はなみずき司法書士事務所
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2011年2月

2月 18 2011

200000000000円

武富士の専務が創業者である両親から贈与を受けた際の贈与税について課税取消の逆転判決が出ました。

記事
最高裁サイト
判決全文(PDF) 
 

上記最高裁の補足意見として,「法感情としては違和感があるけども,法律の規定がそうなっている以上,租税回避目的でもしょうがないよね」という趣旨のことが書いてあります。最高裁としても苦渋の決断だったことが伺えます。
 
 

もともと第1審では専務側勝訴,第2審では逆転して国税側勝訴,そして今回の最高裁判決では再び逆転して専務側勝訴となりました。
しかも,第2審で専務側は全額納税していたため,利息までついて返還され,その額が総額で2000億円とのことです。
武富士本体は会社更生で大変なのに,創業者の息子である専務個人は2000億円を手にしている訳です。
 

根本的に会社と個人はあくまで別人格ですので,例え会社が倒産しようが会社の役員は連帯保証をしていない限り原則として責任は負いません。ただし,会社経営において,役員に過失等があって倒産させたようなことが判明した場合には,会社法423条や429条等,役員に対して責任追及できる法律があるため,おそらく今後旧経営陣個人に対する訴訟が起こされると思います。
 

そのように考えると,専務にお金が戻ったのは,ある意味回収できるお金が出来たと考えることもできるかもしれません。逆に,このように考えないと武富士に対して過払金がありながら大幅にカットされてしまう方たちにとってまったく納得できないものだと思います。
 

しかし,最近の武富士関連のニュースは良いモノがありませんね・・・。

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2月 15 2011

債務整理と賃貸借契約の審査

借入が残っている段階で債務整理等をすると,過払いにならない限り原則としていわゆる「ブラック」になってしまいます。ブラックになることによって,銀行・信用金庫といった一般的な金融機関のみならず,ノンバンクと呼ばれる消費者金融等からも借入をすることができなくなってしまうことに加え,信販会社のカードの審査にも通らなくなります。
これは,お客さんの信用情報(とある人の支払能力に関する情報のデータ)を各金融機関等の団体が加入している信用情報会社のデータベースを見ることによって,過去に債務整理をしたことがわかるためです。 

 

全国銀行協会
CIC
日本信用情報機構 

 

逆に言えば,ブラックについては上記のデータベースを見ることができる企業の話だけであって,それ以外の業者等との取引には一切関係がありません。
例えば,企業に就職することやアパートを借りること,さらには,役所からお金を借りる際にも過去に債務整理をしたかどうかということは関係がありません。その理由は上記の通り,就職先だって,アパートを借りるときの大家さんだって,役所だって,信用情報会社のデータベースを見ることができないからです。

 

ところが,上記のうち「アパートを借りる」については,場合によっては債務整理をすることによって借りることができない場合があります。それは,アパートの家賃の支払いについてカード決済で家賃を支払う場合です。
この辺りだと良くあるのが,ミニミニの仲介物件だとミニテックカードによる家賃の決済が条件(というか当然のこと)となっている場合があります。このミニテックカードというのは,オリコジャックスがカードを発行しているため,家を借りるうんぬんの審査ではなく通常のカードを作るときの審査があります。 

 

つまり,

アパートを借りるに当たってカードの審査がある

債務整理によってブラックになっているので審査が通らない

カードが作れないのでカード決済ができない

結果アパートが借りられない

ということがあります。

 

上記はミニミニの例を上げましたが,同じような仲介会社はたくさんありますので,同じ理屈で借りられない可能性があります。

この審査というのは,カードを作ることによって家賃の支払いだけではなく,通常のクレジットカードと同じようにキャッシングやショッピングができますのである意味当然のことかと思います。 ところが,この信用情報制度を悪用して,家賃保証にも流用していたそうです。

記事

 

家賃保証はその名のとおり,入居者が家賃を滞納した場合に家賃保証会社が入居者に代わって大家さんに家賃を支払ってくれるという制度です。もちろん,それで家賃がチャラになるわけではないので,その後,家賃保証会社から入居者に請求(求償)がきます。とすると,家賃保証会社としては,出来る限り家賃を延滞しないような人の保証をしたいので,その方の信用情報を参考にするのは確かに合理的とは言えますが,明らかに目的外利用であるため違法です。しかしながら,家賃保証会社はなぜ審査が通らなかったかは教えてくれないので,単に収入が足りなかったから審査が通らなかったのか,違法に信用情報を見られて通らなかったのかはわかりません・・・。 

以上から,債務整理をしても原則としてアパート等を借りられないということはありませんが,家賃の支払いがカード決済の場合は,カードが作れない結果アパート等を借りられないということはあります。 
また,家賃保証会社の審査が通らなかったことを理由として断られた場合は,上記の通り違法に情報を見られている可能性がありますが,現実的にはどうしようもないと思いますので,家賃保証会社の審査がないアパート等を選ぶしかないと思います。

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2月 02 2011

武富士の支援企業

過払い債務等の負債が大幅カットになって身軽になる武富士の支援企業が5社に絞り込まれたとのことです。 

記事
 

5社のうち,海外企業についてはアメリカの投資ファンド2社,韓国の消費者金融,日本のJトラスト,東京スター銀行とのことです。

まず,アメリカ投資ファンドについてはさっぱりわかりません・・・。
 
次に,韓国については,2年ほど前にアコムとプロミスが進出を進めており,それに続いて武富士も進出しようとしていたのですが,逆に飲み込まれてしまう立場になってしまった訳ですね。韓国は日本と比べるとかなり金利が高い(30~40%台)らしいので十分儲かるんでしょうけど,武富士は日本での法律が厳しくなって商売が難しくてこのようなことになったのに,高金利でやっていけてる韓国の消費者金融が日本にきて商売ができるのでしょうかね。少し疑問です。
 
最後に,Jトラストと東京スター銀行ですが,どちらが良いかといえば,私は東京スター銀行の方だと思います。というのは,Jトラストはロプロ(「腎臓売れ!」で有名になった旧「日栄」です。)の完全親会社(PDF)であり,ロプロは過払金は法律の根拠無く値切ってナンボのスタンスですし,分割弁済にはなかなか応じない業者ですので,今後武富士の借入が残った場合に債務整理をしても分割弁済に応じなくなる可能性が十分予想されます
一方,東京スター銀行は,三菱東京UFJ銀行でいうところのアコム,三井住友銀行でいうところのプロミスといった銀行傘下の小口貸付の会社がありませんので,仮に武富士を傘下に入れればそのような位置づけになるのではないかと思います。そして,銀行傘下になれば分割弁済には応じないという横暴はしてこないと思いますので,どちらかといえば東京スター銀行の方が良いのではないかと思います。
  

なお,銀行傘下という訳ではありませんが,実はJトラストと東京スター銀行は保証業務において提携しています。
 
プレスリリース(PDF)
 

仮に東京スターが武富士を買い取った場合,各種保証業務を武富士に切り替えていく可能性もありますので,Jトラストと利害がぶつかります。まさに昨日の味方は今日の敵という感じで武富士の買取を巡り争うことになるのでしょうか。もちろん,保証会社を複数使うのは一般的なので問題ないかもしれませんけど。
 
いずれにしても,今後返済が困難になった場合にもしっかりと対応していただける業者に買い取ってもらえることを切に願います。

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