はなみずき司法書士事務所
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2010年3月

3月 31 2010

消費者契約法と大学の授業料

昨日,最高裁で大学の授業料返還についての判決がありました。
判決要旨
判決全文(PDF)

まず,この判例の前提として次の点があります。

大学へ入学して様々な教育を受ける契約を便宜上,「在学契約」と呼び,在学契約は消費者契約法の適用範囲内の契約である。

消費者契約法により,消費者に不利益な契約はどれだけしっかり契約書に記載があっても無効になる場合があります。

その中に,「損害賠償の予定」や「違約金」については,通常発生すべき損害以上の部分については無効になりますよという規定があります。

例えば,100万円で結婚式場の契約をして,結婚式当日にキャンセルしたとします。その場合に,結婚式場側には当然損害が出ているのでその分の損害賠償はしなければなりませんが,契約書に「当日キャンセルは300万円の損害賠償をするものとする」なんて規定されていても「通常発生すべき損害以上の部分」については無効ですので,少なくとも300万円なんていうふざけた金額を支払う必要は無いということです(全額免除では無いですよ)。


では,本件大学の授業料についてはどういう流れかというと,

大学との契約の中に,「いったん納付した学納金は一切返還しません」と規定されている。
受験生は,入学金100万円と学費として約700万円を納めた。
受験生は別の大学に合格し,そちらに入学したいから別の大学にも入学金と学費を納めた。
この大学は,4月7日まで補欠合格させる制度がある。
もとの大学へ4月5日に入学辞退の連絡をした。
学費返せ!
となったわけです。

学生の言い分としては,

4月7日まで別の人を補欠合格させる制度があるんだから,4月5日に入学辞退をしても,大学には損害は生じてないでしょ。だから学費を返して。

大学の言い分としては,

普通は3月末までに進路が決まってるんだから,4月以降に新たな入学者を確保することは事実上困難でしょ。また,4月7日まで補欠合格させる制度があることと4月以降に在学契約を解除しても良いというのとは別問題でしょ。

ってことです。

それで,最高裁は大学側の言い分を認めて次のように判示しました。

4月1日以降に入学辞退しても納めた授業料等は返さなくてよい。


ということで,大学の辞退をお考えの方。

今日が締め切りです!!急いでください!

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3月 29 2010

専業主婦は新規融資「お断り」

貸金業法改正の施行に伴い,キャッシング等の借入ができなくなってしまいます。
記事夫のカードで秘密の借金という記事

簡単に言うと,「収入が無い人に貸せない」という当たり前の状況になるわけですが,これまで融資を受けていた方も突然使えなくなり,自転車操業的に乗り切っておられた方は一気に家族間で大問題になる可能性があります。後になってバレよりは,先にお話しされた方が傷は浅くて済むと思いますよ(当事務所でも,ご相談の中で隠していた別の借入が発覚して離婚問題に発展した方もいます・・・)。


これにより,むやみに貸し付けることがなくなるので自己破産等が減ることになると思いますが,その分,ヤミ金が再び増加することでしょう。これは予想ではなく確信です。
ヤミ金は自己破産をしようが関係なく請求をしてきますので,今後は弁護士や司法書士もヤミ金との交渉できるかどうかが腕の見せ所になってくると思います。もちろん,ヤミ金から借りないのが1番ですけどね。

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3月 26 2010

業務時間変更のお知らせ

4月よりご相談に関しての業務時間が変更になります。平日は早めに終わってしまう分,毎週土曜日のご相談が可能となりますので,平日にご相談にお越しいただくの難しい方は逆にお越しいただきやすくなるかと思います。また,月曜日と火曜日は17時までですが,20時以降の遅い時間であればご相談をお受けすることができます。

月曜日→17時まで(ただし,20時以降はご相談可能です。)
火曜日→17時まで(ただし,20時以降はご相談可能です。)
水曜日→17時まで
木曜日→18時まで
金曜日→18時まで
土曜日→10時から17時まで

以上,ご相談についてのお知らせでした。

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3月 19 2010

最高裁判決にみる人の陥れ方

最高裁で出された業務に関係がありそうな判例は必ず読んで検討しますが,その他にも政教分離に関わる判例インターネットの個人の書き込みによる名誉毀損など,世間の話題になるような判例も読んでいます。

そんな中,特に業務とも関係がなく,さらに大きな話題になったわけでもありませんが,最高裁の判例の中に,まさに「ナニワ金融道」的なスリリングな展開の判例がありましたのでご紹介いたします。

