はなみずき司法書士事務所
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4月 02 2014

時効で借金が消えたはずなのに・・・

貸金業者から借り入れについて長期間返済をしていないと,いずれ訴訟を提起されてしまいます。返済していない以上,勝てる見込みは低いので判決まで行ってしまった場合には敗訴する可能性がかなり高いと思います。 

しかし,転居したにも関わらず業者に転居先住所を教えていなかった場合など,業者が訴訟を提起するのが大変な事情がある場合には,訴訟を提起されることなくそのまま時間が経過することがあります。 

そして,そのまま最終の返済予定日から5年が経過すると時効となり,借金は消えてしまいます。これを消滅時効といいます(民法167条商法522条)。 
 

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時効の中断

 

業者側としては,5年で借金が消えてしまうため5年が経過する前に回収しなければなりません。しかし,現実問題として回収できないケースも多々あると思います。
 

では,ほとんどの借金が5年経過で消滅してしまうかと言うとそうではなく,時効の中断がされた場合には,その中断のときから5年がリスタートすることになります。
 

中断の中でも一番使われるのが「債務承認」です(民法147条)。
 

具体的に言うと,「返済」です。

つまり,債務承認というのは,借金をしている人が業者に対して借金を負っていることを認める行為ですが,借金の返済をするということはその前提として借金があることを認めていることに他なりません。したがって,毎月返済をするたびに,「債務承認をしている」=「時効は中断している」ということになります。 
 

時効の援用

 

上記は,実は少し正確ではない部分があります。
 

「最終の返済予定日から5年が経過すると借金が消える」と書いてありますが,もう少し正確に言うと,「5年経過」に加えて「援用」という行為が必要です(民法145条)。
 

簡単に言えば,「消滅時効が完成したので,借金がゼロになる権利を使います!」と相手に通知しなければならないということです。

なので,5年が経過しただけでは借金は消えておらず「借金を消せる権利を持っている状態」という認識で良いかと思います。 
 

時効完成後の返済

 

ということで,5年経過すると借金を消せる権利を持っている状態になるわけですが,この時点で援用をせずに返済をしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
 

この点,昭和41年に最高裁判所が,「例え消滅時効が完成しているということを知らなかったとしても債務承認したのであれば,その後に時効の援用はできませんよ。」という判決を出しました。

最高裁サイト

判決全文(PDF) 

ということで,時効が完成した後で返済したり,返済の約束をしてしまうと時効の援用ができなくなってしまいます。 
 

貸金業者の巧みな返済要求

 

上記最高裁判例をある意味逆手にとって,時効の援用をさせないように業者が巧みに返済させることがあります。
 

すでに5年以上経過しており,すでに時効が完成しているとします。
 

しかし,一般の方の中には5年で消滅時効になるということを知らない方も多いと思います。その知らないことに乗じて,突然業者の担当者が自宅を訪ね,「本来であれば利息をもらうまでは会社に帰れないんだけど,とりあえず1000円だけでも払ってもらえれば今日は帰るから。」などと返済を要求したり,勤務先に電話をかけて「とりあえず1000円支払ってくれればもう会社へは電話しないから」などと返済を要求することがあります。
 

確かに返済していないのは事実ですし,その状況を逃れたい一心で,とりあえず1000円支払うだけで解決するなら,ということで支払ってしまいますよね。そうすると形式上は,時効完成後に返済(債務承認)しているので上記最高裁判決のとおり時効の援用ができないことになります。 
 

それでも消滅時効の援用ができる場合

 

上記最高裁判決の事例は,時効完成後に債務承認したということは,もう消滅時効の援用をする気が無いんだな,という貸主の信頼を保護するところにあります。
 

しかし,上記例の貸金業者は,時効の完成を知っていながら時効の援用を防ぐため,ある意味騙し討ち的な返済をさせています。とすると,このような貸金業者を保護する必要は無いと考えることもできます。
 

この点,明確な最高裁判決はありませんが,一部の裁判所においては,例え時効完成後に返済していても消滅時効の援用を認める判決も出ています。もっとも,少なくとも形式上は上記最高裁判決の通り消滅時効が援用できない状況にありますので,裁判所によっては時効の援用はできないと判断されるケースもあると思います。
 

正直なところ,ケースバイケースであるため,一律に援用できる,できないの判断はできませんが,このような状況になる前に,時効の援用をしておけば,問題になることはありません。
 

