

なお,上記期間のお送りいただいたメールについては,8日に返信させていただきます<(_ _)>
 
 

以上,臨時休業のお知らせでした。

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8月 25 2015

アイフル,借金完済。

アイフル株式会社は,平成21年に事業再生ADRという手続を行い,金融機関等の債権者からの返済を一部待ってもらう手続を行い,財務の改善を進めてきました。
 

また,過払いになっている事件については,上記ADRを理由として大幅な減額を求め,逆に借り入れが残るような案件については,利息の免除などをせず強硬に請求することもありました。 
さらに,訴訟になった際も,週刊誌のアイフルに関する悲観的な記事を証拠として提出し,過払金を減額するよう主張してきました。 
 

そんなアイフルですが,ついに借金を完済するようです。

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これを受けて株価も上昇したようですので,市場もアイフルの経営が正常化したと判断したようです。
 

これまでに何度も書いておりますが,アイフルはこちらからの過払い請求に対して,「このままだと潰れるから大幅な減額をお願いします。」,「先生以外の方の多くが減額してくれています。」などと言って法的根拠の無い減額を主張し続けました。また,減額を飲まない事務所に対して本人に対しての調停申し立てや債務不存在確認の訴え,移送申立てなどあらゆる手段を使って対抗してきました。 

当事務所ではあくまで「依頼者のお考えがすべて」というスタンスですので,大幅に減額しても良いので和解して早期に返還してほしいということであれば早期に和解しますし,アイフルの倒産リスクを説明させていただいてもアイフルからは全額回収したいという方については判決まで戦いました。そして,当事務所においては後者の方が大多数でしたので,アイフルに関するご依頼のほぼ全件が判決になっています(中には他の事務所で「判決まではやらない」と言われて断られ,当事務所を紹介されて来られた方もいらっしゃいました。)。

結果として,アイフルは倒産することなく銀行団からの金融支援をすべて完済しましたので,全額請求して判決まで戦うという選択肢は正解だったと思います。

恐らくアイフルに対する過払い自体かなり少ないと思われますが,今後はアイフルの倒産リスクを考える必要はほとんどなくなりましたので,これまで以上に強気で戦えると思います。むしろ,経営が正常化したのであれば,訴訟前の交渉で全額返還してもらえるといいんですけどね。

現時点でも複数の対アイフルの訴訟が係属していますので,また過去の傾向と比べて変化がありましたらまたこちらで報告させていただきたいと思います。

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8月 11 2015

お盆期間について

当事務所では,お盆期間は以下のとおりとなります。 
 

8月12日午後6時まで  通常業務
 

8月13日~8月16日  お盆休み
 

8月17日午前9時から  通常業務
 
 

したがいまして,お盆休み期間についてはメール及びお電話等によりお問い合わせをいただいた件については,8月17日以降の回答となってしまいますので,予めご了承をお願いいたします。

以上,お盆期間についてのお知らせでした。

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8月 10 2015

再度の債務整理

今年に入ってから再度の債務整理(過去に債務整理を行い,その時の債務は完済したものの,再度借り入れをしてしまい債務整理をする)を行う方が増えてきたように思いますので,今回は再度の債務整理について記載したいと思います。 
 

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個人における債務整理は,ざっくり言うと話し合いで解決できるようであれば任意整理や特定調停,多少の返済ができる場合や住宅を残したいという場合は個人再生,一度ゼロからスタートしたいという場合は自己破産となります。
 

過去に何らかの債務整理を行った場合,その時点でいわゆるブラックになってしまいますので借り入れができなくなってしまいます。しかしながら,どんな債務整理を行っていたとしても永遠に情報が残ることは無いため,その時の収入によっては一定期間経過後に借り入れをすることができ,借入の状況によっては再び債務整理を検討しなければなりません。 
 
 

再度の自己破産

 

過去に任意整理や特定調停をし,完済したもののその後に自己破産をするという場合は特に問題はありません。もちろん,具体的な中身によっては裁判所から事情説明を求められることはあるかと思いますが,自己破産自体は初めてですので一般的な自己破産と同じになります。
 

