はなみずき司法書士事務所
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6月 24 2013

強制執行あれこれ

過払い訴訟において,大手と言われているような業者であればあまり問題になりませんが,中小以下の業者が相手だと判決を取ってもなかなか回収ができません。

 

その理由は単純で「無い袖は振れない」という一言に尽きます。

 

そんな業者は,こちらの足元を見て平気で10%や5%といった極めて低い割合の和解提示しかありませんので,お金をかけて訴訟をしたは良いものの,かけた費用以下の過払金しか回収できなかったということもあります。

さらに,和解をせず業者の預金口座などを差し押さえて回収する方法もありますが,お金が全然入っていないか入っていても他の過払金を持っている方とバッティングしてしまい,あまり回収できないというケースも多くあります。なので,依頼者の判断によりますが,最初から訴訟をせず和解をするということもあります。

 

 

さて,今回のご依頼は,あまりにも相手の業者の和解提示額が低いため,訴訟を進め判決を取って強制執行をすることとなりました。

 

まずは,口座を差し押さえるわけですが,その差し押さえる口座も十分に吟味しなければなりません。

というのは,強制執行においては,どの銀行どの支店の口座について,いくら分を差し押さえるのかをこちらで指定しなければならないからです。

 

例えば,甲社に対して100万円の過払金があり,甲社は,A銀行の名古屋支店,B銀行の名古屋支店と豊田支店に口座を持っていたとします。

この場合,仮にA銀行の名古屋支店の口座を100万円押さえるという申立てをした場合,バッチリA社銀行の名古屋支店に100万円以上入っており,誰ともバッティングをしなければ全額回収できます。しかし,A銀行の名古屋支店の口座にお金が入っていない場合は,例えB銀行の口座にお金が入っていたとしてもまったく回収できないことになります。

また,仮にA銀行の名古屋支店に30万円,B銀行の名古屋支店に20万円,豊田支店に50万円と分けて口座を押さえた場合,全部の口座を押さえるので外れる可能性は低くなりますが,もしA銀行の口座に100万円以上入っており,B銀行の名古屋支店及び豊田支店にはまったく入っていなかった場合でも,最大で30万円しか回収できないこととなります。

さらに,差し押さえのタイミングも重要です。というのは,強制執行は基本的には差し押さえた時点での口座を押さえられるに過ぎず,その後に口座に入金されたお金については強制執行は及ばないこととなります。

 

以上から,回収するために重要なこととしては,

 

お金が入っていそうな口座を

できる限り他の方とバッティングせずに

お金が入っていそうな時期に

差し押さえをする。

ということになります。

 

このうち,①については,会社の本店近くにある金融機関の方が入っている可能性は高いと思いますが,そうでないケースも結構ありますので,一概には言えません。

次に,②については,他の方の動向などさっぱりわかりませんが,基本的にはインターネット上に出てる口座は危ないです。つまり,一般の方が差し押さえをしようにも,ご自身が取引をされていた口座以外の口座は知らないと思います。そこで,インターネットで検索しどこか口座が無いかを調べられると思いますが,同じように考えている方も多いのでバッティングする可能性が高いと思われます。

当事務所は,過去取引をされていた方の口座や任意整理等で和解した場合の振込先を把握していますので,インターネット上では見つけられない口座を押さえることができます。またひとつのポイントとしては,業者の名前が変わっている場合に,とある口座は口座名義人の名前がちゃんと変えられているのに,とある口座は前の名前のままになっていることがあります。その場合,名前がちゃんと変えられている口座を現在も使っていると判断できますので判断材料になります。

最後に,お金が入っていそうな時期というのは,基本的には顧客の給料日です。つまり,押さえようとする口座は,その業者に借り入れがある方が返済するための口座なので,借り入れの返済日付近で差し押さえをした方がお金が入っている可能性が高いからです。では,いつが多いかと言うと,当事務所で任意整理をした方で一番多い返済日は月末です。世間で言われている通り,当事務所の依頼者の給料日は20日や25日が一番多いのですが,皆さんが給料日その日に返済できるわけではないので月末にしています。もちろん,月末の期限ギリギリではなくちょっと前に返済される方が多いので,実際には27日とか28日くらいが一番多いかと思います。

なお,差し押さえの日は裁判所に申し立てをした日ではなく,裁判所から口座のある金融機関に書類が届いた日になりますので,差し押さえようとする日の数日前に申し立てをしなければならないこととなります。

 

 

ということで,本日,上記の条件を満たした選りすぐった口座をいくつかピックアップし,申立てをしてみました。

正直なところ,それでも全額の回収は厳しいとは思っていますが,和解するよりは少しでも多く回収できることを願っています。

 

少し話は変わりますが,昨年,NISグループ(旧ニッシン)という業者が破産しました。

先日,破産による配当があり,債権額に対して3.5%しか返還されなかったそうです。つまり,100万円の過払金があっても.35,000円しか返還されないということになります。

実は,当事務所で一昨年から昨年にかけてNISに強制執行の申立てをしました。その際,①本店近くの口座,②大都会にある顧客が多そうな口座,③依頼者とはまったく関係のない関東の銀行の口座の3つを押さえました。

結果としては,②と③は全額回収できましたが①については競合してしまいました。ただ,①は差し押さえの割合を低めにしていたため,結果としては満額から95%程度の過払金が回収できました。もし,①の口座を全力で押さえていたら,あまり回収できず,さらに時間切れで破産手続きに巻き込まれていたかと思うとゾッとします。

 

強制執行は,「出たとこ勝負」,「やってになきゃわからない」という側面がありますので,申し立てをして銀行から回答が来るまでは本当に心配です・・・。

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