紛らわらしい「登記○○」という書類など
先日,事務所に「登記簿謄本」を落としてしまったのですが,どうしたらいいですか?!不動産を取られてしまったり,悪用されませんか?!」という慌てた感じのご相談をいただきました。結論としては,登記簿謄本を紛失しても,不動産を取られる等,大変なことになってしまうことはありませんが,一般の方はどのような書類がどの程度大事なものなのかということをご存じないと思いますので,今回は「登記○○」という書類についてまとめたいと思います。
一番大切な書類「登記識別情報通知書」
これまで何度も書いておりますが,「登記識別情報」というパスワードが書かれた書類で,従前の権利証に相当するものです。
こちらを紛失してしまうと,今後の登記の際に本人確認手続や事前通知が必要になってしまいますし,万が一,印鑑証明書と一緒に紛失してしまうと,勝手に名義が変えられてしまう恐れがあるくらい,とても大切な書類となります(もちろん,勝手に名義を変えるのは犯罪です。)。
ですので,登記識別情報を外出先で落としたことが間違いないようであれば,直ちに警察に届け出た方が良いと思います。
紛失後に登記手続きを行う場合はこちら
登記が完了したことを証する,文字通りの「登記完了証」
何らかの登記を申請した場合,登記が完了したことを証するために法務局が発行する書類です。
特にこの書類に何らかの効力があるわけではないため,私も返却する際は「捨てていただいても大丈夫です。」と説明しています。
誰でも取得できる「登記事項証明書」
現在の不動産の現況や権利関係が記載されている書類で,従前の「登記簿謄本」と同じものです。
これは,法務局に行けば誰でも取得できる書類ですので,紛失したからといって問題になることはありません。ただし,登記をした当時の住所等が記載されていますので,むやみに他人には見せない方が良いと思います。
なお,「証明書」という名前のとおり,確定申告など何らかの手続に使う場合はこの登記事項証明書が必要となります。
登記事項証明書の簡略版「登記事項要約書」
要約書という名前のとおり,上記の登記事項証明書について要約した内容が記載がされた書類となります。
例えば,登記事項証明書については,過去の所有者やすでに抹消された抵当権等が載っていることもありますが,要約書は現在のことしか記載されていません。
また,登記事項証明書と異なり,法務局の印鑑が押されていないため,確定申告等の手続などの証明書として使うことはできません。単に今の状況を確認するためだけに利用することになりますね。
インターネットで見られる「登記情報」
上記の登記事項証明書と同じ情報量が記載されていますが,要約書同様,法務局の証明がなされていないもので,インターネット上の情報となります。
私たち司法書士は日々登記の内容を確認しますが,その度に法務局に行くのは大変ですので,事務所のパソコンからインターネットで確認をしています。私が,この業界に入ったころは,その度に法務局に行かなければならず,一般的に法務局は交通の便の悪いところにあるので,そのころを思うと本当に便利になったと思います。
「登記簿」と「登記記録」
昔は,不動産の所有者等の権利関係については,法務局にある「登記簿」という紙に記録されていました。しかし,現在はすべてデータ化されているため,登記「簿」という表現から登記「記録」という名称に変わっています。これらの内容を紙に印刷したものが,上記の登記事項証明書や登記事項要約書であり,そのままネット上で見るのが登記情報ということになります。