しかし,過去に自己破産や個人再生を行っている場合は状況が異なります。
 

破産手続において,過去7年以内に免責許可(借金の免除)を受けた場合は再度の自己破産の申立てがあっても免責許可はされないことになっています(破産法252条1項10号イ)。
 

同様に,過去7年以内に給与所得者等個人再生を行い,再生計画案通り遂行されるか途中でいわゆるハードシップ免責を受けた場合免責許可はされないことになっています(同ロ及びハ)。なお,制限されるのは給与所得者等個人再生であり,小規模個人再生の場合は関係ありません
 

したがって,上記のように7年以内に手続を行ってしまっている場合は,条文上は裁量免責の余地はあるものの,ほぼ確実に免責許可はされませんので,申立てをした時点で裁判所からは事実上の取下げ勧告を受けることになると思います。
 

当事務所では,7年以上経過していたので法的には問題ありませんが,過去に自己破産の申立てをして免責許可決定を受けたことがある方の自己破産の申立てを進めたことがあります。この事件の場合は,前の破産と今回の破産とではまったく関係ない理由でしたが,かなり厳しく裁判所から質問事項が来て大変だった覚えがあります。結論としては無事免責許可決定が出ました。 
 
 

再度の個人再生

 

上記同様,自己破産同様過去7年以内に自己破産による免責許可及び給与所得者等個人再生を行っている場合は給与所得者等個人再生による申立てをしても棄却されてしまいます民事再生法239条5項2号)。
 

こちらについても,小規模個人再生の場合は関係ありません
 

ただし,事実上の話としては,7年以上経過していて個人再生を進める場合でも,7年以内に小規模個人再生を進める場合でも,裁判所の目や再生委員の目は厳しくなると思います。 
 
 

再度の任意整理及び特定調停

 

任意整理や特定調停は過去にどんな手続を行っていても再度の任意整理等を行うに当たって特段制限はありません
 

ただし,以前任意整理を行って債務が減ったので今回も減るもんだと思われている方が結構いらっしゃいますが,再度の任意整理で減る方はあまりいらっしゃらないと思われます。というのは,債務が減った理由は借入をされている当時,利息制限法を超過する金利で借り入れをされていたからであり,利息制限法所定利率で計算し直せば基本的には借り入れが減るのは当然です。しかし,再度の任意整理等をされる方の場合,比較的近い過去に取引を開始されていることから,利息制限法所定利率を超過しているということは通常ありえませんので債務が減るということはありません。しかも,取引が短い関係上,任意整理においても長期の分割をお願いしても飲んでくれないことも多く,交渉が難航することも少なくありません
 

過去に当事務所で任意整理を行い,その10年後に再度の任意整理をされた方のケースは,金額がかなり多かったにも関わらず,当初は「分割での返済は認めない」というように強硬な姿勢で来られました。事情を説明し,何度も交渉を重ねた結果,ボーナス月の返済を少し多くすることで和解が成立しましたが,最後まで強硬に来られた場合には任意整理では解決できないかもしれません。
 
 

ということで,再度の債務整理を行う場合,どの手続を選ばれたとしてもハードルは上がりますので,一度目の債務整理を行った時のお気持ちを忘れず,同じ過ちを繰り返さないようにしてください。ただ,どうしても再度の債務整理をしなければならないような状況になってしまった際にはご相談ください。

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7月 13 2015

泣く子も黙る包括根保証契約

先週末,こんな記事がありました。
 

30年知らされず破産、銀行提訴 根保証契約「非情」と妻
 

記事で説明されている情報が少ないため,推測になってしまう部分がありますが,今は法改正によりあり得ない部分もありますので,誤解の無いよう補足しておきたいと思います。

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記事の内容

 

「夫の経営する会社のみずほ銀行に対する債務について,包括根保証契約を締結した妻がこの包括根保証契約について何も知らされておらず,それにより会社の債務を負うことになった結果,破産した。」というものです。

 

