4月
06
2018
株式会社日本保証という会社があります。
もともとは,商工ローンの大手であった商工ファンド(SFCG)と双璧を成す「日栄」という会社であり,20年近く前に「腎臓売れ」などといって取立てを行うなど社会問題にもなった会社です。
この社会問題を受けて,社名を日栄からロプロに変え,その後合併や商号変更を行い,現在の株式会社日本保証という会社になりました。
武富士の承継会社
さて,この日本保証は,純粋に日栄だった会社が今に至るのではなく,いくつもの会社の事業を合併や事業譲渡により承継しており,過去に日栄と取引が無かった方の債権についても,いつの間にか日本保証が債権者になっているというケースがあります。その中でも一番多いのが武富士ではないかと思います。
武富士は,膨大に膨れ上がった過払金の返還に耐え切れず,平成22年に会社更生の申立てをして倒産いたしました。
これにより,武富士に対して過払金を請求できる方の債権は大部分が消滅してしまいましたが,武富士に対して借り入れが残る方については,会社更生手続きによって何ら影響を受けることはありません。したがって,武富士に対しては,残っている借入金については返済する必要がありました。
上記のとおり平成22年に武富士は会社更生手続きを行っているため,当然ながらそれ以降に新たな貸し付けはされておりません。とすると,会社更生時点で武富士に対して借り入れが残っていた方については,現時点ですでに8年も経っていますのですでに完済している方がほとんどかと思います。
弁護士法人等からの督促状
上記のとおり,多くの方が完済していると思われますが,平成30年の現在になっても武富士を承継した日本保証から督促状が届く方がいらっしゃいます。しかも,日本保証からではなく代理人である弁護士法人(弁護士法人引田法律事務所)や日本保証のNH事務センターから届きます。一般的に,弁護士さんから書類が届くと驚いてしまいますし,法的手続を執る旨の記載があったりますので,督促状に記載された金額を支払ってしまうケースもあります。
武富士が会社更生を行ってからすでに8年が経過していますので,その大部分の債権は消滅時効が完成していると思われます(最終の約定返済日から5年が経過していれば時効が完成します。)。もっとも,武富士時代に貸金請求の裁判や支払督促などを受けている場合にはその手続の確定のときから10年に時効期間が伸びますので,極々稀に時効が完成していない方もいらっしゃいます。
したがいまして,日本保証の代理人弁護士法人や事務センターから督促状が届いたときには,まずは当該弁護士法人等に対して取引履歴及び裁判等の支払手続きを行っていたかどうかの確認をしてください。多くのケースで時効が完成しているかと思われますので,その後,時効を援用する内容証明郵便を送付していただければ解決となります。
下記のケースでは,最終の約定返済日が平成13年の日付となっており,かつ,裁判等を起こされてもいませんでしたので,消滅時効の援用通知を送付して終了となりました。
したがって,
例え,弁護士さんからの督促状だったとしても払う必要がないものがある!
ということになります。法律の専門家であう弁護士さんから督促状が届けば払わなければならないような気がしてしまいますが,実際には払わなくて良いこともありますので安易に支払わないようにしてください。
ただし,万が一判決等を取られており時効が完成していない場合は,分割で支払う交渉を行う必要があります。すでに判決など取られている場合,相手は弁護士法人ですので,脅しではなく本当に差し押さえなどを行ってくる可能性があります。無視をしていても解決する可能性は高く無いため,もしお手元に上記のような書類が届きましたら,お近くの弁護士や司法書士にご相談ください。
最後に,上記一連の手続については,当事務所でも行うことが可能です。この場合,通常の任意整理と同じ手続となりますので,時効の完成に関係なく,当事務所の報酬は3万円(+消費税)と内容証明郵便等の郵送料実費(2000円程度)となります。
6月
29
2016
先日,旧武富士より最終弁済がなされる旨発表されました。
→最終弁済のお知らせ(PDF)
→最終弁済に関するQ&A(PDF)
内容としては,過払金の約1%の金額を弁済し,かつ,これをもってすべて終了とのことです。
詳細は上記のPDFをご覧いただければと思いますが,特に大事な点について記載したいと思います。
・今後の弁済はあるのか→最終弁済となり,今後の弁済はありません。
・残りはどうなるのか→弁済金以外は免除となってしまい,請求できません。
・最終弁済はいつか→平成28年9月頃を予定している。
・管財人に対して口座の届出を行っていない場合はどうなるのか→平成28年9月30日までに届出がない場合は法務局に供託されます。
・供託されるとどうなるのか→書面が送られてきますので,その書類をお持ちのうえ法務局で供託金払渡請求手続をすることで返金されます。
→供託金払い渡し請求はどうしたらよいか(広島法務局)
・亡くなっている場合はどうなるのか→相続の手続が必要となるため,戸籍謄本等を集めたうえで管財人に連絡してください。
なお,当事務所に対して武富士に関するご依頼をされていた方については,個別に連絡させていただきますので今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。
