相続登記の費用の補足②(代襲相続,数次相続,尊属・兄弟姉妹の相続の場合)
一般的に多い相続のケースは,亡くなった方の配偶者及びその間の子どもが相続人というパターンです。配偶者がすでに亡くなっている場合は子どものみが相続人となります。
この場合は特に追加で費用が発生することはありません(ただし,複数の不動産をお持ちの場合はかかる可能性があります。詳細はこちら)。
ただし,以下の場合は,戸籍謄本等の調査費用として3万円(戸籍等の取得費用含む)が別途かかってしまいます。
1 代襲相続が発生している場合
代襲相続とは,相続人である方がすでに亡くなっており,さらにその子どもが相続人となる場合です。
例えば,Aさんが亡くなり,子どもであるBさんが相続人となる場合に,Aさんが亡くなる前にBさんが亡くなっていた場合は,Bさんの子ども(Aさんからすると孫)が相続人となります(Bさんの配偶者は含まれません)。
通常はAさんの出生から亡くなるまでのすべての戸籍を調査すれば良いのですが,この場合だとBさんの出生から亡くなるまでの戸籍を調査する必要があるため費用がかかってしまいます。
2 数次相続が発生している場合
数次相続とは,相続登記をする前に別の相続が発生している場合です。
例えば,Aさんが亡くなり,子どもであるBさんが相続人となる場合に,Aさんが亡くなった後に相続登記をする前に,Bさんが亡くなった場合はBさんの子ども及び配偶者が相続人となります。
上記の代襲相続と似ていますが,代襲相続はAさんが亡くなる前にBさんが亡くなっているのに対し,数次相続はAさんが亡くなった後にBさんが亡くなっている点が異なり,数次相続だとBさんの配偶者も相続人となります。
この場合も,Aさんの出生から亡くなるまでのすべての戸籍謄本に加えて,Bさんの出生から亡くなるまでの戸籍を調査する必要があるため別途費用がかかってしまいます。
3 直系尊属・兄弟姉妹が相続人となる場合及び配偶者以外の相続人がいない場合
亡くなった方に子どもがいない場合,両親などの直系尊属が相続人となり,直系尊属がいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。なお,配偶者は常に相続人となります。
例えば,Aさんが亡くなり,妻であるBさんとの間に子どもがいない場合,Aさんの両親であるCさん及びDさんが相続人となります。そして,すでにCさん及びDさんが亡くなっている場合は,Aさんの兄弟であるEさんが相続人となります。
この場合,Aさんの出生から亡くなるまでの戸籍に加えて,Aさんの両親であるCさん及びDさんの戸籍の調査が必要となり,さらに兄弟姉妹が相続人となる場合は,他に兄弟がいないことを証明するためにCさん及びDさんの出生から亡くなるまでの調査が必要になるため別途費用がかかってしまいます。
さらに,Aさんにご兄弟もいない場合はBさんのみが相続人となりますが,そのことを証明するためにご兄弟がいないことを証明する必要があります。その際に,当初から一人っ子ということであれば追加の費用はかかりませんが,当初はご兄弟がいたもののご兄弟が亡くなっている場合はそのご兄弟の相続の調査が必要となりますので,3万円が加算されます。
4 重複する場合
上記は重複することがあります。例えば,兄弟姉妹が相続人となる場合に,その兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は,その子どもが代襲相続します。
この場合は,戸籍等の取得で余分に取得しなければならない場合は別途費用がかかりますが,特に追加取得が発生しない場合は,重複していても1件分(3万円)の加算のみとなります。