上記記事の「妻」が本当に知らなかったのかどうか私にはわかりませんが,もし知らなかったのであれば,自分の借金ではない借金で破産させられるのはやりきれない思いもあるでしょう。

 

泣く子も黙る包括根保証契約

 

上記記事で問題になっているのは,包括根保証契約というものです。この契約は,保証期間及び保証金額の制限無く主債務者の債務を保証をするというもので,保証人にとっては白紙の契約書にサインをしてしまうくらい恐ろしい契約です。

 

似たようなものに,根抵当権というものがあります。これは一定の限度額(極度額)まで一定の取引によって発生した債務について,不動産をもって担保に供する制度です。例えば,夫と金融機関の銀行取引によって発生する債務について,妻が所有する不動産に極度額2000万円の根抵当権の設定をした場合,夫と金融機関の取引について夫が支払えなくなった場合は,妻所有の不動産を強制的に売却し,その中から2000万円を優先的に返済してもらうことができることになります。逆に言えば,最大でも2000万円ですので,どうしても不動産を取られたくないというような場合は,妻は2000万円を現金で支払えば不動産を売却されることを防ぐこともできます。

 

ところが,包括根保証契約は金額の制限がないため,上記ニュースの事案だと夫の会社が仮に100億円の負債を負ってしまった場合,妻は100億円を返済しなければなりません。しかも,主債務者である会社が借金をする際に,その都度包括根保証人である妻の承諾など必要ありませんので,妻は当初は1億円の負債を保証していたものが,知らないうちに100億円の負債を保証していたということもあり得ます。

 

法改正

 

上記のとおり包括根保証というのは,白紙の契約書にサインをしてしまうくらい,恐ろしい契約であることから,借主側の保護のため,平成17年4月1日に保証契約に関する改正が行われました。今後日常生活を送る中で重要な点もありますので,覚えておいて損は無いと思います。

 

<保証契約は必ず書面で>

改正前までは,保証契約は口頭でも有効に成立することになっていました。しかしながら,保証によるトラブルを少しでも防ぐため,保証契約は書面でしなければならないことになりました(民法446条2項)。

なお,これはすべての保証契約に適用されますので,包括根保証だけではなく,通常の個人間の貸金に関する保証や住宅ローンの保証などもすべて書面で行う必要があります。

 

<上限を決めましょう>

包括根保証契約を締結する場合,負担する債務の上限である極度額を必ず定めなければならないこととなっています(保証人が個人の場合に限る)。これは保証契約の内容ですので,当然ながら極度額も書面に記載する必要があります(民法465条の2第2項)。

 

<期間は最長5年です>

保証する上限額が定められているとはいえ,永遠に保証するのは大変です。そこで,保証人が個人の場合は保証期間は最大で5年間となっております(民法465条の3)。

 

したがって,現在はニュースになっている包括根保証契約のような無制限な期間及び金額について責任を負わされることはありませんのでご安心ください。

なお,「書面でなければ保証契約は有効に成立しない」という点は重要ですので,これは覚えておかれた方が良いと思います。

たまにですが,「親がお金を借りる時に,私が知らないうちに私を保証人にしたため,債権者から返済を迫られていますがどうしたらいいでしょうか?」というご相談を受けることがあります。保証契約を締結するに当たって書面で行わなくても良い時代でもまったく関与していないのであれば当然ながら保証人になっているということはあり得ないのですが,保証契約は口頭でも成立してしまうので,本当に保証契約が成立していないのかはなかなか判断ができませんでした。しかし,書面で行うことが義務化されたことにより,「債権者に保証契約を締結した際の書面をもらってください。もし書面が無いようであれば,契約は成立していませんので支払う必要はありませんよ。」と,確実な回答ができることになりました。

 

最後に

 

今は金融機関の契約は厳格になってきているので,まったく説明をしないで契約をするということはほとんど無いと思いますが,上記記事だと1978年の契約ということですので,もしかしたらそのような杜撰な契約をしていたのかもしれません。ただ,30年以上前の契約ということは,当時の金融機関の担当者は退職している可能性が高いですし,死亡している可能性だってありますので,「説明した・説明していない」ということを立証していくことはかなり難しいと思います。