もし,長期間返済をされていない場合は,消滅時効の援用ができる可能性がありますので,早めに弁護士や司法書士にご相談いただければと思います。

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4月 01 2014

4/1以降の手続費用(報酬)について

4/1より消費税が増税となるため,当事務所の費用についてこれまで内税表示となっていたものを外税表示に変更致します。 
 

例えば,過払金返還請求の報酬については,下記のとおり変更となります。 

3/31まで 返還額の21%(税込)

4/1以降  返還額の20%(税別) ※税込だと21.6%
 
 

したがいまして,消費税増税分については金額が上がってしまいますが,報酬自体はこれまで通りとなります。 

以上,手続費用(報酬)についてのお知らせでした。

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3月 28 2014

調停の減少

裁判所の手続で「調停」というものがあります。 
 

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調停とは

 

訴訟のように互いの言い分をぶつけ合って,最終的に裁判官が結論(判決)を出して解決するものではなく,話し合いによって解決しようという手続です。
ですので,調停が開かれる場所も法廷ではなく,調停室という小さな会議室のような部屋で行われます。
 

また,手続自体も,調停委員という裁判所から選任された人が間に入って互いの言い分を聞き,話し合いで解決できるようにアドバイスなどをしてくれます。
そして,最大の違いとしては,訴訟における判決のように最終的な結論が調停では出ないこともあります。 
 

最近の調停

 

さて,この調停ですが,最近は事件数がかなり減少しており,10年前と比べると90%も減っているそうです
その理由としては,特定調停の減少が大きいと思われ,これには司法書士の関与がかなり大きいと思われます。
 

特定調停とは,多重債務に陥った方が裁判所を通して債権者である貸金業者と交渉を行い,返済方法を話し合う制度です。
特定調停
 

この特定調停と同じような制度として任意整理という手続きがあります。
任意整理とは,ご自身で交渉していただくのではなく,弁護士や司法書士に依頼して,その弁護士等が業者と交渉を行う手続です。
任意整理
 

ではなぜ司法書士の関与が大きいかというと,平成15年に法改正があり,これまで弁護士しかできなかった任意整理を含めた交渉代理業務(140万円以下)が司法書士にもできるようになったためです。
まさに,時期的にドンピシャですよね。
 

実際,当事務所にご相談に来られた方については,必ず任意整理と特定調停の両方の説明を行っていますが,99%以上の方が特定調停ではなく任意整理を選択されます。
その理由としては,下記が考えられます。
 

・調停のために裁判所に行く必要がない
・ご自身で調停を行うよりも弁護士等が任意整理をした方が良い結論になることが多い
債務名義を取られない
・過払金についてもまとめて進めることができる
 
まず,裁判所に行く必要がないのはそのままですね。
次に,良い結論になることが多いという点については,調停の場合は調停がまとまるまでの経過利息が付いてしまうことが多いですが,任意整理の場合は基本的には経過利息や将来利息はすべてカットした内容で和解しますし,調停よりも長い分割回数が認められることも多いです。
次に,債務名義については,特定調停の場合は万が一分割支払いを延滞してしまうといきなり給与の差し押さえなどをされてしまう可能性がありますが,任意整理の場合はそれがありません。
最後に,過払金についてですが,特定調停はあくまで借金の返済方法についての話し合いであるため,過払金の請求については特定調停で進めることはできません。 
 

当事務所では最近は逆に特定調停をお勧めしています。

 

実は,今日もご相談があったのですが,特定調停をお勧めし,ご相談者も特定調停を選択されました。
というのは,従前と異なり,任意整理を行ってもあまり減額ができないため,特定調停の方が費用対効果として大きいためです。
 

いわゆるグレーゾーン金利があった数年前については,任意整理や特定調停を行うと,借金が大幅に減ったり,場合によっては逆にお金が返ってくるような状況が多々ありました。
しかし,グレーゾーン金利が無くなってからは,払い過ぎている利息がありませんので,任意整理等を行っても借金の減額ができず,将来の利息カットや分割方法についての交渉しかできません。
とすると,以前は借金が大幅に減額されたので任意整理の費用を支払っても十分メリットがあったのですが,最近はそこまでのメリットがないので,だったら自分でやろうという方が多くなりますよね。

ということで,世間的には調停が減っているそうですが,当事務所にご相談に来られる方に限っては逆に多くなっております。

なお,任意整理のご依頼をお断りしているわけではありませんので,お気軽にご相談ください!

