はなみずき司法書士事務所
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2011年12月

12月 28 2011

年末年始の業務について

本日12/28をもって当事務所の年内の業務は終了となります。今年1年皆様ありがとうございました。 

 

毎年書いているような気がしますが,1年間で唯一心が休まるのが年末です。GWは連休明けの訴訟等の事が気になって休んだ気になりませんし,お盆も同じです。ところが12/28以降の年内は仕事がありませんので,心底休みを楽しめます。もっともあくまで楽しめるのは「年末」だけであって「年始」は結局休み明けの仕事が気になって全然休めません・・・。これは私の性格の問題なのでしょうか職業病なのでしょうか。 

 

まぁ,そんな私の気持ちなんかはさておき,当事務所の年末年始は下記の通りとなっております。 

 

12/28 18時まで 通常通り

12/29~1/3まで年末年始のお休み

1/4 9時より 通常通り 

 

となります。 

 

それでは皆様,風邪などひかぬよう楽しい年末年始をお過ごしください。

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12月 13 2011

いかに回収するか

先日,フロックスの記事でも書きましたが,現在は判決を取っても素直に支払ってくる業者は少ないため,強制執行をして回収を図ることが多々あります。 

 

そもそも判決(勝訴判決)というものは,その判決書をどこかの銀行に持っていけば現金に換えてもらえるものではなく,単に「(法の手続に乗せた上で)強制的に取り立ててもいいよ」というお墨付きを国からもらうに過ぎません。したがって,何年もかけてやっとのことで勝訴判決を取ったとしても,相手にお金がなければ,いくら強制的に回収しようにも無い袖は振れませんのでその判決書は単なる紙切れにしかならないこととなります。
もっとも,破産等をしていない限り,まったくお金がないという個人や会社はなかなかいません。個人であれば毎月入ってくる給料を押さえることで回収することができますし,会社であれば,今はなくても将来入金されるであろう口座をタイミング良く押さえることで回収することだってできます。

ただ,いつ入金があるのかわからないため,この「タイミング良く」というのがなかなかうまくいきません・・・。 

 

また,支払いをしない業者は多くの人に払っていないため,差押えが競合することがあり,口座にお金が入っていてもほとんど回収できないことが往々にしてあります。
例えば,10万円の債権を持っていて,業者の口座を押さえたところ,20万円が入っていたとします。他に差し押さえた人がいなければ全額回収できます。ところが,別の人も同じ口座を押さえており,しかもその人の債権額が1000万円だったとします。この場合,口座に入っている20万円を10対1000の割合で均等に分けることになるため,実際には2000円程度しかもらえません。強制執行の費用だけで1万円程度の実費がかかるため,完全に赤字です
こうなるともうお手上げです。回収する術がありません。もちろん,強制執行は一度限りではないため,何度も強制執行をすれば回収できるかもしれませんが,時が経つにつれて競合する人がどんどん増えていきますので,なかなかうまくいきません。 

 

ですので,このような場合には,残念ですが低い割合で和解をするということも検討しなければなりません。 

 

随分前の話ですが,アエルという会社があり,今は民事再生をして一律5%しか返還されないこととなっております。このアエルに対して110万円程度の判決を取得しましたが,アエルの状況が悪くなりそうだったので,アエルが倒産する少し前に依頼者の同意を得て100万円で和解し返還してもらったことがあります。
もし,和解していなければ5%まで減額されているので5万円程度しか返還されませんでしたので,和解は大正解でした。
同様に,先日倒産した武富士についても昨年の夏頃に判決を取ったものの8割程度まで減額し,9月上旬に返還してもらったケースがありました。武富士はその後9月下旬に倒産していますので,もし,2週間遅れていたら3.3%まで減額されていたことになります。 

 

 

今は多くの業者が倒産の危機に瀕しており,特にネオライン系列の業者は今後どのようになるのかさっぱりわかりません。ですので,せっかく判決まで取ったのに減額するのは納得できないというのは,完全に仰るとおりですし,私も腹が立って仕方がありませんが,万が一倒産したときのことを考えると,回収のためにはやむを得ず和解をするという選択肢もあるものと思っています。 

 

 

ただ,この見極めが大変なんですけどね・・・。

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12月 02 2011

17条書面と特段の事情についての最高裁判決

12/1に悪意の受益者に関する最高裁判決がありました。

最高裁サイト
判決全文(PDF) 

 

以下,ざっくりですが,この判例について記載します。 

 