12月
04
2012
何度か当事務所のブログでも触れている,武富士の創業者への訴訟についてですが,先日記事にしたとおり,横浜地裁では一部勝訴判決が出されていました。
→ブログ記事
その控訴審について,先日東京高裁で判決があったんですが,借主側の全面敗訴になったとのことです。
→記事
判決文を見ていないため,正直なところまったく内容がわからないのですが,記事によれば,「武富士が全ての顧客について計算し直すのは現実的ではない」というのが理由のひとつになるようです。
しかしながら,武富士を含めた貸金業者の大部分はすべての取引についてパソコンで記録しており,正しい利息に計算し直すのは大した手間では無いと思います。実際に,武富士が破綻した後,何十万人もの人に対して取引履歴が送付されましたが,すべて正しい利息で計算し直したものです。
破綻した後の武富士が再計算できるのに破綻する前の武富士だと再計算できないとはまったくもって意味不明です。
ただ,上記のとおり,実際に判決全文を見ていないため,これ以外にも借主の請求が認められなかった理由があるんだろうと思います。
また,判決全文が公開された際には,この記事を更新したいと思います。
7月
20
2012
武富士に対する過払金は,会社更生法の適用により,更生計画(3.3%+α)に従った弁済を受ける以外に回収する手段はありません。
しかし,過払金としてではなく,このような事態に陥ったことにより損害を被ったとして,武富士の旧経営陣に対する損害賠償請求(多くの訴訟では会社法429条や民法709条に基づく請求だと思います)の訴訟が全国各地で行われています。当事務所でも過去に何度かブログで触れており,当事務所の依頼者の内,何名かは参加をされています。
→当時のブログ記事
さて,この訴訟の内,横浜地裁で行われていた分の判決があり,何と(一部)勝訴したそうです。
→記事
→判決全文(PDF,8月7日追記)
上記判決は,不法行為に基づく損害賠償を認めたとのことです。
※ただし,上記横浜判決は全国会議で取り扱った裁判ではないそうです。
→全国会議のブログ記事
おそらく旧経営陣側は即控訴しておりますので,解決まではもうしばらくかかると思いますが,最初の結論で勝訴判決が出たというのは,今後にも良い影響を及ぼしそうですね。
なお,今からでも訴訟に参加されたいという方は,直接「武富士責任追及全国会議」へお問い合わせください。
6月
26
2012
今年の1月に武富士より,会社更生計画による第1回目の弁済がなされました。
→当時の記事
上記記事にも記載しておりますが,武富士の更生計画によれば,第2回目の弁済もされるようなことが書かれています。
→更生計画に関するQ&A(PDF)
この第2回目の弁済原資は,国に対する法人税の還付請求や旧役員に対する損害賠償請求によって得られたお金になります。
これらの訴訟については下記の通り進行しているそうですが,訴訟の終了まで概ね3年程度かかるそうです。
→第2回弁済についての訴訟進行状況(PDF)
この内容をざっくり記載すると下記の通りとなります。
①国に対する法人税の還付請求→約2374億円
まだ提起したばかりで訴訟は進行していないそうです。
→訴訟提起に関するプレスリリース(PDF)
②創業家等に対する株主配当返還請求→約130億円
すでに4回期日を開いているそうですが,全面的に争い,解決の目途は立っていないとのことです。
→訴訟提起に関するプレスリリース(PDF)
③旧役員に対する損害賠償請求→約23億円
すでに4回期日を開いているそうですが,全面的に争い,解決の目途は立っていないとのことです。
→訴訟提起に関するプレスリリース(PDF)
④証券会社に対する損害賠償請求→約291億円
すでに7回期日を開いているそうですが,全面的に争い,解決の目途は立っていないとのことです。
仮にすべて勝訴したとしても,相手方は当然,控訴・上告としてくると思われることから,3年どころか5年くらいかかってもおかしくないのではないかと思います。
なお,仮にすべて勝訴して確定した場合,18%程度が返還される見込みとなります。
ただ,上記訴訟については,勝てる見込みは高くないため,「第2回弁済はあるか?」と聞かれれば,「可能性としてはあるだろうけど,決して高くはない」と思います。したがって,過度な期待はされない方が良いかと思われます・・・。
今後も武富士について新しい情報がありましたが,随時記載していく予定です。
1月
16
2012
本日付で武富士の管財人より3.3パーセントの弁済金が振り込まれました。
こちらを各依頼者の口座宛に順次送金させていただきますので,遅くとも今週末までには各依頼者のお手元に届くと思います。
なお,武富士の更生計画案によれば,旧役員等から返還があった場合には追加で返還されることとなっておりますが,この可能性は極めて低いと思いますので,あまり期待されない方が良いかと思います。
ということで,とりあえずこれにて武富士の会社更生手続は終了となります。また,何らかの続報がありましたら,当ブログにてご報告いたします。
1月
04
2012
武富士についての続報です。
以前,A&Pという会社が買収資金を用意できず場合によっては破産に移行するかもしれないという内容の記事を書きましたが,破産ではなく新たなスポンサーが決まったとのことです。