なかなか,登場人物が多いのでまずは簡単にまとめます。

ただし,あまり展開とは関係ない人(会社)もありますので,関係ある人だけ抽出します。また,記号(AとかB)はすべて判決文に合わせていますが,当事者は判決文の中では記号ではないので,甲社(被上告人),乙さん(上告人)とします。

<会社>
A社 たくさんあるグループ会社の元締め会社。
F社 A社のグループ会社
J社 A社のグループ会社。
K社 人材派遣や業務請負を業とする会社。A社のグループ会社であり,Bが社長。
M社 K社の神戸支店が法人化してできた別会社にすぎず,当然A社のグループ会社。
甲社 今回訴えた会社。元はA社の財務部門を独立させた会社。現在は,A社のグループ会社にのみ融資をするための会社で,当然,甲社もA社のグループ会社。

<個人>
Bさん グループの元締めであるA社の筆頭株主でもあり,社長でもあるオーナー社長。また,A社の子会社のうちほとんどの会社の社長でもある。
乙さん 今回訴えられた人。昭和55年9月22日生まれ。K社にアルバイトとして入社。


さて,今回の事件の事前情報は次の通りです。ただし,かなり簡略化しています。

<事前情報>
1・M社は同じグループであるA社と経営顧問契約を締結して,M社はA社に1ヶ月25万円の顧問料を支払うこととなっている。

2・M社は同じグループであるJ社とも経営顧問契約を締結して,M社はJ社に1ヶ月10万円の顧問料を支払うこととなっている。

3・ただし,M社に損失が生じても,A社やJ社は責任を負わないとされており,A社とJ社がM社からお金を巻き上げるシステムが完成。

4・M社の売上げ金額に対し,その7割近い金額をA社グループに対する顧問料の支払っており,M社は560万円程度の赤字である。

5・M社の会社の実印や銀行印などはすべてA社グループのF社が管理・保管しており,M社のお金の出し入れや人件費の支払なども全部F社が管理していたし,M社はA社の社長であるBなどから直接指示を受けていた。つまり,M社にはほとんど自主性がなかったということですね。


そして,ここからが今回の事件の流れです。ただし,上記同様,かなり簡略化しています。

<事件の流れ>
1・平成15年頃,当時22歳の乙さんがK社神戸支店にアルバイトとして入社。翌年,神戸支店がM社になるというのを機に,M社の正社員となる。

2・平成17年頃,M社の資金繰りが極めて悪くなっており,経営が成り立たなくなるおそれがあることが判明。

3・そんな中,BさんらはM社の正社員になってから数ヶ月しか経っていない24歳の乙さんに,M社の社長になるよう強く要請。断り切れない乙さんはやむなくM社の社長就任

4・A社のグループ会社である甲社は,M社に400万円を融資し,BさんらはM社の代表者である乙さんにその保証人になるよう指示をした。形式上は社長といえども,A社グループ全体から見れば単なる従業員に過ぎない乙さんに断る権限もなく,乙さんは連帯保証人となる

5・その400万円は,A社のグループ会社であるF社によってきれいさっぱり遣われた

6・平成17年5月頃,怖くなった乙さんは,弁護士に相談してM社の社長を辞めたい旨通知し,以降出勤しなくなった

7・その半年後である平成17年11月にM社は倒産し,M社は甲社へ返済ができなくなる。

8・甲社は,連帯保証人だった乙さんに返済を求め,訴訟提起

つまり,倒産間際のM社に融資をしてM社の対外的な借金は甲社に対する400万円の借金に一本化し,断ることのできない状況にある乙さんをその借金の保証人にすることで,A社グループ全体としては乙さんから回収すれば損失が無くなるという構図になります。

この点に付き,原審の大阪高裁は甲社の請求を認め,乙さんに対して全額支払う旨の判決をしています。

皆さんは,どうお考えでしょうか。

当時24歳とはいえ,未成年でもないのだから,社長に就任することの意味(中小企業への融資に対して,社長が連帯保証するのが普通)を認識していただろうし,自分で保証契約書にサインしたのだから全額支払う義務と考えますか。
それとも,全体としてみれば,乙さんはまったく断ることの出来ない状況でA社に嵌められたとみて,支払う義務は無いと考えますか。

その答えはココにある!!

最高裁要旨
判決全文(PDF)

たまには,こんな記事もアリかと思いますが,いかがでしょう?