 

この手の裁判は,訴えを提起したときは話題になることはあっても,金融機関側が敗訴するようなものでもない限り,結果について報道されることはほとんどありませんので,どういう結論になったのかは,世間は知らないまま終わってしまうかもしれませんね・・・。

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7月 08 2015

時効の援用について(文案など)

以前も書いたような気がするのですが,最近時効の援用に関するご相談が多いため,改めて記載したいと思います。 

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原則10年,例外的に5年で借金は消えます

 

「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。」と民法に規定されており,文字通り10年経つと債権は消えてしまいます(民法167条1項)。この「債権」は貸主側からの言葉であり,借主からすれば10年経つと借金が消える,ということになります。 

また,この10年というのは原則であり,商売上の借金の場合は「商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と商法に規定されており,5年が経過すると時効により消滅してしまいます商法522条)。

この「商売上の借金」というのは,正確ではありませんが,ざっくり言えば貸主が金融機関や信販会社,消費者金融など,商売としてお金を貸している人(会社)から借りたような借金または貸主は金融機関等ではなくても事業資金などで借りたような借金の場合です。

なお,信用金庫や農協,労金,住宅金融支援機構などは会社ではありませんので,5年ではなく10年となります。

 

起算日はいつ?

 

条文には,「十年間行使しないときは」,「5年間行使しないときは」というように記載されていますが,そもそも10年や5年がいつからスタートするのかというと,「権利の行使ができるときから」とされています(民法166条1項)。以下,いろんなケースをまとめてみます。

 

<返済日が決まっている場合>

平成27年1月1日にお金を貸し,返済期日が平成27年12月31日の場合,いつから時効がスタートするかと言うと,平成28年1月1日からとなります。なぜなら,借主は平成27年12月31日までは返さなくても良いので,貸主はそれまでは返せとい言うことができない(権利の行使ができない)からです。

 

<特に返済日を決めていない場合>

貸したその日からスタートします。

 

<いわゆる出世払いの場合>

前提として,出世の定義(何をもって「出世」とするのか)について予め定める必要がありますが,出世した場合にはその日から,出世しないことが確定した場合はその日からスタートします。決して出世しなければ払わなければなりません。

 

<分割弁済の場合>

基本的には,個々の分割支払分ごとにスタートします。

例えば,10万円を毎月1万円ずつ,7月31日から毎月末日に支払うという場合,1万円ずつ毎月スタートすることになります。したがって,仮に7月31日の返済を怠ったとしても,消滅時効がスタートするのは1万円分だけとなります。ただし,貸金業者等からの借り入れの場合,通常は期限の利益喪失約款が入っており,一度でも支払いを怠った場合は残っている債務の全額を一括して支払うことになりますので,最初に遅れた時から全額についてスタートします。

 

なお,よく勘違いされている方がいらっしゃるのですが,最終返済日からではありませんのでご注意ください。

例えば,取引履歴を業者から取り寄せていただいたところ,最終の返済日が平成22年6月30日だったとします。今日は平成27年7月8日ですので,すでに5年以上経過しているようにも思えますが,通常,最終返済日から1か月程度先がその次の支払日となっているはずですので,実際に時効がスタートするのは平成22年8月1日頃になるはずです(この点は,契約ごとに異なります。)。したがって,最終返済日が平成22年6月30日となっている場合,恐らく消滅時効は完成していないと思います。

 

時効は過ぎるだけではダメ

 

時効という制度は,時効期間が満了するだけでなく,時効の効果を受けたい旨の意思表示したときに初めて効果が発生します(民法145条)。これを「時効の援用」と言います。

したがって,消滅時効期間が満了していたとしても,それとは関係なく返済することも可能です。ただし,時効期間満了後に一度でも返済する意思を表示したときは,もう時効の利益を放棄したとみなされ,改めて時効の援用をすることはできませんのでご注意ください。

 

時効中断事由にご注意ください

 

