はなみずき司法書士事務所
E-mail   プライバシーポリシー

2012年9月

9月 12 2012

無担保→不動産担保の取引の最高裁判決

無担保取引から不動産担保取引に変わった場合,無担保取引で発生した過払金を不動産担保取引に充当できるか,すなわち,一連計算ができるか,という争点について問題になっている旨の記事を先日書きました。
記事 

 

そして昨日,この問題に終止符を打つ最高裁判決がありました。
最高裁サイト
判決全文(PDF) 

 

結果から申し上げると,原則として一連計算はできない,というものでした。 

 

まず,本件訴訟の事案の説明から。

 CFJを含む複数の業者から借りていたのをCFJの不動産担保ローンでいわゆる「おまとめ」をした。その際,借主が実際に受け取った金額は,CFJの無担保取引による債務分を差し引いた分しか受け取っていない
 CFJの不動産担保取引は,これまでのリボではなく証書貸付だった。
通常の消費者金融との取引はカードによって借りたり返済したりを繰り返すリボ取引が主流なのに対し,証書貸付とは,住宅ローンのように最初にドカンと借りてその後はずっと返済をするというもの。
 「おまとめ」をしたのは平成11年頃であるため,もし一連計算が認められなければ従前の無担保取引によって発生した過払金は消滅時効が完成しており請求できなくなる。なお,「おまとめ」によって完済した他社については消滅時効が完成しているため,請求できないことは確定済み。

というものです。

 

以上の状況で,最高裁は無担保取引と不動産担保取引は一連計算できないと判示しました。その理由をざっくり記載すると,

 

「無担保取引はリボであるのに対し,不動産担保取引は証書貸付であるため,あまりにも契約形態が違いすぎる。したがって,例え,CFJの無担保取引の残債務分を控除された等の事情があったとしても,一連計算はすべきではない。」
また,田原裁判官の補足意見ではありますが,「もし一連計算できるとすると,他社へのおまとめ分を融資してあげたCFJは平成11年より前の分についても過払金を返還する義務があるのに対し,おまとめによって完済された他社については消滅時効により過払金を返還しなくても良いのであるから,衡平の観点から問題がある。」

 

というものです。

これにより,無担保リボ払い→不動産担保(証書貸付)という事例においては,一連計算はほぼ不可能になったと思います。

ただし,本判決においては,一連計算できる例外も併せて判示しています。

1 不動産担保取引も無担保取引同様,リボ払いだったような場合
これは,単に担保があるか無いかというだけで,証書貸付のように契約形態が大きく変わるものではないため,一連計算できる余地は十分にあります。

2 不動産担保の契約がなされた経緯,その後の取引の実情等の事情を踏まえ,無担保取引と不動産担保取引が事実上1個の連続した取引であることを前提に取引をしていると認められる特段の事情がある場合
こちらについては,田原裁判官の補足意見に具体例が記載されております。
証書貸付だった場合には基本的に初回にドカンとお金を借りてその後は返済をするのみとなりますが,一定額まで返済されると,再び追加貸付が予定されているような場合には,上記1と実質的には同じであるため一連取引であると評価できる余地がある
同じ業者と複数の取引があり,これをおまとめした場合や親子・兄弟等が同じ業者から借り入れてる場合に,その内の誰かがおまとめをしたような場合には一連計算できる余地がある

というものです。

しかしながら,①については,証書貸付なのに追加借入が予定されている取引というものはそれほど多くないと思われますし,②についてもCFJや三菱UFJニコスのように合併を繰り返している業者であれば同一の業者で複数の取引が存在するということはありますが,一般的なおまとめの事案としては,複数の業者の債務を特定の業者1社にまとめるためにするのであって,特定の1社のみの複数の取引をその業者の不動産担保取引でそれをおまとめするというケースはそれほど多くないと思われます。

以上から,無担保取引(リボ)→不動産担保取引(証書貸付)の場合には,ほぼ一連計算はできないものと思われます。

なお,本判決が出て良かった点もあります。それは,上記のとおり,無担保取引(リボ)→不動産担保取引(リボ)の場合は,不動産担保の部分は大した問題では無いと判示した点です。
つまり,アコムやアイフル等,不動産担保取引のリボという契約は結構あるため,そのようなケースにはむしろ有利になる判決だと思います。

もっとも,当事務所がご依頼を受けていたケースでは,不動産担保取引は証書貸付であるため,本判決により一連計算はできないことになってしまいましたので当事務所の依頼者にとっては良い判決では無いんですけどね・・・。

無担保→不動産担保の取引の最高裁判決 はコメントを受け付けていません

9月 11 2012

破産したクラヴィスが反撃

先日,クラヴィスという消費者金融が破産申立をした件について記事を書きました。
記事

 

このクラヴィスという業者は一時期,プロミスの子会社となったものの,その後ネオライングループに売られ,用済みとなったところでネオライングループは株式会社バッカーズに株式を譲渡し,その後クラヴィスは破産しました。現在は,裁判所より選任された管財人が,クラヴィスの持っている財産を現金化して,少しでも多くの方に過払金を返還すべく手続を進めています。

 

今回,この破産手続に際して,プロミスの子会社時代の契約について問題となっています。
記事

 

