8月
18
2012
お盆明けに事務所に来てみたら,同じ色の大量の封筒が届いておりました。中を確認すると,アエルから追加弁済があるとのお知らせでした。
そもそも,アエルは一度会社更生法の申請をして破綻し,その後再度民事再生をして破綻するという残念な会社なんですが,何とか今も存続しており,過払金を請求すると民事再生によって減額された5%については何ら問題なく返還してくれます。
さて,そのアエルが民事再生を行った際に,再生計画案が確定した2009年の3年後,つまり今年の時点で再度資産状況を検討し,追加の弁済があれば行う,というように規定されていました。
私としては,そんなものはまったく期待できないと思っていたのですが,なんと追加の弁済があるそうです。その額(率)は,1.812%です。つまり,本来であれば100万円の過払金があった場合は,18120円が返還されることになります。
また,アエルは民事再生の際に債権届け出をしていなくても返還されますので,これから初めて請求する方は従前の5%を加えた6.812%が返還されることとなります。
なお,現時点でも未だ請求していない過払金が時効なる2018年3月以降に,再度見直しを行い,追加の弁済を行うそうです。
しかし,もともとアエルという会社自体到底まともとは思えない経営をしており,さらに現在は裁判所の監督を受けておりませんので,果たして2018年に再度の追加弁済があるかというとこれは今回以上に微妙だと思います・・・。
8月
08
2012
当事務所において,下記期間についてはお休みをいただく予定となっております。
8月10日(金)18時まで 通常営業
8月11日(土)~8月15日(水) お盆休み
8月16日(木)9時から 通常営業
したがいまして,大変ご迷惑をお掛けいたしますが,10日の18時以降にいただいたメールについては,16日の9時以降に順次回答させていただきます。
以上,お盆休みのお知らせでした。
8月
03
2012
通常,消費者金融から借入をする際,借入当初は10万円~30万円程度であり,取引を継続していくと,それが50万円,100万円,200万円というように限度額が増額していくと思います。
多くのケースでこれくらいの金額では担保を求められることはほとんどないと思いますが,収入等の理由から150万円程度で担保を求められるケースもあるかと思います。
そして,さらに増額して500万円とか1000万円とかになるとさすがに無担保での借入れは難しく,借入の条件として保証人や不動産の担保を入れるよう求められることが多いと思います。
このように,最初から担保付きでの借入ではなく,最初は無担保でのカードローンを繰り返していたものの,業者の勧誘なり限度額の増額なりで,不動産担保に切り替えるというケースがあると思います。
このような切替えの場合,無担保の残債を不動産担保の借入分で完済し,以降は,不動産担保の借入分を毎月返済していくことになります。
具体的な金額を挙げると,
無担保で50万円借入をしており,限度額を200万円に上げるために不動産担保ローンに契約を切り替えるととすると,不動産担保の借入の200万円から無担保の50万円を完済する処理を業者の方で行い,実際に手にすることができるのは差額の150万円になります(諸費用は除く)。
以上を借主の立場で考えると,確かに契約形態は無担保ローンから不動産担保ローンというようにまったく異なる契約形態になりますが,実質的には50万円の借入から150万円を追加で借り入れて200万円になったという単なる「借り増し」に過ぎません。
ですので,過払金の計算をする際も,無担保カードローンの分と不動産担保ローンの分を一連のものとして計算をします(一連で計算をした方が過払い額が多くなりますし,消滅時効の問題もクリアできるケースが出てきます)。
そして,最高裁も「単なる借り増しや契約の切替に過ぎないような場合には,一連で計算すべき」としています。
→最高裁サイト
一方,業者としては,無担保カードローンと不動産担保ローンはまったく別の取引であるから,一連計算すべきではない,という主張をしてきます。
特にA社に至っては,「無担保カードローンを契約中の顧客が大口の資金ニーズを抱えた場合,無担保カードローンとは別個に不動産担保ローンを申込み,いったん自己資金で無担保カードローンを完済したうえで不動産担保ローンの融資を受ける。過剰融資の観点から2つの契約が一瞬でも併存することはあり得ない。」とまったく事実と反する虚偽の主張までしてきます。
→追加の融資を受けるくらいなので,無担保カードローンの残債を自己資金で一括で完済できる人などほとんどいません。実際に,当事務所の依頼者に自己資金で完済した人はいません。このA社の主張は完璧に虚偽です。
まぁ,A社の主張はさておき,現実問題として無担保カードローンから不動産担保ローンの切替事案で一連か分断か,というのは全国各地で争いになっております。
名古屋消費者信用問題研究会のHPには,同種の事案において借主側の主張が認められている裁判例がいくつかあがっていますが,逆に業者の主張が認められている裁判例もいくつもあります。
そんな問題に終止符を打つべく,現在,CFJが貸主の事案が最高裁に係属しております。
こちらは,高裁の時点では借主側が勝訴したものでしたが,最高裁が弁論を開いているので,状況としてはあまり良くありません(最高裁は,高裁と結論が変わらないものについては,通常は書面だけの審査で判決しますが,口頭弁論を開いたということは高裁の判断を覆す可能性が高いことを意味します)。
この判決は,今年の9月11日に予定されており,かなり影響力のある判決になると思います。なお,当事務所でもまったく同じ争点の事案が簡裁と地裁に係属しているのでこの判断を見てから準備書面を作成したかったのですが,ともに8月に期日が入っているため,ちょっと厳しそうです・・・。