抵当権抹消登記

住所変更登記が必要な場合と要らない場合

抵当権抹消登記の欄にも記載しておりますが,登記簿に記載された所有者の方の住所と現在の住所が異なる場合,抵当権抹消登記の申請をする前に住所変更登記を申請しなければなりません

というのは,登記の世界において,人物の同一性は,住所及び氏名で判断しているためです。したがって,同じ甲さんという人物でも,A市にお住まいの甲さんと,B市にお住まいの甲さんでは他人となってしまうことから,A市にお住まいの甲さんの住所をB市に変更しないと,その後の登記申請が受け付けられないということになります。

 

 

さて,ここでよくご質問をいただくことがあるんですが,転居により住所が変わったのではなく,役所の都合により住所が変わった場合にも登記申請が必要かについてです。

 

例えば,当事務所のある「長久手市」も今年の1月3日までは「愛知郡長久手町」でした。

市制移行について

 

また,お隣の「みよし市」も平成22年1月3日までは「西加茂郡三好町」でした。

市制移行について

 

さらに,区画整理の関係で地名が変わることもあります。

 

上記のように,役所の都合による住所変更の場合でも原則として住所変更登記は必要ですが,住所変更の登記申請を行った場合,その際にかかる登録免許税は役所の都合ということを踏まえて非課税となります(登録免許税法5条4号・5号)。しかしながら,登記申請をする際の司法書士の手数料はやっぱりかかってしまいます。

 

ただし,役所の都合で住所が変わったとしても,町が市になっただけでそれより後の住所が変わらなかった場合は,読替規定があり,住所変更の申請はしなくても良いこととなっております。

例えば,当事務所の所在地は,「愛知郡長久手町杁ヶ池106番地2」が「長久手市杁ヶ池106番地2」と,町が市になっただけですので,住所変更登記は不要ということになります。

 

 

 

以上をまとめると次の通りとなります。

 

<住所変更登記が不要な場合>

登記簿の所有者の住所と現住所が同じである場合

登記簿の所有者の住所と現住所が違うけど,町が市になっただけで,町名や地番に変更がない場合

 

<住所変更登記が必要な場合>

登記簿の所有者の住所と現住所が異なり,その理由が転居による場合

→登録免許税 必要

→登記手数料 必要

登記簿の所有者の住所と現住所が異なり,その理由が役所の都合で町名や地番などが変わっている場合

→登録免許税 不要

→登記手数料 必要

 

 

なお,当事務所に抵当権抹消登記のご依頼をいただいた場合,登記申請前に必ず登記簿を確認いたしますので,その際に住所変更が必要である場合はその旨のご連絡をさせていただきます。