住所(氏名)変更登記の義務化について

1. 義務化の背景
近年、日本各地で所有者不明土地の問題が深刻化しています。相続や転居のたびに登記情報を更新しなかった結果、現在の不動産の所有者がどこの誰なのかわからなくなってしまい、公共工事などを行おうにも所有者に連絡を取れないケースが急増しています。
この理由について、国土交通省の調査によれば、所有者不明土地の発生原因の約66%が「相続登記の未了」、約34%が「住所変更登記の未了」であるとされています。こうした状況を改善するため、令和3年(2021年)の不動産登記法改正により、住所・氏名変更登記の申請が義務化されることになりました。
不動産登記法 第76条の5(令和3年法律第24号による改正)
所有権の登記名義人は、住所・氏名に変更が生じた場合、2年以内に変更登記の申請をしなければならないと定められています。
2. いつ・誰が・何をしなければならない?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2026年(令和8年)4月1日 |
| 義務を負う人 | 不動産(土地・建物)の所有者 |
| 申請義務が生じる場合 | 登記された住所・氏名に変更があったとき |
| 申請期限 | 変更が生じた日から 2年以内 |
| 申請先 | 不動産を管轄する法務局(登記所) |
| 申請方法 | 窓口申請・郵送申請・オンライン申請 |
| 登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
3. 猶予期間
施行日(2026年4月1日)より前にすでに住所・氏名が変わっていた場合も、義務化の対象となります。この場合の申請期限は 施行日から2年以内(2028年3月末まで) とされています。
4. 申請しなかった場合のペナルティ
正当な理由なく申請期限内に変更登記の申請をしなかった場合、5万円以下の過料という罰金のようなものを科せられる可能性があります。
5. 手続きの流れ
必要書類の例
・住民票(住所変更の場合)
※住所が繋がらない場合は、除票や戸籍の附票などが必要になり、それでも住所が繋がらない場合は権利書や評価証明書で代替できる場合もあります。この点はケースバイケースとなります。
・戸籍謄本等(氏名変更の場合)
婚姻、離婚、養子縁組など、氏名が変更されたことが分かる証明書が必要になります。
6. よくある質問(FAQ)
Q. 賃貸マンションに住んでいて、また引越す予定があります。その都度申請が必要ですか?
引越しのたびに変更登記をすることが原則ですが、転居の頻度が高い場合に都度申請するのは現実的でない面もあります。ただし、法律上は変更から2年以内の申請が義務であるため、忘れずに対応することが必要です。
なお、検索情報の申出をしておくことにより、法務局がおよそ2年に一度の割合で住所の調査を行い、所有者に確認のうえ法務局が職権で変更をしてくれるため、こちらの申出をしておくと事実上、住所変更登記の義務が免除されます。
→ 検索用情報の申出
Q. 共有名義の不動産があります。全員が申請しなければなりませんか?
共有名義の場合、それぞれの名義人が自分自身の分について申請する義務を負います。ほかの共有者の住所変更を代わりに申請することはできません。
Q. 相続で取得した不動産について、被相続人の住所が変わっていました。相続人が申請する必要がありますか?
住所変更登記の義務を負うのは登記名義人本人であるため、登記をしないまま亡くなった場合に相続人が被相続人の住所変更登記をする義務はありません(というかできません。)。ただし、相続登記の際に住所のつながりを示す書類が必要になりますので、実際には住所変更の変遷などの調査を行う必要はあります。
Q. オンライン申請はどこからできますか?
法務省が運営する登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)から申請できますが、こちらはどちらかというと専門職が使うものであり設定などが大変です。そこで、住所変更登記などの一部の登記申請についてのみ、「かんたん登記申請」というサイトから専用のソフトを利用せずに申請できるようになっておりますので、こちらをご利用いただくと良いと思います。
以上、住所変更登記等の義務化についてでした。