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3月 13 2014

再生×→再生×→再生○

3度目の個人再生申立てでようやく認められたという事例が最高裁サイトに載っていましたのでご紹介いたします。 
 

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2種類の個人再生

 

まず,前提として個人再生は大きく分けて小規模個人再生給与所得者等個人再生の2種類があります。
 

ざっくり言うと,小規模の方は債権者の債権額ベースの過半数の同意が必要(正確には過半数の不同意が無い)だけど,比較的弁済金額が小さく,またいわゆるサラリーマンほどの安定性はなくても定期的に収入があれば認められる再生手続です。一方,給与所得者等個人再生は,債権者の同意は不要だけど,小規模と比べて弁済金額が多いケースが多く,また基本的にはサラリーマンしか使うことができません。
 

そして,ほとんどのケースで債権者の同意は得られますので,当事務所を含めて多くのケースでは給与所得者等個人再生ではなく小規模個人再生の申立ての方が多いと思います。
 

※政府系金融機関や某球団を抱えたグループのカード会社は,反対をすることがあるためこのような債権者がいる場合には給与所得者等個人再生や自己破産にすることもあります。 
 

事例

 

①給与所得者等個人再生

ある特定の債権者(以下,A社)だけで債権額の過半数を超えるため同意が不要な給与所得者等個人再生を選択

→しかし,給与の変動が激しく「給与所得者等」の条件を満たさないとして却下
 

②小規模個人再生

小規模個人再生は,給与の変動金額について給与所得者等個人再生より緩いため小規模個人再生を選択

→しかし,A社の反対により過半数の同意が得られず不認可
 

③給与所得者等個人再生

事前に,債務者は転職し,毎月定期的な収入がある会社に就職したうえで給与所得者等個人再生を選択

→無事認められる。
 

というものです。 
 

判決文の内容

 

最高裁サイト

判決全文(PDF)
 

詳細については判決文をご覧いただきたいと思いますが,下記のような思惑があったと思われます。
 

【債務者側】

住宅ローンがあり,家を取られるわけにはいかないので自己破産の選択肢はなく,どうにかして個人再生をして家を守りたかった

【A社側】

個人再生よりも破産の方が,より正確に財産関係について裁判所の調査がされるため個人再生よりも破産の方が良いと考えた。
 
 

判決文によれば,A社としては債務者側が財産を隠しているとか,転職したこと自体虚偽だと主張し,わざわざ出勤に使っている自動車の写真とかを証拠で出しているみたいです。ただ,結果としては,A社の主張は認められず,無事再生が認められています。

当事務所としては,そもそも過半数債権者の反対をされたことがないですし,仮に反対をされそうであれば小規模ではなく給与所得者等を選択しますので,幸いにもこのように何度も再生申立てをしたことはありません。

しかし,当事者はいいですけど,その間ずっと待たされている他の債権者もたまったもんじゃありませんね。

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3月 01 2014

当事務所で取得した他の訴訟等で使えそうな判決など

当事務所が代理人または書類作成者となって,日々様々な裁判所から判決をもらっておりますが,その中で他の訴訟で使えそうなものをピックアップしてみました。
※日付部分をクリックするとPDFファイルが開きます。
 

ただし,あくまで判決が出た時点での当該裁判所における判断であるため逆の判決が出る可能性もありますし,将来的に判断が異なる統一的な上級審の判決が出る可能性もありますのでご注意ください。実際に,下記岡崎簡裁の期限の利益の喪失に関する判決は否定するような最高裁判決も出ていますので使えない可能性があります。


 

なお,簡易裁判所の判決は当事務所が代理人となっているものですが,簡易裁判所以外の判決等については,簡易裁判所の判決や決定に対して控訴・上告・抗告などをされたもので,当事務所で書類作成をしたものになります。もっとも,簡易裁判所でこちらの主張が認められたものが相手方によって控訴等をされた事件の書類作成ですので「原審(簡易裁判所)にて主張した通りです。」くらいしか書いてないんですけどね。
 
 

債権者の本店所在地を管轄する東京簡裁に係属する貸金請求事件について,名古屋在住の債務者側が過剰与信の疑いがあるから名古屋簡裁に移送すべきとの申立てをしたところ移送された事例

→(平成17年9月30日東京簡裁
 

返済を何度か遅れたにも関わらず一括弁済を求めなかったのに,過払金の請求をしたとたん期限の利益の喪失したとの主張に対し,信義則違反,権利濫用として期限の利益の喪失を認めなかった事例
(平成20年3月26日岡崎簡裁)
 

