1月 25 2013
長崎県が裁判所に怒られる
借金が返せなくなり,自己破産をした場合,免責許可が得られれば借金は返済しなくてもよくなります。
ただ,法的には,借金が無くなったのではなく,「免責」とあるとおり,借金は存在するけど支払う「責」任が「免」除されただけという中途半端な状況にあります。
このような状況の借金を,貸主側から見た場合に「自然債務」と呼び,借金は存在するけど請求することはできません。もちろん,訴訟等で請求しても敗訴します。
→自然債務とは
じゃー,借金が無くなるのと,借金は残っているけど支払う責任は免除するというのと何が違うのか。これは,債務者が自発的に支払った場合は有効ということです。
借金が無いのに支払った場合は,これは間違って払っているのでやっぱり返してと言うことができます。一方,自然債務の場合は,強制的には借金の支払いを求められることはないけど,自発的に支払う分には構わないので,自己破産をした後に,借金の返済をした場合これは有効なものとなりますので,やっぱり返してと言っても返してもらうことができません。
さて,件名の話ですが,長崎県で,県営住宅の家賃を滞納をした方が自己破産をして免責許可もでました。当然,県営住宅の家賃も免責されています。しかしながら,なんと長崎県はすでに自然債務となっている滞納家賃について,公正証書(ざっくり言うと裁判所の判決と同じもの)を作成し,破産後にも関わらず支払わせていたというものです。
→ニュース(※リンク切れのため「平成25年1月19日,読売新聞社会面」を以下青字にて引用します。)
長崎県が、自己破産して免責決定を受けた男性に、公正証書を作成して県営住宅の家賃の滞納分を 支払わせていたことがわかった。県は男性の連帯保証人を相手取り、残りの滞納分の支払いを求める訴訟を諫早簡裁に起こしたが、簡裁は「債権回収に対する考え方、方法が極めて不適切」などとして
訴えを退けた。
公正証書は、裁判の判決がなくても、債権の差し押さえなどができる効力がある。一方、自己破産して裁判所の免責決定を受けた人は、債務が免除される。
県住宅課によると、男性は1978~2002年に県営住宅に入居。00年頃から家賃の支払いが滞り、 一時は約120万円を滞納した。長崎地裁大村支部に自己破産を申し立て、免責が確定したが、県は03年1月、「家賃を支払えなければ差し押さえがある」とする公正証書を男性と作成。男性は11年9月まで24回にわたり、計約38万円を支払った。
県は昨年2月、残りの約80万円の支払いを求めて提訴。「男性は支払う意思があった」などと主張した。 これに対し、簡裁は同12月18日の判決で、「公正証書を作ったうえでの弁済は任意とはいえない」と指摘し、県の主張を「いわゆる闇金業者でもしないような強弁」として退けた。判決は今月4日に確定した。
同課は「公正証書は、滞納者に関する当時のマニュアルに従って担当者が作ったようだが、もっと慎重に対応すべきだった」としている。
破産して免責を受けた借金について,消費者金融ですら返せと言ってこないのに,長崎県は公正証書まで作って返済を強制したというのは何とも恐ろしい話です。
裁判所も呆れて,判決で「いわゆる闇金業者でもしないような強弁」と言い放ち,長崎県の対応はヤミ金以上にひどいものだと言っています。
一般の方からすれば,長崎県のような役所が言うことが間違っているわけないと思うに決まってますので,自己破産をされた方も払ってしまったのでしょう。
なかなか無いとは思いますが,もし,自己破産をしたにも関わらず支払いを求められるようなことがあれば,お近くの弁護士や司法書士にご相談いただければと思います。
長崎県が裁判所に怒られる はコメントを受け付けていません


