3月 04 2009
超珍しい「付審判決定」
今日の記事は私の業務とは一切関係ありませんが,裁判員制度も始まることですし,かなり珍しいので書いてみたいと思います。
さて,昨日も民主党の小沢代表の秘書が逮捕されるなど,全国各地でいろんな人が毎日逮捕されていると思います。そして,報道ではさも犯罪者のような報道がされることがあります。
しかし,ほとんどの方がご存知だと思いますが,「逮捕=犯罪者」ではありません。
犯罪者となるためには,
捜査→(逮捕)→(勾留)→起訴→公判(裁判)→有罪判決→確定
という経路をたどったときに初めて犯罪者となります。
「逮捕」というのは,被疑者(いわゆる「容疑者」)に逃亡もしくは証拠隠滅のおそれがある場合に行うものなので,逃亡もしくは証拠隠滅のおそれがなければ逮捕されないこともあります(勾留というのは,逮捕の長時間バージョンです)。ですので,括弧をつけてます
次に,起訴というのがあります。これは検察官が被疑者を有罪にするための裁判をすることを裁判所へ請求するものです。そして,この起訴をする権限は原則として検察官にしかない(起訴独占主義)ので,起訴をされるかどうかというのは被疑者にとって大きな意味を持ちます。なぜなら,起訴がなければその後の公判も始まりませんので,有罪になることはありえないからです。
では,犯罪を犯しながら,どうような場合に起訴されないのかというと,例えば,今までまったく前科がないような人が,本当に魔がさして万引きをして逮捕されたとします。その人はお店にも全額弁償して示談が成立し,さらには勤めていた会社も解雇されたとします。とすると,弁償によって民事的には解決してますし,会社を解雇されるという社会的責任も取らされています。それに加えて,刑務所に行くという刑事的責任まで負わせてしまうと,もしかしたらその人は一生立ち直れないかもしれませんし,むしろすぐに一般社会に返すことの方が反省を促す効果があるかもしれません。そのような事情を一切考慮し,検察官の裁量で起訴をしないという選択をすることができます(起訴便宜主義)。一言で言うと,検察官は起訴をするか否かの権限をもって柔軟な対応が可能だということです。
繰り替えしますが,起訴をするかどうかは検察官の権限です。ありえない話しですが,机上の空論だと,殺人犯が検察官にワイロを渡して起訴をされなければ,どんなに証拠があっても公判が始まらない以上,有罪になることはありません。
ところが,ワイロなんかはありえない話しだとしても,同僚の検察官の犯罪やもっと広い意味で,公務員の犯罪だと,検察官も人の子ですので,心情的に手心を加えてしまうかもしれません。また,手心を加えていなくても,公務員の犯罪を不起訴とかにしてしまうと,客観的には何らかの癒着があるのではないかと見られかねません。
そこで,公務員の犯罪(職権濫用的な犯罪に限る)について,検察官が不起訴にした場合,告訴や告発をした者は直接裁判所に対して公判を開くように請求することができます。これを付審判請求と言います。
しかし,この付審判請求はなかなか認められません。記事によると20年間で5000件も付審判請求がされているのに,これまで4件しか認められていないそうです。そんな珍しい付審判請求が認められたという記事がありました。
→記事
ところで,裁判所が付審判請求を認めたってことは,ある意味有罪を認めたということなのかと思ってしまうのですが,4件のうちの4件目は,なんと無罪だったそうです。
今後,裁判員に選ばれた場合,このような先入観無しで有罪無罪の判断及び有罪の場合の量刑について判断しなければならないので,選ばれた方は本当に大変だと思います。
以上,まったく業務とは関係ない話しでした。たまにはこういう法律雑学のようなものはいかがでしょう?
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