5年や10年が経過する前に,時効の進行を止められることがあります。これを「中断事由」と言い,よくある中断事由は「請求」と「承認」です(民法147条)。一度中断があると,それまでの進行分はリセットされ,その時点から5年や10年が経過しなければ消滅時効とはなりません。

 

<請求>

請求とは,単なる請求を受けることではなく,裁判手続上の請求を受けた場合に限り時効は中断します。具体的には,訴訟支払督促が多いと思います。

この点,訴訟等を起こされた場合は通常は知らない間に敗訴していたということは考えにくいですが,債権者に転居先を告げずに転居した場合,知らぬ間に訴訟を起こされていたということはあり得ますので注意が必要です。これを裁判所に聞いて調べることはできませんので,債権者に確認するしかありません。

 

<承認>

承認とは借金があることを認める行為であり,直接的に「借金があることを認めます!」という行為はもちろんですが,実際には返済という行為が承認をしたことになります。というのは,借金が無いようであれば返済するはずがないからです。

 

この点,上記の時効の利益の放棄とも関連がありますが,消費者金融等の債権者は,時効の主張をされないようにあの手この手で返済をするように迫ってきます。

例えば,いきなり勤務先に押しかけてきて,「借金が利息で膨れ上がっているが1000円だけでも払ってくれれば今日のとことは帰るからとりあえず払って」と言われてしまうと,同僚の目などもあるので払ってしまいますよね。そうすると,これをもって承認となってしまい,時効が中断または時効の利益の放棄となってしまいます。

なお,上記のような事例で,承認ではなく時効の利益の放棄ですが,返済したことを時効の利益の放棄とはせずに消滅時効を認めた裁判例もあります。ただ,裁判になれば必ず勝てるというものでもありませんので十分ご注意ください。

 

時効の援用はどうするのか

 

特に時効の援用について方法は決められておりませんので,債権者に伝わるのであれば,口頭でも書面でも何でも構いません。ただ,言った言わないの争いになってしまう可能性がありますので,通常は,内容証明郵便(配達証明付)で時効を援用する旨を通知することになります。

 

また,内容も特に形式が決まっている訳ではありませんので,時効を援用する旨が伝われば何でも構いません。とは言ってもそれだけではわからないと思いますので,内容証明の文案をアップしておきます。適宜修正してご利用ください。なお,消滅時効の援用通知書に押印は必須ではありませんが,押印されておいた方が良いかと思います。

→ 消滅時効援用通知書

以上,時効の援用についてでした。

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6月 18 2015

最近のアイフル株式会社の作戦

アイフルの返還に関する対応は,以前とあまり変わらず訴訟前では元金の2~5割程度の和解提示しかないため,基本的には全件訴訟提起しております。 

また,訴訟提起後の流れもこれまでどおり,訴訟提起→移送申立て→却下→1~2回口頭弁論→判決→控訴→判決→全額支払いという経緯が多いです。ただ,最近は移送申立てをされないケースもありますし,1審判決後に和解して支払われたというケースもあります(控訴審の分だけ返還が遅くなってしまうことを考慮し,満額から千円単位だけカットして和解したケースがあります。)。
 

なお,訴訟提起後の和解提案でも最大で元金の7割程度であるため,訴訟提起後で判決前に和解したケースはほとんどありません。
 

さて,そんなアイフルですが,最近は債務不存在確認の訴えを先に提起してくるという話が出ております。 

これの何が問題なのかについて解説したいと思います。 
 

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二重起訴の禁止

  
民事訴訟法142条に「裁判所に係属する事件については,当事者は,更に訴えを提起することができない。」と規定されております。
 

例えば,Aさん(名古屋在住)がBさん(東京在住)に対して,100万円の返済を求める訴訟を名古屋で起こしたとします。それとまったく同じ内容の100万円の返済を求める訴訟をAさんが東京の裁判所で起こすことはできない,ということになります(なお,名古屋と東京というように別の裁判所の例を出しましたが,名古屋と名古屋でも同じ結論になります。)。
 

