1月
31
2012
以前も書きましたが,ネオライングループは犯罪ではないものの,民事的にはなかなか際どいことをやってくる会社です。
分かり易く言えば,業績の悪い貸金業者をタダ同然の値段で買取り,過払いは基本的には無視するか極めて少額の返還,借入が残る場合は訴訟をしてでも利息まで付けてきっちり全額回収,という会社です。
もうちょっと具体的な数字を挙げると,
貸付金額100億円
過払い債務300億円
という消費者金融があったとします。貸付金が100億円に対し,過払金としてお客さんに返さなければならないお金が300億円ですから200億円の債務超過の業者であり,いつ破産してもおかしくありません。
そのような業者をネオラインは買い取ります。そして,貸付金については,ガンガン訴訟等をし,例えば80億円を回収し,過払い債務は基本的には,判決でも無視,和解は5%とかなので,300億円のうち多めに見ても30億円程度しか返還していないと思います。そうすると,債務超過だったはずなのに80億円から30億円を差し引き,50億円が儲かる事になります。
旧社名で言えば,リッチ(クラヴィス),ワイド(アペンタクル),トライト(ヴァラモス)等,多くの業者がこのような感じになっており,正直なところ,ネオライングループに譲渡されると,過払金は回収できたらラッキーだと思ってください,という感じになっています。
そんなネオライングループが本日のプレスリリースで,さらに上記の会社を第三者に譲渡したそうです。
→プレスリリース(PDF)
あくまで一般論ですが,こういった会社が全株式を譲渡する場合,誰に譲渡したのかも記載しますが,単に「第三者」としており誰に譲渡したのかわかりません。また,つい昨日,上記の業者と電話をしたときも「当社はネオライングループですので,なかなか和解できないんですよね。また,稟議を上げてから連絡します。」みたいな話をしていたくらいなので,おそらく社員も知らなかったのでしょう。
骨の髄までしゃぶりつき,身が無くなると誰かに譲渡。そして,社員も知らない。
いいんでしょうかねぇ,こんなの。
1月
30
2012
決定自体は2週間程前ですので,ちょっと遅れめの記事となってしまいました。
さて,丸和商事の再生計画に対する投票結果が発表されました。
投票者総数 39,040 名
賛成の投票者数 33,176 名
総議決権額に占める賛成の議決権額の割合 75.7%
→丸和商事のプレスリリース(PDF)
という結果で良いのか悪いのかわかりませんが,再生計画が認可されました。今後,不服申立期間を過ぎれば,この再生計画認可決定が確定し,過払金については下記の内容にて弁済(返還)されます。
債権額の1000 万円までの部分につき1.65%
債権額の1000 万円を超える部分につき1.32%
ほとんどの方が1000万円未満だと思いますので,過払金に対して1.65%が平成24年4月中旬から順次,当事務所宛に返還されていく事になっています。
その後,当事務所にて費用の清算を行い,順次当事務所からご指定の口座に送金させていただきます。
しかしながら,1.65%という極めて低い金額でも再生計画案が認可されてしまうと,今後も同じ事をやって過払金を減額させようとする会社がどんどん出てきてしまうのではないかと思っています。まぁ,法的手続をせず,裁判所の判決を華麗に無視し続ける業者もありますので,そういう会社と比べればまだマシなんですねぇ・・・。
1月
16
2012
本日付で武富士の管財人より3.3パーセントの弁済金が振り込まれました。
こちらを各依頼者の口座宛に順次送金させていただきますので,遅くとも今週末までには各依頼者のお手元に届くと思います。
なお,武富士の更生計画案によれば,旧役員等から返還があった場合には追加で返還されることとなっておりますが,この可能性は極めて低いと思いますので,あまり期待されない方が良いかと思います。
ということで,とりあえずこれにて武富士の会社更生手続は終了となります。また,何らかの続報がありましたら,当ブログにてご報告いたします。
1月
04
2012
武富士についての続報です。
以前,A&Pという会社が買収資金を用意できず場合によっては破産に移行するかもしれないという内容の記事を書きましたが,破産ではなく新たなスポンサーが決まったとのことです。
→武富士からのプレスリリース(PDF)
→記事
上記発表の中にあるJトラストは,大元をたどればネオライングループであり,他の候補(東京スター銀行等)と比べると「残念」の一言かと思います。もっとも,報道によれば弁済率は変わらないとのことですので,過払債権者の方々にとっては返還時期が少し遅れはしましたが,それ以外には特に問題はないと思います。
また,残債がある方については,Jトラストのこれまでの交渉状況を考えると,一括弁済以外には応じない強硬な姿勢で来ると思いますが,破綻後の武富士も同様の対応でしたので,この点についてもあまり大きな差はないと思います。
