不動産売買に関すること

令和4年4月1日から減税等について

現在、各種登記手続において、登録免許税が減税される制度が多くあります。 

 

例えば、土地を購入された場合、本来は土地の評価額の2%を登録免許税として納めなければならないところ、1.5%に減税されています。たかが0.5%かもしれませんが、3000万円の評価額の土地を購入する場合、本来であれば60万円の税金がかかるところ45万円で済むわけですからかなり大きいと思います。
 

また、中古の居住用建物に関してはもっと減税されており、築年数などの条件を満たせば、本来であれば上記の土地と同様に2%の登録免許税を納めなければならないところ、約1/3の0.3%で良いこととされております。

1000万円の建物の場合、本来20万円のところ、3万円まで減税されますので、これは大変大きいと思います。
 

もっとも、これらの減税は「租税特別措置法」という期間限定の法律によって減税されるため、期間満了により廃止されることもあれば、同じ内容で延長されることもあり、さらには、よりメリットがある内容に改正されることもあります。
 

今回は、比較的良い内容に改正されましたので、この点をまとめたいと思います。
 

 
 

1 中古住宅の適用範囲の拡大

 

上記のとおり、中古の建物に関しては大幅な減税があるのですが、築年数の要件があり、木造や軽量鉄骨造などの場合は新築から20年以内、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの堅い建物については新築から25年以内の建物でなければなりませんでした。
 

また、上記の期間を超えてしまった建物であっても、建築士さんの耐震証明があれば、減税を受けることができました
 

しかし、令和4年4月1日からは、昭和57年1月1日以降に建築された建物についてはすべて条件を満たすこととなりましたので、この改正は大きいと思います。
 

なお、減税を受けるためには上記の築年数の要件以外にも、「居住用の建物であること」、「購入者自身が居住すること」、「床面積が50㎡以上あること」、「取得原因が売買または競落であること(贈与は適用無し)」などの条件を満たすことが必要ですが、居住用として購入される場合にはほとんどのケースで満たしていると思います。 
 

2 相続登記の際の免税対象土地の拡大

 

現在、相続登記を推進するために、比較的安価な土地については登録免許税が非課税になっており、ざっくりいうと、「法務局が指定した区域にあり」、「評価額が10万円以下」を満たす土地であれば登録免許税が非課税となりました。

→ 相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局サイト)
 

ただ、仮に評価額が10万円の土地の相続登記の際にかかる登録免許税は400円ですし、指定された区域外であれば適用されないので、正直なところ微妙な内容でした。
 

ところが、今回の改正により、「すべての土地」、「評価額が100万円以下」となりましたので、かなりメリットが大きくなりました。相続登記を申請するのであれば、令和4年4月まで待った方が良いケースが多くあると思います。
 


 
 

3 まとめ

 

廃止されることなく、現在の内容のまま継続される減税もいくつかあります。上記と重複する部分もありますが、まとめると下記のとおりです。

(1)売買で土地を購入した際の登録免許税の減税(本来2%なのが1.5%)

→ 現在も有効
 

(2)建物の新築、中古住宅の購入等の際の所有権移転登記の登録免許税の減税(本来2%なのが0.3%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(3)上記の建物の工事代金や購入代金について住宅ローンを組む場合の抵当権設定に関する登録免許税の減税(本来0.4%なのが0.1%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(4)建物を新築した際の保存登記の登録免許税の減税(本来0.4%なのが0.15%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(5)上記の場合で、特定長期認定住宅または認定低炭素住宅(本来0.4%なのが0.1%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 
 

上記(2)と(3)については、築年数要件が撤廃され、昭和57年1月1日以降に建築された建物であれば適用あり。ただし、下記の要件を満たす必要があります。

自分自身が居住するための家屋であること
②床面積(区分所有家屋の場合は専有床面積)が50平方メートル以上であること
③併用住宅の場合は、居住部分の割合が90%以上であること
④区分所有家屋の場合は、建築基準法上の耐火または準耐火建築物であること
⑤所有権移転登記の場合は、取得の原因が「売買」または「競落」であること

 
 

以上、改正のまとめでした。