————前提情報———————-

①みなし弁済

契約書の作成や交付,領収書の作成や交付など,消費者金融が法律に規定されている厳しい条件をすべて満たした場合に限り,高金利を取ってもいいよ,という規定。今は改正で無くなりました。

②悪意の受益者

悪意の受益者というのは,上記のみなし弁済の適用が無いと知りながら借主からの返済を受領し,過払いとなっている場合には,その過払金について返還するのみならず,利息を付けて返還しなさい,というものです。

そして,この悪意の受益者であることの立証責任,つまり,「消費者金融等がみなし弁済の適用が無いことを知っていた」ということを借主側が立証しなければならないのが原則です。
ところが,平成19年に最高裁は「業者側がみなし弁済の適用があると信じてもしょうがない,というような例外的な事情が無い限り(特段の事情),消費者金融等は知っていたでしょ」として,業者側が,その例外的な事情の存在を立証しないかぎり,みなし弁済の適用がないことを知っていた,すなわち,悪意の受益者として利息を支払う義務がある,と判示しました。
———-ここまでが前提————— 

 

で,今回の訴訟で何が問題になっているかというと,業者側は,「平成17年に最高裁がみなし弁済の条件の一つである借主と契約する際に交付する契約書の内容について厳しい判決を出す前は,その契約書の内容でもいいよ,という裁判例や学説,行政の取扱いがあったのだから,少なくとも平成17年まではみなし弁済の適用があると信じてもしょうがないという事情があり,悪意の受益者ではない,というものです。そして,原審の東京高裁は業者の主張を認めて,悪意の受益者では無いと判示しました。

その上告審が今回の最高裁判決です。 

 

すんごいざっくり言うと, 

 

確かに,そのような内容の契約書でもいいよ,という裁判例や学説等があったのは事実だけども,そのような見解が多数を占めていたとは言えないし,そのような見解が貸金業法の立法関係者によって明確に示されていたものでもないんだから,消費者金融等が信じてもしょうがないよね,という事情ということはできない。だから,悪意の受益者だよね。 

 

というものです。 

 

もっとも,このピンポイントの論点で争われることは多くないため,どこまで影響があるかはわかりません。むしろ,例外的な事情の存在につき,一般的立証(個々の契約書ではなく,会社全体としてそういう体制をとっていた)で足りるという点の方が大きな論点かと思います。
いずれの結論になったとしても最高裁がビシッと判示してくれると助かるんですけどね。

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12月 01 2011

武富士がやっぱり破産するかも

武富士のスポンサーである,韓国の消費者金融であるA&Pが武富士の買収資金を支払ってこなかったということで,買収(会社分割)が延期されたとのことです。
記事 

 

すんごいざっくり説明すると, 

 

武富士を新旧の2つの会社に分割する。

旧会社は資産を売却して得た資金やA&Pの資金を原資として過払い債権者等に3.3%の割合で配当する業務を行います。

新会社は,「武富士」を引き継いで消費者金融業を行っていく

ところがA&Pが約280億円の買収資金を武富士に振り込まなかった

なので,会社分割も出来ない  ←いまここ

現時点では年末まで延期することについて東京地裁が認めたものの,A&Pは韓国で違法金利の貸付を行っていたことが発覚し,行政処分等を受ける可能性があるため,本当に年末までに資金が振り込まれるかどうかわからない
武富士のプレスリリース(PDF)

このまま買収資金が振り込まれなければ新しいスポンサーを探すことになるが,当然ながら現時点では未定。

スポンサーが見つからなければ最終的には破産

ということになります。 

 

ずーーーっと前から言われていますが,武富士の会社更生の申立をした弁護士(申立代理人弁護士)と武富士と債権者の間に入る管財人たる弁護士が同じ人です。
そりゃ,武富士から数千万円もの報酬をもらって申立を行っている弁護士と管財人が同一人物であれば,その管財人は中立な立場にあるとは到底思えませんよね。
でも,東京地裁はそれを無視して進めていきました。そしたら,こんな事態ですよ。 

 

もし,このままA&Pが撤退した場合,上記の通り再度スポンサー探しから始まるわけですから,更生計画案も作り直しとなりますので,当然費用が余分にかかります。余分に費用がかかるのであれば,当然支払われる原資も少なくなり,ただでさえ少ない3.3%という割合がさらに低くなると思われます。 

 

ここまでくると,いっそ破産させた方が良いと思いますけどねぇ。

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