しかし,武富士については本当に手続の流れが不透明すぎて,本当にこんな会社を存続させても良いのかと疑問を持たざるを得ませんね。まぁ,決まったものは仕方がないので,今度はしっかり返還してもらえることを願っています。
1月
04
2012
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
さて,本日1月4日より当事務所の業務が開始となりますが,本日付で当事務所の所在する長久手「町」が長久手「市」となりました。
→長久手市ホームページ
したがって,本日より当事務所の所在地が下記の通りとなります。
愛知県長久手市杁ヶ池106番地2
なお,電話番号や郵便番号には変更はありません。
新しい市と共に当事務所についても末永く宜しくお願いいたします。
12月
28
2011
本日12/28をもって当事務所の年内の業務は終了となります。今年1年皆様ありがとうございました。
毎年書いているような気がしますが,1年間で唯一心が休まるのが年末です。GWは連休明けの訴訟等の事が気になって休んだ気になりませんし,お盆も同じです。ところが12/28以降の年内は仕事がありませんので,心底休みを楽しめます。もっともあくまで楽しめるのは「年末」だけであって「年始」は結局休み明けの仕事が気になって全然休めません・・・。これは私の性格の問題なのでしょうか職業病なのでしょうか。
まぁ,そんな私の気持ちなんかはさておき,当事務所の年末年始は下記の通りとなっております。
12/28 18時まで 通常通り
12/29~1/3まで年末年始のお休み
1/4 9時より 通常通り
となります。
それでは皆様,風邪などひかぬよう楽しい年末年始をお過ごしください。
12月
13
2011
先日,フロックスの記事でも書きましたが,現在は判決を取っても素直に支払ってくる業者は少ないため,強制執行をして回収を図ることが多々あります。
そもそも判決(勝訴判決)というものは,その判決書をどこかの銀行に持っていけば現金に換えてもらえるものではなく,単に「(法の手続に乗せた上で)強制的に取り立ててもいいよ」というお墨付きを国からもらうに過ぎません。したがって,何年もかけてやっとのことで勝訴判決を取ったとしても,相手にお金がなければ,いくら強制的に回収しようにも無い袖は振れませんのでその判決書は単なる紙切れにしかならないこととなります。
もっとも,破産等をしていない限り,まったくお金がないという個人や会社はなかなかいません。個人であれば毎月入ってくる給料を押さえることで回収することができますし,会社であれば,今はなくても将来入金されるであろう口座をタイミング良く押さえることで回収することだってできます。
ただ,いつ入金があるのかわからないため,この「タイミング良く」というのがなかなかうまくいきません・・・。
また,支払いをしない業者は多くの人に払っていないため,差押えが競合することがあり,口座にお金が入っていてもほとんど回収できないことが往々にしてあります。
例えば,10万円の債権を持っていて,業者の口座を押さえたところ,20万円が入っていたとします。他に差し押さえた人がいなければ全額回収できます。ところが,別の人も同じ口座を押さえており,しかもその人の債権額が1000万円だったとします。この場合,口座に入っている20万円を10対1000の割合で均等に分けることになるため,実際には2000円程度しかもらえません。強制執行の費用だけで1万円程度の実費がかかるため,完全に赤字です。
こうなるともうお手上げです。回収する術がありません。もちろん,強制執行は一度限りではないため,何度も強制執行をすれば回収できるかもしれませんが,時が経つにつれて競合する人がどんどん増えていきますので,なかなかうまくいきません。
ですので,このような場合には,残念ですが低い割合で和解をするということも検討しなければなりません。
随分前の話ですが,アエルという会社があり,今は民事再生をして一律5%しか返還されないこととなっております。このアエルに対して110万円程度の判決を取得しましたが,アエルの状況が悪くなりそうだったので,アエルが倒産する少し前に依頼者の同意を得て100万円で和解し返還してもらったことがあります。
もし,和解していなければ5%まで減額されているので5万円程度しか返還されませんでしたので,和解は大正解でした。
同様に,先日倒産した武富士についても昨年の夏頃に判決を取ったものの8割程度まで減額し,9月上旬に返還してもらったケースがありました。武富士はその後9月下旬に倒産していますので,もし,2週間遅れていたら3.3%まで減額されていたことになります。