これは,万が一,名古屋の裁判所と東京の裁判所で結論が異なる結論の判決が出てしまうと大変なことになってしまいますし,Bさんとしては名古屋の裁判所と東京の裁判所の両方に対応しなければならず大変だからです。
 

逆に言えば,まったく別の100万円であれば問題ありません。
 

例えば,名古屋の裁判が平成25年6月18日にAさんがBさんに対して貸した100万円の返済を求めるものであるのに対し,東京の裁判が平成26年6月18日に貸した100万円の返済を求める場合です。この場合,事実がまったく別の事件ですので,名古屋と東京で別の結論が出ても何ら問題ありません(平成25年の100万円はすでに完済したけど,平成26年の100万円はまだ返済していないということもあり得ます。)。また,Bさんとしても移送等の手段を使って,どちらかの裁判所にまとめることも可能です。
 
 

給付訴訟と債務不存在確認訴訟

  
一方,一見すると違うような裁判だとしても,実質的には同じ内容の裁判の場合も二重起訴に該当します。良くあるのが,給付訴訟債務不存在確認訴訟です。
 

給付訴訟というのは,相手に何らかの行為を要求する訴訟であり,典型的な例は,貸金請求訴訟や不当利得(過払金)返還請求訴訟のように金銭の支払いを求める訴訟となります。
 

また,債務不存在確認訴訟というのは,文字通り債務がないことの確認を求める訴訟となります。
 

例えば,すでに借りた100万円は完済しているにもかかわらず,その後も「100万円返せ!」と言われたような場合に,「100万円の借金(債務)なんて存在しませんよ!」ということを裁判所に確認してもらいたいときに行う訴訟です。
 

さて,この給付訴訟と債務不存在確認訴訟ですが,実は表裏一体の関係にあります。
 

上記の例でいうと,

AさんがBさんに対して,「100万円を支払え」という訴訟が給付訴訟(貸金請求訴訟)となりますが,この裁判はAさんのBさんに対する100万円の貸金(債権)が存在するか否かを争う裁判であり,Aさんが勝訴した場合は「100万円の債権がある」,Aさんが敗訴した場合は「100万円は存在しない」ということになります。つまり,Bさんとしては,わざわざAさんに対して「100万円の借金なんか存在しない」ことの確認を求める訴訟なんか起こさなくても,単にAさんが起こした貸金請求訴訟に勝てば良いですよね。
 

したがって,AさんがBさんに対して100万円の貸金請求訴訟を起こした場合,BさんがAさんに対して100万円の債権に関する債務不存在確認訴訟を提起することはできません
 

さらに,逆の順番もしかりで,先に債務不存在確認訴訟を提起された後に,貸金請求訴訟を提起することはできません。上記のとおり,債務不存在の部分について二重起訴になるためです。ただし,反訴をすることは許されます。債務不存在確認訴訟が起こされている裁判所で貸金請求訴訟の反訴を提起すれば,同じ裁判所(裁判体)で審理されますので,矛盾した結論が出ることはないからです。なお,最高裁は,反訴の提起がされた場合は先に提起された債務不存在確認訴訟は確認の利益がない(貸金請求の勝訴または敗訴でちゃんと結論が出るのだから債務不存在確認の訴えを進める意味がない)としていますので,却下されることになります。
最高裁サイト

判決全文(PDF) 
 

具体的に

 
さて,アイフルの事件に話しを戻します。
 

上記の例でいうと,給付訴訟が契約者のアイフルに対する不当利得返還請求訴訟,債務不存在確認訴訟がアイフルの契約者に対する債務不存在確認訴訟ということになります。
 

順序として,不当利得返還請求訴訟の提起→債務不存在確認訴訟であれば,あまり問題はありません。アイフルの債務不存在確認訴訟は二重起訴の禁止に該当しますので,不適法な訴えとして却下されるからです。もっとも,必ず却下という訳ではなく,移送して合わせ技(併合して)で審理する可能性もありますので,しっかり却下されるべき旨の主張はしなければなりません。
 

