登記完了証と登記事項証明書
抵当権抹消登記をご依頼いただく際に,登記事項証明書の必要性についてご質問いただくことがありますので,今回は似たような性質の登記完了証も併せて書いてみたいと思います。
登記完了証とは
登記完了証は,登記申請をした際に,その申請した登記が完了したことを証する書面となり,登記申請後に無料で法務局から発行されます。
登記完了証の役目としては,申請した登記が完了したことそのものを証明するのみであり,いわゆる権利証(登記識別情報通知書)のような重要な書類ではありません。また,再発行はされません。
正直なところ,私も登記完了証についてはあまり重要ではないと思っており,お返しする際にも「不要であれば捨ててもらっても大丈夫です。」と申し上げております。
登記事項証明書とは
いわゆる登記簿謄本というもので,その時点での不動産に関するすべての情報が記載されたものとなります。
具体的には,その不動産の面積や構造,所有者,担保権(抵当権等)の有無などです。
したがいまして,抵当権抹消登記申請後に登記事項証明書を取得すれば,抵当権がいつ抹消されたかといったような情報も記載されておりますので,登記完了証よりも情報量は多いです。
また,誰でもいつでも法務局に行けば何度でも発行してもらえますが,1通取得するごとに600円の費用がかかります。
※オンラインで請求すると500円かつ送料無料で送付してくれますし,情報だけであればネットの画面で見ることもできます(登記情報提供サービス)。
なお,「事後謄本」とは申請が終わった後に取得する登記事項証明書(登記簿謄本)のことを指しております。
登記事項証明書(事後謄本)は取得した方が良いのか
情報量の多さで言えば,登記事項証明書の方が圧倒的に多いですが,生活していくうえで所有されている不動産の情報を確認する必要性に迫られることはほとんどないと思いますので,抵当権抹消登記が完了したことさえわかれば良いということであれば,登記事項証明書は不要だと思います。ただ,逆にいえば,こんなときで無いと不動産の情報を確認する機会も無いと思いますので,そういう意味では登記事項証明書を取得しても良いかもしれません。
以下,相違点をまとめてみましたので,参考にしていただければと思います。
【登記完了証】
・再発行されない
・抵当権が抹消されたことだけがわかる
・無料である
【登記事項証明書】
・いつでも誰でも法務局に行けば発行してもらえる
・抵当権が抹消されたことだけではなくすべての情報が記載されている
・有料である