今は多くの業者が倒産の危機に瀕しており,特にネオライン系列の業者は今後どのようになるのかさっぱりわかりません。ですので,せっかく判決まで取ったのに減額するのは納得できないというのは,完全に仰るとおりですし,私も腹が立って仕方がありませんが,万が一倒産したときのことを考えると,回収のためにはやむを得ず和解をするという選択肢もあるものと思っています。
ただ,この見極めが大変なんですけどね・・・。
12月
02
2011
12/1に悪意の受益者に関する最高裁判決がありました。
→最高裁サイト
→判決全文(PDF)
以下,ざっくりですが,この判例について記載します。
————前提情報———————-
①みなし弁済
契約書の作成や交付,領収書の作成や交付など,消費者金融が法律に規定されている厳しい条件をすべて満たした場合に限り,高金利を取ってもいいよ,という規定。今は改正で無くなりました。
②悪意の受益者
悪意の受益者というのは,上記のみなし弁済の適用が無いと知りながら借主からの返済を受領し,過払いとなっている場合には,その過払金について返還するのみならず,利息を付けて返還しなさい,というものです。
そして,この悪意の受益者であることの立証責任,つまり,「消費者金融等がみなし弁済の適用が無いことを知っていた」ということを借主側が立証しなければならないのが原則です。
ところが,平成19年に最高裁は「業者側がみなし弁済の適用があると信じてもしょうがない,というような例外的な事情が無い限り(特段の事情),消費者金融等は知っていたでしょ」として,業者側が,その例外的な事情の存在を立証しないかぎり,みなし弁済の適用がないことを知っていた,すなわち,悪意の受益者として利息を支払う義務がある,と判示しました。
———-ここまでが前提—————
で,今回の訴訟で何が問題になっているかというと,業者側は,「平成17年に最高裁がみなし弁済の条件の一つである借主と契約する際に交付する契約書の内容について厳しい判決を出す前は,その契約書の内容でもいいよ,という裁判例や学説,行政の取扱いがあったのだから,少なくとも平成17年まではみなし弁済の適用があると信じてもしょうがないという事情があり,悪意の受益者ではない,というものです。そして,原審の東京高裁は業者の主張を認めて,悪意の受益者では無いと判示しました。
その上告審が今回の最高裁判決です。
すんごいざっくり言うと,
確かに,そのような内容の契約書でもいいよ,という裁判例や学説等があったのは事実だけども,そのような見解が多数を占めていたとは言えないし,そのような見解が貸金業法の立法関係者によって明確に示されていたものでもないんだから,消費者金融等が信じてもしょうがないよね,という事情ということはできない。だから,悪意の受益者だよね。
というものです。
もっとも,このピンポイントの論点で争われることは多くないため,どこまで影響があるかはわかりません。むしろ,例外的な事情の存在につき,一般的立証(個々の契約書ではなく,会社全体としてそういう体制をとっていた)で足りるという点の方が大きな論点かと思います。
いずれの結論になったとしても最高裁がビシッと判示してくれると助かるんですけどね。
12月
01
2011
武富士のスポンサーである,韓国の消費者金融であるA&Pが武富士の買収資金を支払ってこなかったということで,買収(会社分割)が延期されたとのことです。
→記事
すんごいざっくり説明すると,
①武富士を新旧の2つの会社に分割する。
↓
②旧会社は資産を売却して得た資金やA&Pの資金を原資として過払い債権者等に3.3%の割合で配当する業務を行います。
↓
③新会社は,「武富士」を引き継いで消費者金融業を行っていく。
↓
④ところがA&Pが約280億円の買収資金を武富士に振り込まなかった。
↓
⑤なので,会社分割も出来ない ←いまここ
↓
⑥現時点では年末まで延期することについて東京地裁が認めたものの,A&Pは韓国で違法金利の貸付を行っていたことが発覚し,行政処分等を受ける可能性があるため,本当に年末までに資金が振り込まれるかどうかわからない。
→武富士のプレスリリース(PDF)
↓
⑦このまま買収資金が振り込まれなければ新しいスポンサーを探すことになるが,当然ながら現時点では未定。
↓
⑧スポンサーが見つからなければ最終的には破産
ということになります。
ずーーーっと前から言われていますが,武富士の会社更生の申立をした弁護士(申立代理人弁護士)と武富士と債権者の間に入る管財人たる弁護士が同じ人です。
そりゃ,武富士から数千万円もの報酬をもらって申立を行っている弁護士と管財人が同一人物であれば,その管財人は中立な立場にあるとは到底思えませんよね。
でも,東京地裁はそれを無視して進めていきました。そしたら,こんな事態ですよ。
もし,このままA&Pが撤退した場合,上記の通り再度スポンサー探しから始まるわけですから,更生計画案も作り直しとなりますので,当然費用が余分にかかります。余分に費用がかかるのであれば,当然支払われる原資も少なくなり,ただでさえ少ない3.3%という割合がさらに低くなると思われます。
