はなみずき司法書士事務所
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5月 25 2010

調停無効の判決

特定調停にて話し合いがまとまった場合,「調停調書」というものが作成されます。

調停調書には,借金の返済について「総額いくらを,いつからいつまで,どのように返済する」という条項が記載されており,最後には「本調停調書に定めるほか,債権債務が無いことを相互に確認する」という条項が記載されるのが通常です。この最後の条項を「清算条項」と呼び,調停調書に記載されていないことについては互いに何も無いですよ,ということを規定しておくことで後日の紛争を防止する意味があります。

さて,この清算条項ですが,借金が残る場合は「債権債務無し」という条項が記載されますが,特定調停を行ったが実は借金が無くなっており過払いだったという場合,最近(とは言っても数年前から)は「債権債務無し」ではなく「債務無し」という条項が入ることになっています。これは,もし「債権債務無し」としてしまうと,特定調停のあとに過払い請求をしようにも,債権が無い,つまり過払金返還請求権が無いということを確認したことになってしまうので,過払い請求ができなくなってしまいます。
ですので,最近は過払い状態にある場合は,「債権債務無し」ではなく「債務無し」という清算条項をつけることになっています。

ところが,一昔前は,裁判所も過払いについての対応が柔軟ではなかったようで,過払いがある場合にも「債権債務無し」という清算条項になっているのが一般的でした。そして,調停調書は確定判決と同じくらい強力な書面民事調停法16条民事訴訟法267条)であるためこの効力を否定するのはかなり難しいのが実情です(確定判決を覆すには再審によらなければなりませんし,調停に至ってはその成立を覆す規定すらありません)。

なので,債権債務無しとなっている場合は,残念ながら過払い請求ができない場合が多いと思います。
ちなみに,シティズというアイフルグループの会社は自社でとった判決のデータベースをホームページ上で公開しており,そこにも敗訴判決(シティズ勝訴判決)が出てきます。

と,前フリが長くなったのですが,先日当事務所で調停調書に債権債務無しとなっているにも関わらず「調停は錯誤により無効(民法95条)である」として,過払金の返還を認めた判決を取りました。
判決(PDF)

なお,判決の主文では一部棄却となっておりますが,これはうるう年の計算で15円の誤差が出たためであり,実質的には完全勝訴です。
まだ,確定しているわけではないので今後控訴される可能性も十分ありますが,同じ問題で争っている方の一助になれば幸いです。

※6/7追記

被告より連絡があり,判決内容に沿った支払いをするとのことで控訴されず確定となりました。

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