「債権債務なし」の清算条項が入った特定調停について錯誤により無効として過払金の返還を認めた事例
→(平成20年5月21日名古屋簡裁)

 

再生債権であっても仮執行宣言を付すこと自体は違法ではないとした事例
(平成22年11月11日名古屋高裁)
 

アエルからニューヨークメロン信託銀行への信託譲渡などが絡む簡裁での不当利得請求事件において,最高裁で統一的な法令解釈が必要な事件だから地裁に移送すべきとの申立てについて却下した事例
→(平成23年7月7日半田簡裁平成23年9月22日名古屋地裁
※移送却下決定確定後に半田簡裁で和解が成立しました。
 

初日不算入・弁済日参入の計算方法の是非
(平成24年11月22日瀬戸簡裁)
 

受任通知(取引履歴開示請求書)において,取引期間や過払金額等を特定せず「発生しているすべての過払金を請求します。」と記載された受任通知が「催告」に当たるとされた事例
(平成24年12月26日名古屋地裁)
ブログ記事
 

約定利率で計算した残債と法定利率で計算した過払金との差が140万円を超えるので簡裁には管轄がなく,また,司法書士の代理権も無くなるから地裁へ移送すべきだとの申立てを却下した事例
(平成25年4月10日名古屋簡裁)
 

過払金発生後に借り入れを行って借り入れが残る場合,その残った借入金に対する利息について
(平成26年2月14日名古屋地裁)
→ ブログ記事
 

返済に遅れた後の期限の利益の再度付与について
(平成26年7月29日安城簡裁)
ブログ記事
 
(平成26年12月17日名古屋地裁)
 
(平成27年1月6日半田簡裁)
→ (平成27年5月22日名古屋地裁)
※上記半田簡裁の控訴審判決です。

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2月 21 2014

過払金発生後に再び借り入れが残る場合の利率

先日,アイフル(旧ライフ分)との訴訟で,過払金発生後の利率についての判決をいただきましたのでご紹介いたします。 
 

内容としては,継続的に取引をしており,いったん過払いとなったものの,その後借り入れを継続したことによって債務が残った場合,その債務に対する利率はいくらか,という問題です。 
 

前提として,利息制限法の下記の区分が必要となります。 
 

①10万円未満の借入れ→最大20%
②10万円以上100万円未満の借入れ→最大18%
③100万円以上の借入れ→最大15% 
 

具体的な数字を例に挙げると,平成26年1月31日時点で,約定利率で計算すると30万円の借り入れが残るが,法定利率で計算すると3万円しか残っていなかったとします。同日,5万円返済したとすると,実際には2万円の過払いとなっています。そして,2月28日に10万円を借り入れた場合,(過払い利息を考えなければ)8万円の債務が残ることになりますが,この8万円に対しては何パーセントの利息がかかるのかという問題です。 
 

この点,アイフル側は,こちらの最高裁判決(平成25年7月18日判決)を引用し,実質的に借り入れたのは8万円だから20%(上記①の区分)で計算すべきだと主張しています。 
 

これに対して,先日いただいた判決は20%ではなく18%であると判示しました。 
 

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上記判決をざっくり解説すると,上記とは別の最高裁判決(平成22年4月20日判決)を引用し,いったん利息制限法所定金利が低いゾーン(②の区分)に入った以降はその後に返済をして高い利率のゾーン(①の区分)に入っても利率は変わらないから,本件取引においても18%となったものが20%になることはない,というものです。
 

つまり,本件においては,いったん10万円以上の借り入れとなっているため,18%が上限金利となりますが,この上限金利は,返済によって10万円未満となったとしても20%になるのではなく18%のままなので,過払金発生後に借り入れをして,その時点での残債は8万円だけど18%のままだよ,ということです。 

もし,上記の例で2万円の過払金が発生している段階で100万円を借り入れた場合は平成25年7月18日最高裁判決の通り,実質の借入額(元本)は100万円ではなく98万円なので15%ではなく18%になりますが,まったく事案が異なります。
 
 

ということで,これをまとめると,
 

過払金発生後に借り入れをした場合,借入額が下の区分(例えば100万円)の借り入れをしたとしても,過払金充当後の残債が上の区分(例えば98万円)の残債しかない場合には上の区分の利率(例えば18%)である。
 

過払金発生後に借り入れをした場合,借入額が上の区分(例えば8万円)になったとしても,上の区分の利率(例えば20%)に変更されるわけではなく,もともとの下の区分の利率(18%)のままである。
 

ということになります。

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2月 10 2014

名義貸しと第三者弁済における過払金の行方

親族や友人から「絶対に迷惑は掛けないから・・・」と頼まれて,消費者金融やクレジットカードで名義貸しをされたことはありませんか? 
 