しかし,債務不存在確認訴訟→不当利得返還請求訴訟だと面倒なことになります。まず,不当利得返還請求訴訟は基本的には二重起訴の禁止に該当しますので,不当利得返還請求訴訟の方が却下される可能性があります。また不当利得返還請求の反訴を提起することができますが,アイフルは必ず債務不存在確認訴訟を地裁に起こしてきますので,反訴提起も地裁に起こさなければならず,当事務所のような司法書士事務所にご依頼されている場合はご本人に裁判所までお越しいただく必要があります(弁護士さんだと問題はありません)。
 

さらに,今後進めるべき裁判所をアイフルによって決められてしまうという不都合があります。例えば,当事務所のある長久手市にお住まいの場合,すぐ近くの瀬戸の裁判所で手続ができたのに,わざわざ名古屋市中区にある名古屋地裁まで行かなければならなくなってしまいます。
 

また,アイフルが先に債務不存在確認訴訟を起こしてきた場合,必ず自宅に裁判所から訴状等が送られてきます。これは弁護士さんに依頼していても司法書士に依頼していても同じです。とすると,ご家族に内緒で手続を進められているような場合に,ご家族に知られてしまう可能性があります。
 

ということで,先に債務不存在確認訴訟を起こされて良いことは何一つありません。 
 

債務不存在確認訴訟を提起する理由は?

 
なぜアイフルがこのようなことをやりだしたかというと,私見ではありますが,もう完全に嫌がらせでしかないと思います。
 

従前よりアイフルが行っていた移送の申立てはアイフルの本店がある京都に移送を求めるものですので,各地の裁判所まで行く交通費や人件費などを考えれば,(時間稼ぎの側面があるにしても)理解できないことではありません。
 

しかし,債務不存在確認訴訟は京都ではなく,顧客の住所地を管轄する地裁に提起していますので本社から支配人が出頭しなければならず,交通費を節約というメリットはありません。また,アイフルは過払金が完全に不存在(つまり0円)という訴訟を提起するのではなく,「50万円を超えて存在しない」というように,いくらかは認めたうえでの債務不存在確認訴訟ですので,実際のところはこの訴訟では何も解決しません(仮にアイフルが勝訴したとしても50万円を超えて過払金は存在しないというだけであり,「50万円を返還せよ」という判決ではありません。)。しかも,移送申立てとは異なり,債務不存在確認訴訟を提起するに当たり,数万円の実費もかかっていますからね。
 

とすると,アイフルにとって何もメリットがない訳ですから,もう嫌がらせ以外の理由は無いと思います。もし,嫌がらせではないということであれば,どんなメリットがあるのかぜひ教えてほしいものです。
 

ちなみに,同じような嫌がらせ以外の理由はないというアイフルの戦法に調停申し立てがあります。こちらがすでに訴訟を提起しているにもかかわらず,依頼者本人宛に過払金の返還に関する話し合いがしたいとして調停の申立てをするものです。すでに訴訟を提起しているので,話し合いがしたいのであれば訴訟手続内で行えば良いのであり,わざわざ調停を起こす理由はありません。
 

ただ,調停の申立てをした場合,調停に関する書類は,訴訟について弁護士や司法書士を代理人としていても必ず裁判所からご自宅宛に送付されてくるため,ご家族に秘密にしている方は困ってしまいますね。もっとも,この調停作戦は最近はまったく聞かなくなりました。 
 

今後の対応

 
ということで,当事務所では,アイフルに限り,事前に過払金の請求は行わずいきなり訴訟をする方針をとることとしました。
 

私は,「相手に何の請求もせずにいきなり訴えを提起するという行為は社会人としての常識を欠く行為である」と考えておりますので,訴訟でなければ解決できない可能性が高いとはわかっていても,必ず事前に請求書を送り,請求書に対する回答が無い場合,または回答があっても交渉がまとまらない場合に初めて訴訟を提起しておりました。しかしながら,このようなアイフルの行為は,明らかに社会常識を逸脱した無益な訴訟提起だと考えますので,それを防ぐためにやむを得ず,事前に請求せずに訴訟提起することとしました。
 