というのは,クラヴィスがプロミスに売られた際に,クラヴィスが持っていた貸付債権についてはプロミスにすべて譲渡しました。ところが,譲渡した貸付債権の中には過払いになるものも含まれていたところ,その過払いになった分についてはクラヴィスがプロミスに対して全額補填していたそうです。そうすると,プロミスは譲渡を受けた債権は回収すれば良いし,仮に過払いになったとしてもクラヴィスから補填されていたので,貸し倒れが無い限りまったく損はしないことになります。しかもこのような補填はプロミスがネオライングループに株式を譲渡し,さらにネオライングループが株式会社バッカーズに譲渡した後も続いていたそうです。

債権者説明会資料(PDF)

このようなプロミスとクラヴィスとの契約は,破産状態にあるにも関わらずプロミスのみを優遇して取引をした(偏頗弁済)のではないかと,クラヴィスの管財人は考えているようです。

もし,クラヴィスの管財人の主張が通れば,約2400億円の負債に対し,1億弱のお金しか持っていないクラヴィスからいくばくか回収できると思います。

 

もっとも,負債総額が約2400億円ですからね・・・。かなり大変そうです・・・。

破産したクラヴィスが反撃 はコメントを受け付けていません

9月 10 2012

包括的和解契約?

とある某社。

数年前より危ない危ないと言われ続けながらも,現在も貸付等を行い通常営業をしております。

 

この業者は,過払金については某社と事務所との包括的な取り決め(以下,「包括的和解契約」と言います)をするよう求めてきており,わざわざ事務所まで説明に行きたいとまで言ってきます。

この「包括的和解契約」というのは,今後ご依頼を受けた過払金の回収について,「一律○%で和解してください。もし,この条件を飲んでもらえれば○ヶ月後に必ず返還しますし,借入が残る方についても柔軟に対応します。」というようなものです。
このような提案について,相手も仕事としてそのような提案をしている以上,まったく話を聞かないのは社会人として失礼かと思いますので,電話で内容を聞いたり,裁判所で直接会った際に説明を聞くことはあります。
しかし,少なくとも当事務所ではこのような包括的和解契約を某社に限らずどの業者とも締結したことはありませんし,今後も締結することは絶対にありません

なぜなら,過払金は依頼者の権利・財産であって,ご依頼を受けた弁護士や司法書士が勝手に減額して良いものでは無いからです。
もし,包括的和解契約をして,一律○%で和解してしまったら,満額との差額については依頼者の許可無く減額することになってしまいますよね。

 

したがって,当事務所においてはご依頼いただいた依頼者に対して,

 

「某社の状況はこういう状況にあり,万が一倒産してしまった場合には,最悪1円も返ってこない可能性があります。ですので,安全策をとられるようであれば減額をしてでも和解をして早期に返還してもらった方が良いと思います。逆に,和解をせずに訴訟を提起した場合,少なくとも現時点では勝訴判決が確定すれば1円単位まで全額返還されています。倒産リスクはありますが,返還されるまでに倒産しなければ和解した場合より何倍もの多くのお金が返還されます。以上を踏まえて,どうされますか?」(この説明は非常にざっくりと書いておりますが,実際には某社の株価の状況やB/S等の状況も踏まえて説明させていただいております)

 

というように,最終的なご判断は各依頼者にしていただいております。依頼者が,減額されてもいいからスグに手元にお金が欲しいということであれば和解すべきでしょうし,時間がかかってもいいから全額回収したいということであれば和解せずに提訴ということになるでしょう。繰り返しになりますが,過払金は依頼者ご自身が自由にできる権利・財産です。ご自身がご希望されるように私たちは手続を進めるだけです。

 

ところが,残念なことに某社から提案を受けて包括的和解契約を締結する事務所も中にはあるそうです・・・。最初に包括的和解契約の話を聞いたときには,そんなん締結する事務所なんかあり得んだろうと思っていましたが,本当にあるそうでたまげましたね。

 

 

 

また,この某社はあまり和解をせず,訴訟→全額回収をしまくっている弁護士や司法書士に対して嫌がらせ的に懲戒請求や苦情申立などを行っているそうです。
懲戒請求や苦情申立をされたところで,おかしな事をしていなければ何らかの処分等をされることはありませんが,その反論の為にたくさんの書類を準備したり作成したりと,かなりの手間が増えるため迷惑なことこのうえありません。

もっとも,逆に考えれば,相手から懲戒請求等をされるということは,相手に嫌われるような対応をしている,つまり,依頼者のメリットを最大限に考えている事務所ということになるのではないでしょうか。

 

そんな,某社と先日和解交渉の電話をしていたら,とうとう当事務所も懲戒請求を匂わせるような発言をされましたよ・・・。
まぁ,当事務所も結果としてほぼ全件訴訟→全額回収になっているので,目を付けられているんでしょうねぇ。
懲戒請求されるのはまっぴらごめんですが,これもまた依頼者のメリットになることをやってきたがゆえのこととポジティブに考えていきたいところです。

 

今日も某社に対して2件の請求を行いました。今後,どうするかは各依頼者のご判断です。でも,多分訴訟になるかなぁ・・・。

包括的和解契約? はコメントを受け付けていません

Copyright © 2005 Hanamizuki. All Rights Reserved.