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名義貸しとは

名義貸しとは簡単に言えば,他人のためにローンを組んであげたり,信販会社や消費者金融のカードを作成して貸してあげることです。
 

本来は名義を借りる人(名義借人)が自分の名前でローンを組んだり,カードを作ったりすれば良いのですが,何らかの事情(ブラックで審査が通らない,収入が無いなど)によってローンなどが組めない等の理由で名義貸しをする人(名義貸人)の名前で組んで返済は名義借人が行います。 

どの業者においても名義貸しを認めるなんてことはありませんし,契約書にもカードの貸借を認めていませんので間違いなく契約違反となります。もし,業者に名義貸しが発覚した場合には契約が打ち切られ,現時点で残っている借り入れについて一括で返済を求められるなど不利益しかありません。なので,大前提として名義貸しはしてはいけません。 
 

名義貸しにおける債務者

では,名義貸しをしてしまった場合,誰の借金となり,誰が返済する義務を負うのでしょうか。 

この点については解説しなくてもお分かりになるかと思いますが,業者との関係においては,名義貸人の借金となりますので,業者から返済を求められた場合には名義貸人は返済する義務を負います。「借りたのは自分じゃない!」と言っても通用しません。これは,自ら分かったうえで名義貸しをしているわけですし,業者としてもあくまで名義貸しをした人にお金を貸したと認識をしていますので,逃れることはできません。 

ただし,これは業者との関係ですので,名義借人との関係では異なります。
つまり,名義貸人と名義借人との間では,「名義貸人の名義で契約はするけど,返済は名義借人の責任において行う」という合意がされているはずです。したがって,名義貸人は業者に返済したお金について名義借人に請求することができます。 
 

返済の効果

では,名義借人が業者に返済した場合,その返済したということは誰に効力が及ぶのでしょうか。
と,書くと難しくなってしまうのですが,名義借人が返済した場合,そのお金は誰が返済したことになるかということです。
これも素直に考えればよく,例え現実的には名義借人が返済したとしても,その返済の効力は名義貸人に及びます。 

したがって,50万円の名義貸しを行い,名義借人が10万円返済したのであれば,名義貸人は残りの40万円を返済すれば良いことになります。 
 

過払金の行方

では,名義借人が返済を続け,借金が完済となり,逆に過払いとなった場合はこの過払金は誰のものでしょうか。 

現実的に払い過ぎているのは名義借人ですので,名義借人が業者に対して請求できるようにも思えますし,上記の通り,返済の効果はあくまで名義貸人に及ぶため名義貸人が過払金を請求できそうにも思えます。
 

この点について最高裁判決はありませんが,私が知る限りでは,過払金は名義貸人のものになると考えられています。その理由は,上記の後者の理由にある「返済の効果は名義貸人に効力が及ぶ」という部分です。
最高裁判決ではなく,東京高裁判決となりますが,「本件取引における借入れ及び弁済の法律上の効果は名義貸人に帰属するというべきであり(中略)業者に対する不当利得返還請求権も名義借人ではなく名義貸人に帰属する」としています。(東京高裁平成23年8月24日判決)
 

もっとも,名義貸人はあくまで名義貸しをしただけであって,実質的には過払金をもらう権限はありません。ですので,回収した過払金は名義借人との間でちゃんと清算をしなければなりません。 
 

第三者弁済の場合

第三者弁済とは,他人の債務を代わりに返済してあげた場合です。 

名義貸しは,名義貸人の名前で返済していますが,第三者弁済は自分の名前で返済をしている点が違いますし,名義貸しと異なり,契約で禁止されているということもありません。
 

この場合,過払金は誰のものかというと,第三者が返済した部分については第三者自身のものになります。したがって,この場合は名義貸しの場合と異なり,返済した人が直接請求することになります。
 

実は,第三者弁済なのかそうでないのかは結構微妙なことがありなかなか区別がつかないことも多くあります。
良くあるのが親族が本人に代わって返済する場合です。
 

例えば,息子の借金を父親が業者に返しに行った場合,父親の名前で返済すれば第三者弁済となり,もし過払金があれば父親が過払い請求を行います。しかし,息子が業者に返済しにいく時間が無いので代理として父親が返済しに行った場合,あくまで父親は代理で来たに過ぎませんので返済したのは息子ということになり,過払金も息子が請求することになります。 