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3月 14 2010

業者さんの対応の変化

これまでにも大手業者の対応についての記事を書いてきましたが,最近また動きがありますので,すごく簡単にまとめたいと思います。ただ,業者の社員の方もこのブログを見ているそうなので,あまり詳しいことは書けませんが・・・(法廷で「ブログ見てます」と言われました)。


武富士→相変わらず訴訟をしなければ,まったく返還が期待できません。ただ,少し前までは必ず判決になっていましたが,少しずつ和解ができるようになってきています

プロミス→当事務所的には,訴訟8に対して訴訟前の和解2という割合かと思います。訴訟をしても判決まで行くことはありませんが,返還までに時間がかかってきています

アコム→プロミスと同じような感じです。ただ,返還までに時間はプロミスよりも早いと思います。

アイフル→今月上旬は判決を取得したものについて続々と控訴をされていましたが,先週から本部の偉い方と和解交渉をするようになり,訴訟前に和解ができるようになってきています。訴訟前に和解したのは何年ぶりだろう・・・。

レイク→訴訟をすることはほとんどなく,訴訟前にほぼ満額返還されます。しかも過払い請求をしたその日に連絡がありますので,この中では一番対応が良い業者です。

なお,上記の内容は極めて流動的であり,また,あくまで代理人として交渉ないし訴訟をした場合の状況なので,ご自身で交渉される場合にはあまり参考にならないかもしれません・・・。

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3月 11 2010

3/12のご相談メールについて

明日3/12は朝から豊橋の裁判所で裁判があるうえ,昼から不動産の決済が2件入っているため,日中はまったく事務所におりません。
只今より明日の夕方までにいただいたメールについては,夕方以降の返信となってしまいます。

ご連絡いただいた方々には大変ご迷惑をおかけいたしますが,何卒ご理解の程お願いいたします。

以上,お知らせでした。

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3月 04 2010

約定残債務がある場合の過払い請求とブラックについて

ブラックについての記事第2弾です。
→従前の記事はこちら 
 

主に消費者金融系の信用情報を管理している株式会社日本信用情報機構より取扱いの変更のプレスリリースがありました。
プレスリリース 
 

これにより,今後過払い請求をしやすくなると思います。 

以下,具体例をあげて説明していきます。 
 

1・現在A社に対して,約定残債務(契約している高い金利で計算した場合の債務)として50万円が残っているが,利息制限法に引き直して計算すると,20万円の過払いとなる場合 

この場合,受任通知をA社に送付した段階で,「債務整理」という登録がされることが多いかと思います(過払いになる場合は登録しない業者もあります)。 

次に,過払い請求を行った段階で,「債務整理」から「契約見直し」へ登録が変更されることになります。 

ただし,確かに「債務整理」から「契約見直し」に変更されるものの,私としては,実質は変わりはないと思っていましたので,変更の効果がどれほどのものかについては懐疑的でした。
過去のブログ記事 
 

しかし,4/19より,「契約見直し」という登録が無くなりますので,「債務整理」という登録が削除されて「完済」になるとのことです(日本信用情報機構に確認しました)。
 

したがって,現在借入がある方も,手続の当初は「債務整理」が登録されることがあるため一瞬はブラック扱いになってしまうこともありますが,最終的には登録が削除されるため,これまでよりも過払い請求がしやすくなると思います。 

なお,過去にすでに手続を行い,「契約見直し」として登録をされている方も,4/19を過ぎれば,自動的に削除されるそうです(日本信用情報機構に確認しました)。
 

2・約定残債務として50万円が残っているが,利息制限法に引き直して計算すると10万円の借入がまだ残ってしまう場合
 

この場合,引き直しても借入が残っていますので,純然たる「債務整理」となり,5年間登録されることとなります。
この点についての変更はありません。上記の変更はあくまで「引き直し計算をしたら過払いだった」という場合に限ります。
 

「5年間」については,こちらの「個人に関する信用情報の登録期間→b個人のお取引から発生する情報→内容」のところに記載があります。
 

3・過去に,50万円を借りて完済した分について,引き直したら30万円の過払いとなった場合

この場合,当初より債務がありませんので,弁護士や司法書士が受任通知を送付しても,「債務整理」という登録もされなければ,「契約見直し」という登録もされません。最初から,何も無いということです。 

したがって,今回の変更についても,このケースの場合は何も関係ないということになります。
 

これまでは,残債務がある場合,可能であれば一度完済をしてから請求すればブラックになることは無いため,こちらの方法をお勧めしておりました。
 

ただし,上記の点は,あくまで「株式会社日本信用情報機構」という,いち民間企業が行っていることに過ぎず,法律で規定されているものではありません。今後,取扱いが変更される可能性が無いわけではありませんので,その点だけご注意ください。

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