申請期限や有効期限のある書類
相続登記や抵当権抹消登記のご依頼をいただく際に,登記の申請期限や書類の有効期限に関するご質問をいただくことがあるため,この「期限」に関するものについてまとめてみます。
登記申請の期限(締切)
実は,相続登記や抵当権抹消登記に限らず,司法書士が行う登記について登記申請の期限というものは一切存在しません。
というのは,登記というのはあくまで自分の権利を守るための制度であるため,登記するかどうかは権利者の自由となっています。いつまでに登記をしなければならないというものはありませんし,逆に長年放っておいたとしても書類さえ揃っていればいつでも申請することができます。
現実的には売買などであれば二重売買の危険がありますので登記をしないというケースはまず無いと思いますが,相続登記が30年間放置されているとか,すでに完済しているのに明治時代の抵当権が抹消されずに残っているなんていうのは結構よくあることです。
ただし,相続登記や抵当権抹消登記ができるのにしないまま放置しておくと,実際に登記するときにびっくりするくらい大変な場合がありますので,可能であれば早めに登記申請はした方が良いと思います。
→遥か昔の抵当権が残ってる場合
→休眠抵当の特例が使えない場合
※建物を新築した場合の建物表題登記など土地家屋調査士さんの業務に関する登記については申請期限の定めがある登記もあります。
書類の期限
上記の通り申請期限はありませんが,書類について有効期限が定められている場合があります。ただし,これも極々例外でほとんどの書類に有効期限はありません。
【有効期限がある書類】
抵当権抹消登記の際の抵当権者の資格証明書(代表者事項証明書)
→有効期限3か月
【有効期限のない書類(主なもの)】
抵当権解除証書
委任状
登記済証
登記識別情報通知書
変更証明書(抵当権者の住所や商号が変わっている場合)
相続登記の際の戸籍謄本・除籍謄本等
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書
住所変更登記の際の住民票等
特に,戸籍や住民票,印鑑証明書などは3か月の有効期限があると誤解されて入らっしゃる方が多いと思いますが,少なくとも抵当権抹消登記,相続登記においては3か月以上前のものでもまったく問題ありません。
また,唯一有効期限のある資格証明書については法務局でいつでも誰でも取得できますので,例え3か月経過してしまっていたとしても登記申請ができないということはありません。
ただし,有効期限はなくても実際に書類が使えない場合があります。
例えば,抵当権抹消登記の際の抵当権解除証書や委任状は,その当時の代表取締役の名前で発行されていると思いますが,何十年も経っていると資格証明書に記載されている代表取締役と異なっていることがありますので,その際は,再度抵当権者に再発行してもらうことが多いです。
ということで,特に申請期限はありませんが,書類の有効期限の関係で余分に費用がかかってしまう場合がありますので,やはり早めに登記申請された方が良いと思います。