ただ,一般的に親子の間で,第三者弁済なのか代理人や使者として返済しているのか明確に区別をしていることはありませんので,どちらが正解なのかわからない場合も多いです。その場合は,どちらかに過払金を帰属させる旨の合意をするなどして一本化することが多いですね。
 
 
 

以上の通り,名義貸しにしても第三者弁済にしても,過払い請求をすること自体は間違いなく可能です。ただ,いったい誰が請求すれば良いのか,という点でもめる場合もあります。実際,当事務所でも名義貸しや第三者弁済が問題になっている事件が数件係属中です。
本当に個別具体的な事情によって結論が変わってきますので,このような状況にある場合はまずはお近くの弁護士や司法書士にご相談ください。

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1月 29 2014

過払金返還に関する流通系と銀行系の信販会社の対応の差

先日の記事にも書きました通り,旧ネオラインキャピタルが破産しました。今後も大手と呼ばれる業者を除き,多くの消費者金融が破産や再生,会社更生といった倒産手続きをしていくものと思われます。 
 

大手消費者金融の対応

 

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倒産していないことと,過払金がすんなり返還されるかということはまったく別問題であり,例えば大手と呼ばれるアコムやプロミス(現・SMBCコンシューマーファイナンス)なども,任意の話し合いですんなり満額返還されることはなく,多くの場合は訴訟になります。

もっとも,訴訟になった場合,争点(分断,時効,第三者弁済,悪意等)がある場合はそれなりに時間がかかりますが,単純な悪意のみの場合は訴訟を行ったうえでは比較的早期に返還されます

アイフルに関しては,訴訟前はかなり低い割合(返還時期により3割~5割くらい,たまに8割くらい)の提示しかされないためほとんど訴訟になりますが,まったく争点なしでもほぼ全件控訴されます悪意すらなくても)ので,かなり時間がかかります。 
 
 

信販会社の場合

 
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ということで,消費者金融については中小の業者のみならず大手の業者ですらそれなりに時間がかかるのですが,この点多くの信販会社は未だにすんなり話が進みます
 

先日,交渉したA社は,当初の提示は7割くらいですが,「金額的に全然無理です。」と一言言っただけで満額(ただし,利息は付いていない)になり,返還時期も翌月末でした。
また,別のB社は任意の交渉で9割程度でしたし,依頼者より「そもそも利息なしでは和解しない」との方針を伺っていたため訴訟をしたところ,訴訟を提起した1週間後にB社より2か月後に利息を含めた満額の返還で和解が成立しました。
 

ところが,信販会社の中でもすんなり進まない業者もあります。それがオリコ及びニコスです。 
 

もちろん,争点があまりないようなケースではあまりもめることはありませんが,分断や時効といった争点がある時点で早々に代理人弁護士が付きます。正直なところ,代理人弁護士が付いた方が最終的な交渉がうまくいくことの方が多いため別に良いのですが,そこにたどりつくまでにかなり時間がかかります。
 

先日,オリコと争点が分断のみの事件で代理人が付きました。

簡単に言うと,「契約番号がまったく違う契約①と契約②を一連計算するか別の取引として計算するか」という争点です。
さらに,別契約とされてしまうと契約①は消滅時効にかかってしまい,請求額が半額程度になるというものでした。

基本的には,契約番号がまったく異なるのであれば別の取引として計算しなければなりませんが,当該契約においては,契約②は契約①の借り換えでなされたものであり,このことはなんと契約②の契約書にバッチリ記載されています。
とすると,最高裁判決により一連で計算することができます。
平成19年2月13日最高裁判決
平成19年7月19日最高裁判決
 

この点を担当者と話をしても担当者は契約が別である以上一連計算は認められないし,それにより契約①は時効との主張を譲りません。ところが,代理人弁護士が付いた途端,一連計算が認められ,かつ,利息も全額付加したした金額での和解を提示されたので,無事和解成立となりました。
 
 

