相続登記の免税について
条件を満たすと,相続登記の際に納める登録免許税が無料(免税)になることになりました。実際のところ該当する事案がそれほど多いようには思えませんが,それでも免税になるのは相続登記の推進に関しては良いことだと思います。
この件については,以前まだ法案だった頃に記事を書いたのですが,少し内容が変わっておりますので再度まとめたいと思います。
今回免税になる相続登記は2つのケースがありますが,1つはほとんどの方に関係がなく,かつ,あまりメリットもないため割愛し,影響がありそうな方のみ記載いたします。
①相続の対象が土地であること。
登記が絡んでくる時点で,ほぼ土地か建物になる訳ですが,免税の可能性があるのは土地のみです。
②原因が相続または遺贈であること。
あくまで相続の際の免税措置であるため,名義変更の原因は相続または遺贈でなければなりません。ただし,遺贈に関しては相続人に対する遺贈に限定されますので,第三者に対する遺贈は免税されません。
③所有権の登記名義人の相続人がすでに亡くなっていること(二次相続が生じていること)
すべての相続登記が無料になるわけではなく,相続登記をしないままに相続人も亡くなってしまった場合である必要があります。
例えば,土地の所有者として登記されているAさんが死亡し,その相続人がAさんお子どもであるBさんただ一人でしたが,Bさんもその後死亡しており,そのBさんの相続人C(孫)がいる場合ということになります。なお,分かりやすい事例として子や孫を登場させただけであり,中間の相続人が死亡していれば配偶者,甥や姪などにも適用されます。
④亡くなった相続人名義にすること
上記の例で言うと,Aさん名義の土地を亡Bさん名義に変える相続登記に関する登録免許税が免税されます。
したがって,いったんBさん名義に変えた後に,Cさんに変える場合には登録免許税はかかりますし,各種条件を満たしてAさんから直接Cさんに相続登記する場合には免税になりません。
⑤決められた期間内に登記申請をすること
平成30年4月1日~平成33年3月31日までに登記申請をしなければなりません。
なお,この期間内に申請をすれば良いだけであって,所有者や相続人が亡くなった日は関係ありません。
以上から,①土地の,②相続または遺贈で,③所有者の相続人も亡くなっており,④その亡くなった相続人に名義を変える登記を,⑤一定期間内に申請する場合,に免税されることとなります。
なお,あくまで登記申請の際の登録免許税が免税されるだけであり,役所等で取得する戸籍謄本等の取得費用が無料になるものではありませんし,司法書士にご依頼された場合の手続に関する報酬が無料になるものでもありませんのでご注意ください。
以上については,法務省のサイトにも記載してありますので,こちらもご覧ください。