不動産売買に関すること

住宅ローンは人生を賭けたギャンブル(になることもある)

極めて個人的見解に基づく記事ですので,全部が全部正しいとは限りません。あくまで一個人の意見としてお読みください。

このホームページは,住宅を購入された場合の登記(及び相続登記)がメインにも関わらず,なかなかネガティブな内容の記事を書いてしまっています・・・。   

 

先日朝日新聞の記事で,この不況で住宅ローンが支払えずに競売になってしまったという記事がありました。その記事の中では,52歳で消費者金融への借金が200万円あったにも関わらず,不動産会社からお金を借りて完済し住宅ローンを組んだが,その後の不況で返せなくなり銀行に相談すると,「70歳過ぎまで払い続けるのはハナから無理ですよ」といわれ競売になったそうです。 

不動産会社の営業マンは売ってナンボの商売です。ウソにならない程度に都合の良いことを言い,誉めておだてるでしょう。だって,購入者が住宅ローンを返せなくなったとしても,不動産会社は一括でお金をもらっていますのでまったく腹は痛みません。頭金があろうがなかろうが,購入者が「借りられる」状況にあればその後に「返済できるか」なんかどうだっていいんです。  

 

 

事務所の近くにあるアピタにいくと,フリーペーパーがたくさん置いてあり,不動産に関するものもたくさんあります。それを取ってみると,  

 

頭金無しで,今お住まいの家賃より低い返済額になるので買った方が絶対トク!」   

 

みたいな宣伝文句が書かれています。言葉が過ぎるかもしれませんが,私の中ではもう詐欺に近いとすら思っています。 

その広告をよーーーーーく見てください。小さく「1年固定で当初1年を年利1%で支払った場合」みたいなことか書いてありますから。

仮に上記の例の場合,確かに当初1年は1%の固定金利なので,住宅ローンの支払いは少なくなるかもしれませんが,あくまで当初の1年だけです。それ以降は今後の金利状況によって大きく変動します。給与口座の指定等によってある程度の金利優遇はあるかもしれませんが,少なくとも翌年以降も年利1%なんてことはあり得ないでしょう。  

 

さらにいうと,家を買うということは今後家に関していろいろ発生する費用はすべて自己負担になるということです。 

例えば,賃貸の場合,お風呂やトイレなどの設備が故障した場合,全額大家さん負担で修繕してもらえますが,戸建てやマンションの場合は当然全額自己負担です。
さらに,毎年の固定資産税だって発生しますし,何年か住んだ後の大規模修繕は避けて通れません。戸建ての場合は,ご自身で積立をするか,リフォームローンなどを組んでさらなる借金を負うことになります。その点,賃貸であれば固定資産税は発生しませんし,古くなったら転居してまた新しい部屋に住めばいいだけです。
ですので,確かに住宅ローンの返済自体は現在の家賃より低くなるかもしれませんが,いろんなものを合わせると,実際には家賃より低くならないことも多いと思います。  

 

そして最大の違いは,賃貸なら給料が下がったときに家賃の低いところに転居したり,実家がある人であればとりあえず実家に住まわせてもらうなど方法がありますが,住宅ローンを組んで家を買ってしまった以上,そこに住み続けるか否かに関わらず住宅ローンを支払っていくしかないという極めて大きなリスクを伴うことです。仮に住宅ローンの支払いができなくなったときには,高い確率で任意売却もしくは競売になります。もちろん,かなりの割合の頭金を入れていたり,すでに住宅ローンの完済までもう少しという状況であれば,不動産を売却して解決することもあるでしょうが,なかなかそのようなケースは多くありません。そして支払いができない場合,最終的には自己破産に至るしかないでしょう。  

 

ですので,私は欲を言えば5割,どれだけ少なくても3割以上の頭金が入れられないのであれば住宅ローンを組んでまで家を買うことは相当なギャンブルだと思っています(完全な独断です)。
とすれば,例えば年収300万円で生活ギリギリなのに頭金ゼロで2000万円の住宅ローンを組むなんていうのは競馬で言えば8頭立ての三連単1点買いで大当たり,パチンコ・パチスロで言えば最初の1回転で大当たり,とかいうレベルだと思います。しかもはずせば,かなり高い確率で自己破産。  

 

そんなに人生ギャンブルしなくてもいいじゃないですか。賃貸だっていいじゃないですか。  

 

ということで,住宅ローンを組んで家を買う際は,住宅ローンを「借りられるか」ではなく「ある程度収入に変動があっても今後もずっと返済できるか」を最重要視して計画を立ててください。