また,ニコスとは冒頭ゼロ計算で争い,東京の代理人弁護士が付いていました。

ニコスは基本的に昔の取引履歴は破棄してしまったため,その部分については推定するしかありません。ただ,昔の取引履歴が開示された場合は,明らかにその時点ですでに借り入れはなくなっていただろうと推測される場合,借り入れはないけど返済をしていたという一見ヘンテコな計算を行います。これを冒頭ゼロ計算と便宜上読んでいます。当然,返済しかしていないので過払いになりますが,担当者は未開示部分は一切考慮せず,過払いどころか借り入れが残るんで返済しろとの姿勢を崩しません。

結局,担当者の手を離れて,代理人が付いたわけですが,冒頭ゼロの計算をベースに代理人と交渉し和解が成立しました。 
 
 

信販会社の中での差

 

この対応の差を考えると見えてくるものがあります。それは,いわゆる流通系の信販会社銀行系信販会社の信販会社の違いです。
 

前者のすんなり行く業者は,すべて流通系(小売店系・スーパーマーケット系)の信販会社です。当該スーパーで買い物をするときにクレジットカードを提示すると,ポイントが倍になったりとか,5%オフになったりする信販会社ですね。
 

一方,後者のオリコはみずほ銀行系列ですし,ニコスは三菱東京UFJ銀行系列と,ともに銀行系信販会社です。 

やはり,銀行系だけあってお金にはシビアであり,過払金の返還について厳しい対応をせざるを得ないのも頷けます。
 

ということで,一般論としては信販会社は消費者金融と比べると未だに結構な融通がききますが,同じ信販会社といっても流通系と銀行系に差があること,及び銀行系については,流通系と比べると少し時間がかかることを踏まえてご相談いただければと思います。

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1月 20 2014

徹底抗戦

あえて業者の名前は書きません(仮に「A社」とします)が,法的にはまったく勝ち目がない過払い訴訟について,最近行われているA社の対抗手法(?)を時系列に沿ってとり挙げてみます。 

なお,以前新聞記事にもなりましたが,A社から5回以上そのような打診を受けたことがありますので,なりふり構わぬ姿勢にはある意味感心します。あ,新聞記者の取材に協力していくくらいですので,もちろん協定なんてものは結んでいませんよ。 
 

①移送申立て

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当事務所にご依頼いただく方のほぼすべての方が東海三県にお住まいの方ですので,相手の業者の本店がどこにあろうが,その方がお住まいの地域を管轄する裁判所に提訴します(民事訴訟法5条1号)。
 

これに対し,A社は東海三県には無いため,自社の本店所在地を管轄する裁判所で裁判を進めるよう申立てをしてきます。これが移送の申立てというもので,当初私が提訴した裁判所の裁判官が「当事者の衡平を考慮すると,この裁判所よりも別の裁判所でやった方がいいな」というように判断した場合には裁判が移送されることになります。 

もっとも,契約した支店はこちらにあることが多く,また,契約者もこちらにいらっしゃいますので,仮に尋問等があったとしてもこちらの裁判所でやった方が良いので,あえてA社の本店所在地の裁判所でやる必要性はありません。さらに,当事者の経済力から考えても,一消費者がわざわざA社の本店まで出向くことと,大企業であり名古屋市内にあるA社の支店の従業員が東海三県の裁判所に出廷するのでは全然違います。 

したがって,このような理由による移送が認められることはまず無いと思いますし,実際に当事務所でも移送が認められたことは一度もありません。 

ただ,A社の作戦は移送そのものではなく,時間稼ぎです。移送するか否かが確定するためには,不服申し立て期間も含め,最低でも2週間はかかります。とすると,本来の裁判期日の数日前に移送の申立てを行うことで裁判期日を延期せざるを得なくなり,その分の時間稼ぎができます。 

A社としては,資金繰りの関係上,少しでも先に延ばしたいので移送が認められなくてもメリットがあるのだと思います。 
 

②調停の申立て

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発生している過払い金についての話し合いがしたいという理由で債務弁済調停の申立てをしてくることがあります。 

もっとも,こちらとしてはすでに提訴しており,話し合いをするのであればその訴訟の場で話し合えば良いと考えているため調停に応じることは無いのですが,それでもやってきます。この趣旨は,自宅への通知という嫌がらせです。本来,弁護士や司法書士が代理人となっている場合,業者からの書類や裁判所からの書類は直接代理人宛に送られてきます。しかし,調停に関しては,未だ代理人とはなっていないため,弁護士や司法書士が代理人になっていても裁判所から直接ご自宅宛に送られてしまいます。とすると,同居のご家族に知られてしまう可能性がありますので,依頼者ご本人が戸惑うことになります。
 
