はなみずき司法書士事務所
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5月 08 2013

上訴された際の担保に関する最高裁判決

昨日,愛知県司法書士会で相談員をやっていたんですが,相談の合間に最高裁のHPを見たら,10日ほど前にかなり大事な最高裁判決が出てました。 

 

ただ,これを解説するのはかなり難しく,正直なところ私自身も完璧に理解しているとは思えませんが,備忘録として書いてみたいと思います。 

 

 

さて,金銭等の請求に際して,第1審で勝訴したとします。その場合,多くのケースで「仮執行宣言」というものが付されることがあります。
この仮執行宣言というのは,「判決が確定する前でも強制執行してもいいよ」というものです。というのは,判決が出たとしても,控訴や上告によって結論がひっくり返るかも知れませんので,判決に基づく強制執行は勝訴が確定して初めてできることとなっています。ただ,日本の裁判は終わるのに何年もかかることが多いため,事件の内容によっては,勝訴判決が出た場合に確定する前でも「」に強制「執行」をしてもいいよ,という「宣言」を裁判所がしてくれることがあるわけですね。
当事務所でも,判決によってすぐに返してもらえる業者は別として,多くの業者について判決が出たら即強制執行に着手しています。 

 

一方,敗訴した側としては,仮にでも強制執行されると甚大な被害を被ることがあります。例えば,会社が日ごろ使っている預金口座等を差し押さえられたら日常業務に影響が出まくることは想像に難くありません。 
そこで,申し立てにより,敗訴した側が一定程度の担保を入れることを条件に強制執行を停止させることができます。この担保というのは金銭を法務局に預けることによって行います。また,金額も裁判所の裁量であり明確な基準は無いと思われますが,私の感覚としては,判決で認められた金額の8~9割程度の担保を積ませているようです。 

 

 

 

やっと,本題に入ります。
今回の最高裁判決は,上記担保の扱いです。
具体的な内容としては,武富士に対して過払い請求をして勝訴したものの,武富士は控訴してきました。ただ,第1審で仮執行宣言が付いていたため,武富士は判決で認められた金額の8割程度の担保を法務局に支払い,強制執行の停止決定がされました。

ところが,ご存じのとおりその後に武富士は会社更生の申立てを行い倒産しましたので,過払金は3.3%しか返還されておりません。

 

そこで,問題になるのがこの担保はどうなるのか,ということです。というのは,この担保の性質は,過払金が返還されないときの担保ではなく,控訴等によって被った損害賠償を担保するものと解されているため,安易に過払い債権者がもらえるという結論にはなりません。 では,どうなるのか,というのが下記最高裁判決です。

 

最高裁サイト
判決全文(PDF)

 

 

正直なところ,かなり難しい・・・。ただ,これを超ざっくり記載すると下記のような感じです。

 

「担保を入れてもらった過払い債権者(損害賠償請求権者)は,担保金から他の債権者よりも優先して回収することができる権利がある。ただ,この債権は更生担保権という権利ではなく更生債権に過ぎない。そうすると,本来はやっぱり回収できないことになるんだけど,担保を入れさせたのは,回収できないというリスクを軽減するためのものなんだから,会社更生によって回収できないと解するのは問題がある。なので,更生計画(武富士だと3.3%しか返さない)というのとは無関係に供託されている担保金を請求できる。もっとも,供託された担保金を回収するためには,会社更生の管財人を被告として,担保金を回収できる権利があることを確認する判決を取らなければならないよ。」

 

う~ん。難しい・・・。 

 

 

なお,当事務所では,武富士の会社更生をした翌日に判決という事件はありましたが,担保を入れて控訴されている事件はありませんでしたので,この判決を使う事件はありません。 

 

とはいえ,さらに確認訴訟をしなければならないとのことですので,やはり回収までのハードルは高そうですね。

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