アイフルは,交渉の度に「事業再生ADRを行っており,過払い金の返還が困難であるからどうにか減額してほしい」というような趣旨のことを言ってきます。しかし,こんな依頼者にケンカを売るようなことをしておきながら,減額してほしいとの要望はムシが良すぎるとしか思えません。実際に,このようなことをされて和解しようと考える依頼者は皆無であり,理解に苦しみます。
 

今後もしっかり手続を進めていきたいと思います。

最近のアイフル株式会社の作戦 はコメントを受け付けていません

6月 02 2015

詐欺(?)DMにご注意を

今朝,事務所に来たら1通のファックスが届いていました。

Scan0456
 
 

端的に言えば,貸金に関するDMなんですが,見るからに怪しいです。
 

「上限1000万円,金利5%担保不要(不動産担保や保証人が不要),使途自由」と,銀行も真っ青になってしまうくらい破格の条件になっており,ぜひ貸してほしいくらいです。これが真実であればですが・・・。
 
 

ということで,まずはこの会社の本店から調べてみます。
 

上記DMでは,「東京都中央区銀座3-16-5」となっておりますが,東京都中央区銀座三丁目には15番までしか存在しません・・・。
 

次に,ネットで会社の登記関係の情報が取得できる登記情報提供サービスを使って東京都中央区内にある「ファーストプラン」という会社を探しました。

syougou
 

東京都中央区内に同じ商号の会社は存在しません・・・。
 
 

最後に,貸金業者である以上,貸金業登録をしているはずですので東京都の貸金業登録を調べてみました。
 

kashikin
 

商号だけ,電話番号だけ,住所だけ,などいろいろ検索しましたが,まったく出てきませんでした。
 

 
ということで,

本店 東京都中央区銀座三丁目16-5

商号 株式会社ファーストプラン

TEL 03-6869-3175
 

は,99.999%存在しない会社であり,そのような会社から送られてきた現実味が極めて薄いDMですので,こちらに連絡してしまうと,ほぼ間違いなく保証金詐欺,取り込み詐欺,振り込め詐欺,ヤミ金等のトラブルに巻き込まれる可能性が高いと思われます。皆さん,お気を付け下さい。

なお,電話番号については記載しない方が良かったのかもしれませんが,電話番号で検索される方もおられますし,それによって本ページに辿り着いて犯罪被害を未然に防ぐことができることもあるかと思いましたので,あえて電話番号を記載しております。

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5月 25 2015

期限の利益の再度付与は認められましたが・・・

先日(とは言っても4か月ほど前ですが)の判決に対する控訴審が出ました。結論としては,控訴審もこちらの主張が認められたのですが,明確に信義則違反については認めずに,期限の利益の再度付与を認めるものでした。 
 

→ 前回のブログ記事
 
→ 今回の判決(PDF)
 
とすると,取引履歴等で「遅延した期間しか遅延損害金を付していない」ということを立証できない場合,この判決だと逆の結論が出てしまいそうな気もします。
 

例えば,CFJのように,通常の約定利率も遅延損害金利率も同じ29.2%という業者も多数存在し,そのような業者の場合,領収書があれば,返済金が利息に充当されているのか遅延損害金に充当されているのか記載がありますので立証は十分可能です。しかし,領収書が無い場合,CFJから開示される取引履歴には「取引日」,「貸付金額」,「返済金額」,「借入残高」しかわかりませんので,返済金が利息か遅延損害金かどちらに充当されたのかわからず,「遅延した期間しか遅延損害金を付していない」ということを立証するのが困難になります。
 

今回の事案は最高裁判決とは少し事例は違いますが,信義則違反でも認められるような事案だと考えていましたし,それを基礎づける依頼者の陳述書等の証拠もしっかり提出しました。でも,認められませんでしたね・・・。

もちろん,期限の利益の再度付与について他の立証手段もありますし,必ずしも信義則違反が認められないというわけではありませんが,あまりスッキリしない終わり方でした。
 

なお,過払金については,この判決に基づいて返還日までに利息を付した上で全額返還されました。

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