 
ただ,私の経験上,ご自宅に調停の書類がご自宅に送られてきて,怒ったり嫌な気分になったりする方は多数いらっしゃいますが,それを機に和解しようとお考えになる方は一人もいらっしゃいません。正直なところ,A社の作戦は逆効果のような気がします。 
 
 

③控訴



基本的に訴訟で負けることは無いため勝訴するんですが,これに対して控訴をしてくることがあります。というか,ほぼ間違いなくしてきます。 

この場合,当然その分解決までの時間が長引くことになりますので,時間稼ぎのための一つの手段です。もちろん,控訴審で逆転する可能性が無いわけではありませんが,どう考えても逆転することは無いだろうという事案についても控訴してきますので,時間稼ぎが主な理由だと思います。
また,当事務所のように司法書士が代理人となっている場合,控訴審の代理ができないため依頼者の方に裁判所に来ていただく必要があります。ただ,控訴審の1回目の期日は出頭する必要がなく,かつ,多くのケースで控訴審は1回目で終了するため,依頼者の方に裁判所に来ていただくことはほとんど無いと思います。実際に,控訴審で出頭をお願いしたケースは控訴された件数の5%にも満たない件数です。 
 

④執拗な和解の電話



あまり効果はない作戦だと思っておりますが,訴訟中に凄い勢いで和解の打診があります。全然話にならない金額しか提示してこないので当然断るのですが,それでも何度も何度も電話をしてきます。最近は,全額の返還以外では和解する気は無いと断言しているにも関わらず,A社としては和解したいが全額の返還は無理なので減額した金額での和解案の提示をしろとまで言ってきました。こちらは全額では無理だと言っているのに,なぜ減額した和解案を出さなければならないのか理解に苦しみますが,何度もこのような電話をしてくることでこちらが根負けするのを狙っているのでしょう。
なお,当然ですが,和解案の提示はしていません。 
 

⑤普通為替での返還



最終的に返還される場合,一般的な業者は銀行振り込みで返還してきますが,A社は普通為替を直接依頼者のご自宅宛に送付してくることがあります。
普通為替とは,小切手のようなもので,郵便局に普通為替をお持ちいただくことで現金化できます
これも,上記②調停と同じで,A社の名前でご自宅に送られてくるため,最後の嫌がらせです。
ただ,すでにお金を返還するところまできているので,A社にとっては何のメリットもありません。したがって,最近では普通為替での返還は少なくなったと思います。
 

以上については,対応するのは大変ですが,いずれも違法ではありませんので,すべて対応せざるを得ません。もう,ここまでくると我慢比べです。今日も負けないように反論の書類を作成します!

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1月 06 2014

旧ネオラインキャピタルが破産

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 
 

さて,新年最初の記事ですが,いきなり良くない(?)記事です。 

昨年末ですが,旧ネオラインキャピタル(現・クロスシード)が破産したようです。 

破産手続開始決定のお知らせ(PDF)
 
 

このクロスシードという業者。「何から書けばよいのか・・・」というくらいいろいろある業者です。
 

とりあえず,過去のまとめはこちらです。
ネオラインキャピタル系 

端的に言えば,判決を無視し基本的に過払金は返還せず,一方貸金が残る場合は和解には一切応ぜずガンガン訴訟をして強制的に回収するという業者です。
さらに,現在破産したクラヴィス→プロミス→クロスシードという債権譲渡に関する一連の問題があり,その関係からクラヴィスの管財人から否認権を行使されて裁判になっているなど,トラブルを挙げれば枚挙にいとまがない業者です。 

 
 
そして,最終的には破産ということになったわけですが,上記管財人のお知らせを読むと,どうやら自ら破産を申し立てたのではなく,クロスシードの債権者から強制的に破産するよう申し立てられたようです(債権者破産)。
予納金がかなりの金額になると思いますので,どこかの法律事務所が過払債権者を集めて申立てをしたのでしょうか。それとも,クラヴィスサイドが何かしら行動したのでしょうか。詳細はまったくわかりません。 

なお,上記記事にも書いておりますが,この業者は正直なところ判決を取っても全然返還しない業者ですので,今回の破産手続きにより,管財人がしっかり調査し,配当手続によって過払金は返還されることになり,過払債権者にとってはむしろ良かったのかもしれません。もっとも,破産ということは配当がゼロということも多分にありますので,絶対に良かったとも言い切れませんけどね。 

詳細については,管財人が別途ホームページを開設するとのことですので,続報を待つしかありませんね。

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