ここまでくると,いっそ破産させた方が良いと思いますけどねぇ。
11月
30
2011
ちょうど10年前に完済した分の過払い請求のご依頼をお受けしたため,今日は時効について書いてみたいと思います。
借金や過払金については,ある程度時間が経つと時効によって権利が消滅してしまいます。
借金については支払わなければならなかった日から5年間支払わないと時効により借金は消えてしまい(商法522条),逆に過払金については10年間請求しないと消えてしまいます(民法167条)。
借金を支払わなくなって6年程度経っているので時効を主張するために調査をしてみると,実は過払いになっており,過払いの時効は成立していないため,逆に返ってきたりなんてこともあります。
なぜ時効という制度があるかというと,長年放置していたわけですから,「権利の上に眠るものは保護しない」という考えなどによるものです。
この時効にはいくつか注意点があります。
(1)時効は中断することがあります
5年や10年経つ前に「時効中断事由」が発生すると,そこで期間の計算がストップし,中断事由がなくなってから再度スタートします。
時効中断事由でよく出てくるのが,「請求」と「債務承認」です。
①請求
端的に言えば,訴えてしまうということです。一度訴えてしまえば,裁判をやっている最中に時効の期間が経過したとしても時効は完成しません。
なお,単に口頭で「返して」と言ったり,書面で請求することもできますが,これは時効中断事由としての「請求」ではなく,「催告」(民法153条)になります。
この「催告」をしておくと,その後6か月以内に「請求」をすれば催告のときに時効が中断したことになります。
したがって,上記のとおり,10年ギリギリでお受けした本日のご依頼については,とりあえず催告をしており,準備ができ次第訴訟を提起することになります。
②債務承認
これは,債務者が負債があることを自ら認めることです。この債務承認については請求のように「訴訟をしなければならない」というような決まりはありませんので,口頭で認めても良いですし,書面で認めても構いません。ただし,のちにトラブルになることを防ぐために,専門家が介入している場合は,債務承認に関する書類(例えば,債務承認弁済契約書)を作成し,印鑑をもらっておくと思います。
(2)時効は援用しなければなりません。
5年や10年経過しても,時効の援用をしなければ時効の効力は発生しません。この「援用」というのは,「時効なんで借金の返済はしませんよ」ということを相手に伝えることです。
ですので,5年や10年経っていたとしても,「借りたもんはちゃんと返します!」という方については,返済してもらっても構わないということになります。
ここで重要なのは,5年や10年経過後に援用せずに債務承認をしてしまった場合には,やっぱり「援用します」といって消滅時効を主張することができなくなってしまいます(時効利益の放棄)。
これを利用して業者がカマをかけてきたりします。
例えば,すでに5年経過している場合は,時効の援用さえすれば返済する必要はありません。そこで,業者の方としては,「全額とは言わないから,1000円だけでも払ってもらえませんか?」というような話を持ちかけてきます。ここで1000円くらいならいいか,ということで払ってしまうと,借金の存在を認めて1000円を払ったということになり,その後に時効を援用することができなくなってしまう可能性があります。
たかが1000円払ってしまったことによって何十万円,何百万円という返済をしなければならなくなってしまいます。
(3)ちゃんと時効期間を経過していないと逆に多大な損害金を支払う可能性があります。
消滅時効の期間が経過して援用すれば借金は無くなります。しかし,4年と11ヶ月で時効の援用をしても当然借金は消えません。むしろ,4年11ヶ月は支払っていない訳ですから,ものすごい金額の遅延損害金が付いており,遅延損害金だけで元金の2倍以上になっていることもあります。
相手が忘れていたのに,間違えて時効援用通知を送ってしまったことによって,逆に「寝た子を起こす」ことにもなりかねません。
したがって,安易に時効の援用はせずに,専門家としっかり相談のうえ進められた方が良いと思います。
なお,今回は書きませんでしたが,時効には消滅時効の他に取得時効というものもあります。これは,他人の物を勝手に使っていたら,自分の物になってしまうというもので,逆から見れば,自分の物がいつの間にか他人の物になってしまうという恐ろしい制度です。消滅時効,取得時効のいずれにしても時効が成立(完成)するまでには相当長い期間の経過が必要となりますので,「権利の上に眠る者」にならないようご注意ください。
ちなみに,弁護士や司法書士の報酬については2年で時効になってしまいます。私も「権利の上に眠る者」にならないよう,過去の帳簿を広げてみましょうかね(笑)