→武富士からのプレスリリース(PDF)
→記事
上記発表の中にあるJトラストは,大元をたどればネオライングループであり,他の候補(東京スター銀行等)と比べると「残念」の一言かと思います。もっとも,報道によれば弁済率は変わらないとのことですので,過払債権者の方々にとっては返還時期が少し遅れはしましたが,それ以外には特に問題はないと思います。
また,残債がある方については,Jトラストのこれまでの交渉状況を考えると,一括弁済以外には応じない強硬な姿勢で来ると思いますが,破綻後の武富士も同様の対応でしたので,この点についてもあまり大きな差はないと思います。
しかし,武富士については本当に手続の流れが不透明すぎて,本当にこんな会社を存続させても良いのかと疑問を持たざるを得ませんね。まぁ,決まったものは仕方がないので,今度はしっかり返還してもらえることを願っています。
12月
01
2011
武富士のスポンサーである,韓国の消費者金融であるA&Pが武富士の買収資金を支払ってこなかったということで,買収(会社分割)が延期されたとのことです。
→記事
すんごいざっくり説明すると,
①武富士を新旧の2つの会社に分割する。
↓
②旧会社は資産を売却して得た資金やA&Pの資金を原資として過払い債権者等に3.3%の割合で配当する業務を行います。
↓
③新会社は,「武富士」を引き継いで消費者金融業を行っていく。
↓
④ところがA&Pが約280億円の買収資金を武富士に振り込まなかった。
↓
⑤なので,会社分割も出来ない ←いまここ
↓
⑥現時点では年末まで延期することについて東京地裁が認めたものの,A&Pは韓国で違法金利の貸付を行っていたことが発覚し,行政処分等を受ける可能性があるため,本当に年末までに資金が振り込まれるかどうかわからない。
→武富士のプレスリリース(PDF)
↓
⑦このまま買収資金が振り込まれなければ新しいスポンサーを探すことになるが,当然ながら現時点では未定。
↓
⑧スポンサーが見つからなければ最終的には破産
ということになります。
ずーーーっと前から言われていますが,武富士の会社更生の申立をした弁護士(申立代理人弁護士)と武富士と債権者の間に入る管財人たる弁護士が同じ人です。
そりゃ,武富士から数千万円もの報酬をもらって申立を行っている弁護士と管財人が同一人物であれば,その管財人は中立な立場にあるとは到底思えませんよね。
でも,東京地裁はそれを無視して進めていきました。そしたら,こんな事態ですよ。
もし,このままA&Pが撤退した場合,上記の通り再度スポンサー探しから始まるわけですから,更生計画案も作り直しとなりますので,当然費用が余分にかかります。余分に費用がかかるのであれば,当然支払われる原資も少なくなり,ただでさえ少ない3.3%という割合がさらに低くなると思われます。
ここまでくると,いっそ破産させた方が良いと思いますけどねぇ。
11月
01
2011
武富士の更生計画案が賛成多数で可決されました。
→認可決定について(PDF)
ちなみに,約85パーセント,過払い債権に限れば約88%という圧倒的多数で可決されております。やはり,早く終わらせて早めに返還してほしいという方が多かったのでしょうか。いずれにしても認可決定が出てしまいましたので,重大な法律違反等が無い限りこのまま更生計画案の内容に沿って手続は進んでいくこととなります。
このうち,過払金については,12月中旬より過払金額の3.3%が順次返還されることとなります。なお,投票に際して反対されていても,また,賛否についの投票用紙を武富士へ送付していなくてもその前の債権届けさえしていれば3.3%は返還されることとなります。ただし,弁済金は弁済指定口座に返還されますので,もし届出をしていない方は「弁済受領口座指定書」を至急武富士へ送付してください。
なお,当事務所の依頼者に関してはすべて弁済受領口座指定書を提出しておりますので,別途ご自身で届出をされる必要はありません。
武富士が破綻して1年以上経過しましたが,やっと手続が終わりそうです。もっとも,あまり良くない結果で。
今後懸念されるのは,大手業者の法的手続による過払い逃れに拍車がかかるのでは,ということです。弁済率は,今回の武富士は3.3パーセント,まだ認可されていませんが丸和商事は1パーセント台です。正直に過払金を返還していくくらいなら,いっそ倒産させてキレイにしてから再起を図るという業者が出てくるかもしれません。とすると,やはりとるべき手段はいかに早く回収するかにかかっていると思います。
もっとも,大手業者の多くが銀行傘下であるため,実質早めに進めた方が良いのは1社だけという感じがしますが・・・。
10月
28
2011
武富士の更生計画案への賛否についての投票期間が終了となりました。
→プレスリリース(PDF)
これまで,武富士側は管財人事務所から賛成票の投票依頼,また弁護士会が管財人に対して異例の批判をしたり,また弁護団が破産させた方が返還率が高くなると指摘するなど,様々な戦いがありましたが,あとは,武富士からの発表を待つばかりです。
ちなみに,当事務所の結果は,
人数の割合 反対89% 賛成11%
債権額割合 反対92% 賛成8%
という結果でした。
①大多数の方が反対,②賛成された方は比較的債権額が少なかった,という感じです。
さて,この事務所の結果が,全国的な平均なのか,それとも・・・。